SpizzenergiのライヴDVD。続き。
Spizzenergi『WHERE’S CAPTAIN KIRK ?:Spizzenergi Live』(2005)
- 6000 Crazy
- Mega City 3
- No Room
- Soldier Soldier
- We Want the World
- Central Park
- Red & Black
- Energy Crisis
- Spock’s Missing
- Where’s Captain Kirk ?
- The Model
<メンバー>
Spizz(Vo)
Dave Scott(Gt)
Simon Kinder(Gt)
Matt Broughton(Ba)
Jeff Walker(Dr)
Cathy Tozer(Cho)
Sam Wilkins(Cho)
次の「We Want the World」はここまでのパンク系楽曲とは趣の違うメロディアスなポッピーソング。Jeff Walkerの生み出すゆったりグルーヴが心地好い。にしても、この客席の微妙な反応はなんですかね。フェスティヴァル形式ゆえ、彼らの熱烈なファンばかりでないというのはわかるが……前方の数名くらいしか“わあー!”と盛り上がっていないのが正直寂しい。
しかし!スピッツ魂はそんなことではくじけないのだ!御大はノリノリなんだよね。器楽隊の男どものさえない表情はオーディエンスがどうとかではなくてデフォルトだろうしね。Spizzが、ファーストアルバム制作時のメンバーとしてギタリストの片方(Dave Scott)を紹介。短髪白髪半ズボンのおじさん……の刻むジャキジャキしたリフで始まるのが「Central Park」。目立つのはベースラインなんだけど。
やっぱりファーストアルバムから「Red &Black」、これまたDaveのリフからスタート。最初期楽曲の「変さ」「怪しさ」が堪能できる。オリジナルのテイクは鍵盤が入ってたんじゃないかな。XTCの「Beatown」からダンサブル要素を取り去ったみたいな……ってわかり難いですかね。コーラスの女声(特に向かって左のサム・ウィルキンさん)がタフで、サビではリードヴォーカルを喰わんとする勢いなのも愛敬がある(?)。おお、客席もようやくあったまってきたぞ。
ベースの「ベンベン ベケベン」フレーズが引っ張る「Energy Crisis」は、サビのところで無理やり高速になる、やっぱり妙な曲。1980年のAthletico Spizz80名義のアルバム『DO A RUNNER』に入ってたみたいね。Spizzさんはね、作品ごとに名義をちょっとずつ変える芸風(?)だったんですな。Spizzenergi時代にちょっとヒット曲があるんでその名前が有名だけど、活動当初はSpizzoilって名乗ってたり、さっきのAthleticoナントカになったり、Spizzだけになったりね。
アコースティック調に始まる「Spock’s Missing」では、冒頭でスピッツが聴衆に歌わせようと奮闘。客側のノリは微妙だが……。本編が始まると意外にキャッチーなこの曲、不思議な盛り上がりを見せるのであった。
でもね、やっぱり最大のヒット曲「Where’s Captain Kirk?」は別格ね。おとなしかったフロアも急に動き出すし、スピッツも特製ジャケットを脱ぎ捨てて――オーディエンスに投げ込む!――Spizz顔入りTシャツで熱唱。あら、短く終わっちゃった。と思ったら、客を煽ってもう一回しですか。この曲のヴィデオを『PUNK AND ITS AFTERSHOCKS』で初めて観た時に受けた衝撃には及ばんが――あっちは、若くて細いSpizzがシンプルにカッコ良い――、名曲は名曲だ。いつだか「ベスト・スタートレック・ソング・イン・ヒストリー」とかいう評され方をされたそうなんですけど……「スタートレック・ソング」なんつうジャンルがあったのかね。
アンコール的に演奏される「The Model」は、リズム隊のグルーヴ工場ぶりもよいが、なんといってもキャッチーなサビ“♪Lalalala lalalala lalalalala~”が耳に残って離れない。サムとキャシーのコーラスが調子っぱずれなのはわざとなんですかね?Ono Yoko風味さえあるぞ。ファットマンSpizzの存在感を最後まで押し出して終演。
この映像でさえいまや23年も前のものですか。でも調べると、Spizzenergiってまだやってるみたいなんですよね。ちゃんとしたホームページも持ってるし。何かの間違いでいいですから来日しちゃったりしないかねえ。誰かがゲストで呼ぶとかさあ。と、無茶な要求を行って、締めましょう。
<続く>