DON'T PASS MUSIC BY

"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第44回「Linton Kwesi Johnson」(1)

 今回は、私にとってチャレンジング。疎いジャンルの作品でございますので……。
 
 Linton Kwesi Johnson(リントン・クウェシ・ジョンソン)さんのBASS CULTURE、ダブ・ポエトリーというレゲエの一様式の名盤とされております。
 
何を隠そう、レゲエ自体Bob Marley & The WailersLIVE!』くらいしか持っていない超初心者の私が、なぜ本作に行き当たったかをまずお話しいたします。これも非常に珍しい出会いで……
 
たいてい、ポップミュージックと「学校」ってのは相性が良くはないですが、コレとの出会いはまさに「学校」、それも、「授業」だったんですよね。もう20年近くも前になりますが、私がある講義(英文学のような科目)に出ていた時のこと。先生は毎回いろいろな文学作品などを材料にして話をされてたんですが、ある時「曲を聴いてもらう」と仰るや、テープである歌を流したんですよ。なんだか不思議なビートの上に、英語のようなそうでないような歌がかぶさってました。「!?」と思っていると歌詞を印刷したプリントが配られて、解説が始まったのです。
 
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先生によると、そこで用いられているのは「英語ではある」が、混合言語から独特の発達を遂げたものであると。発音・語法・スペルがいわゆる“英語”(学校英語)と異なるものであるのはそのためだったんですね。これに先立つ回で、ピジン・イングリッシュの話などは聴いていましたので、言語とはこういうものかと興味を覚えました。その歌が、Linton Kwesi JohnsonInglan Is A Bitch」であったのです。
 
お気付きの通り、“Inglan”は“England”のことなんですが、全編この調子で非英語ネイティヴからすると「なんとなくわかる、だけど……?」というもの。歌を聴きながら歌詞を追うと、「謎解き」のような趣も感じられました。例えば、
 
“♪w´en mi jus´ come to Landan tounmi use to work pan di andahgrounbut workin´ pan di andahgrouny´u don´t get fi know your way around
 
 というくだり。“w’en”は”when”、“Landan toun”は“London town”かな。“andahgroun”って何だろう?ってな具合。……ちなみにこれは、“underground”のようです。
 
この言語――ジャマイカクレオール語、あるいはパトワと呼ばれたりします――を、ジャマイカ生まれでロンドンに移住したLinton Kwesi Johnsonさんは意識的に用いて、作詩(ご本人は“詩人”なので、「作詩」のほうが合うでしょう)しているわけです。「Inglan Is A Bitch」なんていう曲名からも何やらパンクなものを感じましたが、この言語の使い方も含めて、社会(英国を中心とする)に対する強烈な意識を彼は作品化し続けていた(いる)のだなということが、あとで調べてみるとわかったものです。
 
というわけで、私としてはごく珍しいことに、「授業中に新しい音楽への導きを得た」のでした。それからすぐだったか少し間が空いたかは覚えていませんが、「Inglan ~」の入ってる作品を聴きたくなって、CDを探したんでした。BASS CULTUREというそのアルバムが、その界隈では伝説的な名盤とされていることなど、知らないままに。
 
私が買ったCDは日本盤で、オビには「初CD化」「LKJのダブ・ポエットを聞け~っ!常にポリティカルにつき進むLKJの代表作!!」って書いてありました。こんどは、‟「ダブ・ポエット」って何?”状態ですよ。(文法的には「ダブ・ポエトリーを聞け」がフォーマルですが、それはともかく。)伝授してくれる人を知らなかったので、ライナーノーツやらネット上の情報やらを突き合わせてみて、「ダブ」っていうのはレゲエの一種で、その伴奏に乗せて詩を朗読するのが「ダブ・ポエトリー」らしいという結論になんとか漕ぎつけました。いまならオンラインの百科事典も充実してるから一瞬でわかるだろうけどね。まあ、ジャンル名が理解できなくたって、作品は楽しめますからいいんですが。
 
「ダブ」っていうのもわかったようなわからないような。(今でも。)いろいろ実例を聴いたらいいのかもしれませんが、自分の手持ちの範囲にはそういうのがなかった。XTCAndy Partridgeが一時期「ダブ」にかぶれて、実験的なことをやってた(いま聴くならXTCEXPLODE TOGETHER: THE DUB EXPERIMENTS 1978-1980がいいでしょう)という話で入ってきた程度でして。そういうわけで、誰か教えて下さるとありがたい。
 <続く>