(3)The Beatles「Strawberry Fields Forever」(1967)
「イチゴ」の曲はまあこれで決まりでしょう。ビートルズ後期の名曲、いまさら私が何か付け足すことなどありません……じゃあ無責任ですな。
世に出たヴァージョン(シングル、後にベスト盤類に入る)の素晴らしさは言うまでもないのですが、私が結構好きなのはThe Beatles『ANTHOLOGY 2』(1996)で聴けたデモとアウトテイク。John Lennonがギター一本で弾き語ってる「デモ」は質素でメロディアス。メロトロンを使ったりはしますが比較的シンプルなバンド編成の「Take1」から、だいぶ完成形に近づいたサイケな「Take7 and Edit Piece」(こっちは、リンゴのドラムが「Rain」バリに凄い……)へと、“曲が出来ていく”過程が味わえるのがよろしかった。後者では、楽曲末尾でジョンがボソボソ言ってるセリフ(“I buried Paul.”って聞こえるってんで、「ポール死亡説」のネタにされてきた一節)が、ジョンがかつて言ってた通り“cranberry sauce”だったってことがわかったのも面白かった。
さてこの曲、やはり皆さんに愛されてまして、私のとこにもいくつかカヴァー版があります。ビートルズ・フリークと言って差し支えないTodd Rundgrenがやってたり(1976年の『FAITHFUL』に収む)、やっぱりオタク気質のAndy Partridgeがやってたり(元は1990年のコンピ『1967:THROUGH THE LOOKING GLASS』に提供され、いまはAndy Partridge『FUZZY WARBLES VOL.3』で聴ける)するのは、順当なところ。二人ともさあ、終盤の“音が戻ってくる”リフレインのトコまで完コピとか、マニアック過ぎるよ。最高です。
フォークシンガーRichie Havensが些か爽やかに仕上げていたり(これは早い、1968年の『RICHARD P. HAVENS, 1983』に入ってた)、後にYesに加入するSteve Howeが居たTomorrowがバンド形式でフォローしていたり(『TOMORROW』1968)、といった同時代組もあれば、珍しいところでThe Venturesがインストヴァージョンをやっております。ヴォーカルなしで、メロディをギターが奏でると何とはなしに“南国風”(?)の雰囲気がするから不思議なものです。
あと、元Loudness/Yngwie Malmsteen、Obsessionのマイク・ヴェセーラのソロプロジェクトMVP『WINDOWS』(1997)に入ってるメタリック・ヴァージョンは、後半やはりThe Beatlesの「I Want You(She’s So Heavy)」につなぐ仕様。マイクがビートルズ好きなんでしょうが、凝ってますな。これまでご紹介してきたビートルズ崇敬系アーティストは(Yellow Matter Custardとかもそうですが)、精神面もビートリーな凝り性になっちゃうみたいね。
<続く>