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"But holy men and kings would die in the year Twenty Twenty-five......"<Satan>

第1回「The Jam」

<アーティスト概要>

 The JamPaul Weller(Gt,Vo)、Bruce Foxton(Ba,Vo)、Rick Buckler(Dr)の三人組で、1977年にデビューしました。82年の解散までに6枚のオリジナルアルバムを残していますが、バンドの成長に伴って楽曲の内容・傾向も変遷しています。1stの『IN THE CITY』は当時のパンク色が強く出たものですが、ラスト作の『THE GIFT』R&B/ファンク色の濃いものとなっています。ここだけを比べると意外な感じもしますが、そもそも彼ら(特にメインソングライターのPaul Weller)の音楽的ルーツといえるThe KinksThe WhoR&Bをベースにしながら性急なビートロックを演奏していたことを考えれば、さほど奇妙なことではないのかもしれません。
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 バンド解散後Wellerは最終作の方向性を更に追求してThe Style Councilの結成に動き、その後ソロに転じて活躍しています。Bruce Foxtonは80年代にソロアルバム(『TOUCH SENSITIVE』)を発表した後、Stiff Little Fingersへ参加したりしていました(同バンドのライヴではThe Jam時代の自作曲「Smithers Jones」が披露されていました)が、近年またソロアルバムを発表するようになりました。いずれ詳しくご紹介できればと思いますが、Wellerもゲスト参加した2012年作の『BACK IN THE ROOM』はなかなかの名盤です。Rick Bucklerは80年代にTime UKというグループなどで活動していました(わたくしは未聴)。

<楽曲紹介>
 前回の題目に使った「Start!」は1980年に発表されたシングルで、同年のアルバム『SOUND AFFECTS』に収録されています。ベースラインとギターリフがThe Beatlesの「Taxman」と似ている……というのはよく言われる話。軽快なこの曲は「Going Underground」に続くチャートNo.1ヒットになりました。
わたくしが初めてThe Jamに接したのはコンピレーションCD『COMPACT SNAP!』でしたので、アコースティック的な「That's Entertainment」からこの曲、そして彼らとしてはヘヴィな「Funeral Pyre」へという流れが忘れられません。

 『COMPACT SNAP!』The Jamに触れたので、編集版ながらこのアルバムには思い入れがあります。初期の「In the City」「All around the World」はいかにもパンクという感じでカッコいいと思いましたし、シンプルなリフに乗せた「‘A’Bomb in Wardour Street」の次にストーリー的な内容のある「Down in the Tube Station at Midnight」が来るのでPaul Wellerという作曲家の幅の広さに感銘を受けました。もう一人のソングライターFoxtonの「News of the World」「Smithers Jones」は、風刺が効いた歌詞が印象に残りましたし、カヴァー曲(The Kinksの「David Watts」)も見事でした。

<思い出話>
 わたくしが彼らを好きなのは、これら楽曲をライヴで素晴らしく演じていたからです。「24曲一本勝負」という日本語オビが勇ましかった『LIVE JAM』(厳密には一か所のライヴではないのですが)は、スタジオ版より演奏は粗いのですが、ここで聴いた「The Modern World」「Billy Hunt」「When You're Young」等々には参りました。The Jamにはこの前に『DIG THE NEW BREED』、後に『At The BBCなどのライヴ作があり、どれも好盤なのですが、『LIVE JAM』の勢いには一歩譲る気がしています。映像はそのころはあまり観られなかったのですが、オムニバスの『PUNK AND ITS AFTERSHOCKS』というVHSで観た「The Eton Rifles」と「David Watts」は良かった。バンドのエネルギーが感じられましたし、Wellerのワンマンバンドなのかな?という予想をいい意味で裏切ってくれていました(特にFoxtonのヴォーカル面でのサポートは貢献度大でした)。

