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"Happy trails to you, till we meet again......"<Quicksilver Messenger Service>

第51回「Spizzenergi」(1)

 あけましておめでとうございます。

 さっそくですが、ちょっとマイナーなアーティストの結構マニアックな品をご案内と行きましょうかね。

 

 当ブログ第1回(第1回「The Jam」)で名前は出してたんですが、『PUNK AND ITS AFTERSHOCKS』っていうオムニバス映像集に、「Where’s Captain Kirk?」っていう曲と「Virginia Plain」っていう曲を演奏するSpizzenergiってバンドがあったんですね。狭いクラブでものすごいテンションのライヴをやってて、しかも曲がちょっとヘン――「Virginia Plain」はRoxy Musicのものでしたけど、コレを観た時はそんなことは知らんかった……――だったもんで、ずっと気になる奴らだったんです。

 

 ただ、CDショップでけっこう探してもなかなか作品が見つからない。探し始めてからだいぶたってから、輸入盤を扱う大手の店頭にSpizzenergi『SPIZZ NOT DEAD SHOCK !(1978-1988 A Decade of Spizz History)』っていうベスト盤を見つけて、「うおおおお」と思って買って帰り、くだんの二曲を中心に聴き込みました。事前に思ってたよりももっと変な連中だということがわかりましたかね。楽曲のクレジット(バンド名義)がコロコロ変わってるし、最初期は歪んだギター+ヴォーカルのローファイ作品だし、かと思うと次には鍵盤奏者を入れて分厚い音も出すし……

 

 その後は、輸入盤店も中古CD店も気を付けて探しましたが、彼らの作品はまったく出てきませんでした。探し方が悪いのだろうか。……などと思っていると先日、次にお示しするDVDに行き当たったんですよ。いやあ嬉しかったですね!……っていうとちょっと違うか。パッケージをみると「1996年のライヴ」って書いてあるのね。ジャケットの写真は70年代のスピッツ青年(たぶん、「Where’s Captain Kirk?」のミュージック・ヴィデオに出た時の衣裳)だけど、そこから20年近く経ってるわけで、どうなってるのか不安が半分。

 

 いや、「百聞は一見に如かず」?「案ずるより産むが易し」?とりあえず観てみないと始まらないよね。

 

Spizzenergi『WHERE’S CAPTAIN KIRK ?:Spizzenergi Live』(2005)

  1. 6000 Crazy
  2. Mega City 3
  3. No Room
  4. Soldier Soldier
  5. We Want the World
  6. Central Park
  7. Red & Black
  8. Energy Crisis
  9. Spock’s Missing
  10. Where’s Captain Kirk ?
  11. The Model

<メンバー>

Spizz(Vo)

Dave Scott(Gt)

Simon Kinder(Gt)

Matt Broughton(Ba)

Jeff Walker(Dr)

Cathy Tozer(Cho)

Sam Wilkins(Cho)

 

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 パンクロックのイヴェントHolidays in the Sun(@Blackpool Winter Gardens,1996.8.11)に出演した際のライヴ映像。私はさいぜん申したようにDVDを中古で発見し購入したんですが……、部分的にはネット上でも観られちゃうみたい。苦労して見つけたのにあんまりだ。

 

 オフィシャル作品なんですけど、カメラワークはあまり巧みとは言えません。前半は特に、バンドへの寄って行き方が不安定。演奏も、こういっては何ですが、90年代後半ということを考えると、別に上手くはない。演出が凝っているかというと、それも特にない。楽曲は、一部のスマッシュヒット曲を除いては、さほどキャッチーでもない。観衆も超盛り上がっては、いない。リーダーのSpizzは、声は出ているものの、容貌などは年齢相応におじさん。……こうやって書き連ねると、なんにもいいところがないみたいですけど、困ったことに「味は、ある」んですよ。えもいわれぬ「味」がね。

 

 幕開けは最初期の楽曲「6000 Crazy」。“で・れ・れ・だー・だー”っていうリフをギタリスト(Simon)が刻むと、ヴォーカリストが歌い始めるんですが……そのあまりに恰幅のよいスーツ姿に、「どこの政治家?」とか思いました。Spizzさん、さすがに若い頃からはお変わりになられました。元の曲はヴォーカルとギターだけだったんですが、このライヴではフルバンド用にアレンジされています。ドラマーのJeff  Walkerさん――いうまでもないが、Carcassの人とは別人――は、長い手足を活かしてビシバシ刻みを決めますね。初期のメンバーは他のひとだったと思うので、この時限定のヘルプだったんかと思いきや、後で調べたらこの時以来ずっとグループに在籍しているという、いまやバンド史上4位に入る在籍期間の長さ。(オフィシャルサイトには歴代のメンバーが、在籍の長い順に17位まで挙げられてた。)Spizzの信任厚い方なんでしょう。

 

 前曲からほとんと間をあけずに始まる疾走曲「Mega City 3」。“♪Everything is possible…… in Mega City 3……”云々っていうコーラスがキャッチー。女声コーラスが二人いまして、仏頂面で演奏する器楽の男性どもと対照的に結構ニコニコしてて、振り付けもそれなりに決めてくれるんですけど。……肝心のコーラスが微妙にアウト・オヴ・チューンな時があるのはご愛敬、なのか。まあ、Spizzからして「うまさ」で売る人じゃないでしょうけどね。

 

 次の「No Room」は、彼らにしては割とポップ……(?)なサビのある曲。丸っこいSpizzが飛び跳ねるのカワイイ。固い表情のベーシストの弾く硬い音質のラインが耳につく。“♪No room for you……”

 

 ギタリストSimonが「The Star-Spangled Banner」をミスしながらちらっと弾くんで、「何をやんの?」と思っていると、名曲(?)「Solider Soldier」が開始。あら、上着を脱いだスピッツさん、下に着てるシャツにはご自分の顔写真をあしらったレコードジャケットをこれでもかと貼り付けてあるよ……こりゃあ凄い。コーラスのご婦人方の勇壮(?)な振り付けも楽し気。“So~ldier~”っていうあたりの発声はJohn Lydonぽくもあるかな。このDVDはオマケで2000年代のSpizzさんインタビューが入ってるんですけど、そこではご本人が金髪を逆立ててたりするため、いっそう“まるくなったジョン・ライドン”風なんだわさ。

<続く>