<2019年作品>
もうXTCは動かないのかなあ。Andy Partridgeさんはこの作品のみならずいろんな人と協働してたり、ソロ的に作品を出したりしますから、音楽への意欲がまだまだ盛んなんだと思いますが。組む相手によって、ポップなものも出せば、実験的なものも出してきた方ですが、ヒッチコック/パートリッジ(Vo, Instruments)による制作の本作は如何に。
(4)Robyn Hitchcock/Andy Partridge『PLANET ENGLAND』(UK)
- Turn Me On, Deadman
- Flight Assistants, Please Prepare For Love
- Got My...
- Planet England
タイトルからしてもろにThe Beatlesへの愛情が溢れている「Turn Me On, Deadman」*は、サウンドも後期ビートルズ(サイケ入り)そのもの。アンディはかつてXTCの変名バンドThe Dukes Of Stratosphearでも同様のことをやってましたが、ここではさらに“素直”にオマージュを捧げてます。
〔*“Turn Me On, Deadman”というのは、ビートルズ(というかジョン・レノン)屈指の実験的楽曲「Revolution 9」の“♪Number nine, number nine, number nine…….”というリフレインを逆回転再生させると“♪Turn me on, deadman, turn me on, deadman……”と聴こえる、っていう有名なネタでして(Cf「ポール死亡説」)、逆回転だのサブリミナルメッセージだのといったジョーク――だと筆者はとらえてます――が世に蔓延る一因ともなったもの。〕
ロビンがリードを歌ってアンディはバッキングヴォーカルですが、楽曲はThe Dukes Of Stratosphearか後期XTCかという音で、(たぶん)アンディによると思われる意外に深く抉るようなギターリフも力感あり。“♪Turn me on, deadman!”
「Flight Assistants, Please Prepare For Love」も、前の曲と同じくサイケ・ポップ色。ヴォーカルにエフェクトというかエコーが掛かってたり、「ぐにょーん」って音(飛行機を模してるのかな?)が入りまくったり。“♪Believe I’m going down……”
アンディのカウントから入るカントリー・タッチのアコギ歌曲「Got My……」では、アンディも歌います。前2曲のような凝りまくったビートリー・サウンドより、こういう明快なサウンドの方が(いまの時点では)好みですな。彼らのメロディセンスはビートルズ譲りですが、演出をやり過ぎなくても十分楽しいのですから。
跳ねるリズムで躍動的な「Planet England」も、私からするとXTC風味が感じられてよろしいのですが……ぎゃくにこのお二人が作るものは“破綻が無さすぎる”のが気になるくらい。
“♪Waters rise and people scream, close your eyes and people dream, I love to back the losing team, down on Planet England……”
歌の頭にも雷雨のSEがちょっと入り、歌の本編が終わった後にも雨の降る音がしばらく収められているのは、なんでしょうね。(「Black Sabbath」……は関係ないですか。ないでしょうね。ちなみにXTCではコリンさんがBlack Sabbath好きだったみたいです。)
クレジットにある“Recorded in a shed in Swindon, Planet England”というのが、彼らのユーモア(?)をあらわしてるようで微笑ましい……ですが、英国がUKを脱退しちまった今だと強ちジョークでもなくなっちゃいましたかね。
<続く>