 その後わたくしは『DIRECTION REACTION CREATION』というCD5枚組の「全曲集」に手を出したのでした。いわゆるヒット曲ではないものの中にも「Takin' My Love」「I've Changed My Address」「London Girl」「So Sad About Us(The Whoのカヴァー)」「Smithers Jones(ヴァージョン違い)」「Tales from the Riverbank」など味のある曲が多数あることがわかりました。CD5はレア音源集で「In the City」や「David Watts」のデモ、The Beatles「Rain」・The Kinks「Dead End Street」・Ben E.King「Stand By Me」のカヴァーデモでお腹一杯のところに締めくくりが名曲「A Solid Bond in Your Heart」(デモ)。これだけ内容が詰め込まれた上に、ブックレットは写真満載で詳細なバイオグラフィー(デビュー以前の状況、メンバー間の友情、曲作りの様子など興味深いことばかり)が付いていたので、これでThe Jamのすべてがわかった、ような気にさえなってました。(その後BBCのライヴが出たりして、まだまだ知られざる姿があるのだなと思わされたりもするのですが。)

 思い出話の最後に付け足せば、The Jamの「In the City」は友達とやったバンド(わたくしはドラムなのですが)でもやりましたなあ。中学の頃からの友人と組んだバンドで一回、その後別の同世代の友人とのバンドでもこの曲を取り上げさせてもらったものです。Rick Bucklerのドラミングは、8ビートの王道的なもので(シャッフルのようなものはあまりないと思います)、聴くと叩きたくなるんですよね。リーダーじゃないんですが、ライヴになるとバンドを後ろから煽ってる感じ(特に初期・中期)が好きでした。

<今回取り上げた作品>
(1)The Jam『COMPACT SNAP!』(1984):デビュー作「In the City」から最終シングル「Beat Surrender」まで21曲が聴ける編集版(ベスト)。
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(2)The Jam『DIRECTION REACTION CREATION』(1997):いわゆる全曲集で、一部を除いてすべてのスタジオ音源を収録。1st『IN THE CITY』から『THIS IS THE MODERN WORLD』『ALL MOD CONS』『SETTING SONS』『SOUND AFFECTS』『THE GIFT』までのオリジナルアルバム、シングル曲、レア音源(デモ等)が聴ける。(レア音源集としては他に『EXTRAS』(1992)がある。)なお本作のタイトルは、初期の名曲「All around the World」の歌詞からとられています。
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(3)The Jam『LIVE JAM』(1993):ライヴ盤。時期も場所も異なる演奏がまとめられているのですが、通して聴いても違和感がない。聴衆の歓声も熱く、わたくしのような後追い人間がライヴの雰囲気を追体験するのにも好適。なお次に述べる『DIG THE NEW BREED』とは曲目が重複しないようになっています。

(4)The Jam『DIG THE NEW BREED』(1982):最初に出たライヴ盤で、解散の直後に置き土産のようにして出されたようです。こちらも諸々の時期・場所の演奏をまとめたもの。

(5)The JamThe Jam at the BBC(2002):時期ごとにまとまった演奏を聴けないかな、と思っていたら出た、お宝音源。初期好みのわたくしは、「Art School」「All around the World」「Carbany Street」「News of the World」のライヴヴァージョンが聴けて狂喜乱舞。わたくしが入手したのは限定版で、1979年レインボーシアターでのフルライヴがボーナスディスクとして付いていました。

(6)V.A.『PUNK AND ITS AFTERSHOCKS』:オムニバスのVHS。タイトル通り70年代末頃のパンク周辺バンドの演奏やインタビューが観られます。The Jamのほか、Sex PistolsThe ClashThe Policeなどの演奏場面もあるのですが、特に印象に残っているのは他の人々。Spizzenergi「Where's Captain Kirk?」(当時のクラブでの盛り上がりが異様)、The Selecter「Too Much Pressure」(独特のノリに浮かされた)、Ian Dury & the Blockheads「Hit Me with Your Rhythm Stick」(Duryの存在感が凄い)、The Pretenders「Brass in Pocket」(狭いスタジオでの演奏風景だがChrissie Hyndeがエラくカッコ良い)、Gary Numan「Down in the Park」(Numanの妖しいステージングが衝撃)、The Kinks「Attitude」(好きなバンドだったが、70年代末にこんなパンク+ハードロックな音を出していたとは。最高すぎる)。この映像集のおかげでわたくしの「パンク」概念が広がりましたね。DVDにはなっていない……と思っていたのですが、どうやら『ブリティッシュ・パンク・インベンション』の名で出ているものが同じ内容のようです。
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短くまとめようと思ったんですが、だめでした。次回は誰の何を取り上げましょうかね。