<思い出話>
これは、遠回りでしたねえ。まず、Van Halenを聴くようになりました、と。(ここまででもひと山あるんですが、いまは省略す。)で、何かのライナーノーツに、「Sammy HagarはMontroseでデビューした」とあり、機会があればチェックしたいものだと思っていたわけです。Montroseのファーストは「名盤」の誉れ高く、割とよく国内盤が再発されていまして、97年再発盤をゲットすることが出来たのでした。(セカンド以降はなぜかあまり再発されぬため、それらは輸入盤で集めるしかなくなるんですが。)で、ファーストを聴いて衝撃を受けると。ハードロックといやあ英国だろ、と偏見にとらわれていたわたくし。アメリカン・ハードロックって、KissとかAerosmithのことでしょ、と思い込んでいたわたくし。浅はかであった。
「これだよ、これ!」……初めはSammyの歌にばかり耳が行っていたのですが、よく聴くと(録音がクリアなので他のパートもよく聴こえるのです)ギターもベースもドラムも「ロックしてる」じゃないか。もっといろいろ聴いてみよう、というときにちょうど出たのが『THE VERY BEST OF MONTROSE』。ファーストの曲や「I Got the Fire」もいいけど、Sammyが去った後も美味しいじゃないの。そうか、Ronnie Montroseという人が凄いんだ……とやっと理解する次第。以来、彼のソロやGamma、セッションワークなども追い続けております。
<今回取り上げた作品>
(1)Montrose『MONTROSE』(1973)
(2)Montrose『PAPER MONEY』(1974)
上では挙げませんでしたが、「Space Age Sacrifice」も面白い曲だし、「Paper Money」も躍動的ですよ。荒々しいファーストに対し、少し洗練された感じかな。
(3)Montrose『WARNER BROS. PRESENTS…MONTROSE!』(1975)
「Twenty Flight Rock」は、Paul McCartneyも好んでやってましたね。もちろん、こんなハードロック風じゃないですけど。「Dancin’ Feet」は、若き日ののVan Halenもカヴァーしてたことがあるとか。(Ronnieの証言:「デイヴィッド・リー・ロスとエディ・ヴァン・ヘイレンが後に教えてくれたのだが、彼らはこの曲をジャムやパーティでプレイするのが大好きだったそうだ。」)
マニアックなところでは、「Matriarch」をNWOBHMのB級バンド(注:ロック業界における「B級」というのは、“知名度が突き抜けていない”というほどの意味で、音楽的に劣るという意味は無い、念の為!)Avengerがファーストアルバム『BLOOD SPORTS』(1984)でカヴァーしています。キーボードがおらず、より性急な感じに仕上がっておりますが、この曲を選ぶセンスを褒めてつかわしたい。
(4)Montrose『THE VERY BEST OF MONTROSE』(2000)
1stから4曲、2ndから4曲、3rdから4曲、4thから3曲、そして1987年の再編作『MEAN』から3曲を収録。名曲はほぼおさえてある(3rdの「Matriarch」が抜けているのだけが残念!)ので、これでもってMontroseを味わうという手もある……かな。ブックレットが充実していて(Rhinoっていうレーベルはホントにいい仕事する)、わたくしが今回しばしば引いたRonnieのコメントもほとんどはそこに出ているのでありました。
(5)Various Artists『CONCERT FOR RONNIE MONTROSE』(2013)
2012年に行われた追悼コンサートの模様を収録した映像作品。Ronnieのキャリアを「ソロ時代(インスト)」、「セッション時代」、「Gamma時代」、「Montrose時代」に大別し、それぞれ縁のあるアーティストがトリビュート演奏するというもの。「ソロ」時代の演奏はJourneyのNeal Schon(Gt)らが、「Gamma」ではオリジナルヴォーカリストDavey Pattison、同ドラマーDenny CarmassiにMarc Bonilla(Gt、かつてRonnieが発掘した凄腕で、近年ではKeith Emersonとも共演)が加わったラインナップが、「Montrose」では、Joe SatrianiがRonnieの代わりに入るオリジナルMontroseがそれぞれ登場。他にも、Eric Martin(Mr.Big他)やDave Meniketti(元Y&T)など多数のアーティストが入れ代わり立ち代わり現れる。Ronnieの残した音楽と人脈にあらためて感じ入る2時間弱。
(6)Van Halen『LIVE:RIGHT HERE, RIGHT NOW』(1993)
わたくしがMontroseにのめりこむ間接的な原因を作ったのはこれ。もともとはSammy Hagar個人にそこまで興味はなかったが、このライヴ盤でThe Whoの「Won’t Get Fooled Again」を熱唱し、自作の「One Way To Rock」をEddieと並んで弾き倒す男……への興味がかきたてられました。ここから、一方はMontrose発掘へ、もう一方は『HSAS(Hagar, Schon, Aaronson, Shrieve)』(1984)鑑賞へ向かうのでありました。SchonはJourney、AaronsonはDerringer、ShrieveはSantanaで有名ですからね、これもすごいグループですよね。アメリカン・ハードロックをちゃんとおさえなきゃいかん!ということですね。