Spizzのコンピ、続き。
Spizzenergi『SPIZZ NOT DEAD SHOCK !(1978-1988 A Decade of Spizz History)』(1996)
- No Room
- Red & Black
- Where’s Captain Kirk ?
- Spock’s Missing
- Soldier Soldier
- Mega City 3
- Jungle Fever
- Central Park
- Work
- Amnesia
- The Meaning
- Virginia Plain
- 6000 Crazy
- Cold City
- 1989
- Platform 3
- Solarisation(Shun)
- Pure Noise/Alien Language/P.F.H.
- On My Own
- Where’s Captain Kirk ?
- Living Is Better with Freedom
- Three Lions in the Sky
次は1980年もの。Athletico Spizz80=Spizz(Vo)+Jim Solar(Ba)+Dave Scott(Gt)+Mark Coalfield(Key)+C P Snare(Dr)。つまり、ピートが抜けてドラムが変わっただけで、骨格はSpizzenergiとおなじ。(1)「No Room」、(4)「Spock’s Missing」、およびBBC音源の(8)「Central Park」が彼らの演奏。
ピアノから入る「No Room」は、彼らとしてはかなり“オーソドックスなスタイルに寄った”作品。聴きやす……いかと思うと、歌が入るあたりからオイル以来の妙なリフが登場しますが。サビの“♪No room for you……”からは素直でキャッチーなんですけど。コールフィールドさんの功績じゃないですかねえ。「Spock’s Missing」も、スタートレック・ソングかもね。アコースティック・ギターで物悲しく始まる。Spizzの歌唱が堪能できる曲とはいえるかも。ギターリフのコードが奇妙なのは伝統通りですけど。ドラムがしっかりしてるのでカッコよく聴こえちゃう……C P Snareさんって誰?(8)「Central Park」も96年のライヴでやってたね。ここもスピッツさんのヘタウマヴォイスはいつも通りながら、ドラムが巧みでびっくりしますよ。
1981年のThe Spizzlesからはチョイスがないみたい。82年のSpizzenergi:2=Spizz(Vo)+Jim Solar(Ba)+Pete Petrol(Gt)+Colin White(Gt)+Brian B Benzine(Dr)から、(6)「Mega City 3」と(7)「Jungle Fever」、(9)「Work」、(11)「The Meaning」。コールフィールドさんはいなくなっちゃったけど、割と洗練された感じの「Mega City 3」、ライヴでもやってましたね。これもおそらくはSF的テーマじゃないですか。(9)「Work」は、イントロのドラムが「未来は僕等の手の中」(The Blue Hearts)みたいですけど――こっちが古いか――、その勢いそのままのエネルギッシュな曲。Athletico Spizz 80の高度なミュージシャンシップはない代わりに。パンクっぽさが復活。楽曲中に「ラ・マルセイエーズ」やらThe Beatles「I Feel Fine」やら多数の楽曲の短い引用あり。
「Jungle Fever」は、かなり正統的なポップソングに寄ってますかね。メリハリが利いてる。奇声がバックに入ってるところなんかは、彼らの流儀ですけど。「The Meaning」は、深くエコーのかかったヴォーカルが特徴的。構成がキッチリしてるところは、ソングライティングに参加したコリン・ホワイトさんの影響かもなあ。
おあとは、1987年の(20)「Where’s Captain Kirk ?」(再録)、(21)「Living Is Better with Freedom」、未発表だった88年の(19)「On My Own」、そして1996年の(22)「Three Lions in the Sky」。(20)は、Spizz(Vo)+Mark Smith(Key & Programming)+Mark Ferda(Gt)+The Daughters of God(Cho)による。コーラス部隊の名前がすげえ。基本は打ち込みなので、私の趣味じゃないですが、歌は紛れもなくスピッツさん。(21)も同ラインナップによる打ち込みソング。南国風(?)の明るきサウンドに載せてサビで“♪Living is better with freedom, that’s what I say……”っていうのは、真面目なのかジョークなのか。ここでもシンセサイザーでクラシックの引用をぶち込んできたり、変なことは変。
未発表だったという「On My Own」も、Spizz(Vo)+Mark Smith(Key+Programming)体制ですが、曲としてのストラクチャーはしっかりしていて、割と聴きやすい。ユニットとしての個性があるかって聞かれると微妙ですがね。ダンサブルなところは悪くない。本作ラストに配された「Three Lions in the Sky」は、“TV Theme for Euro ‘96”だそうですぜ。Spizz(Vo)+Andy Hooper(Key+Programming)による。これまた、なかなか聴きやすい分、個性はさほど感じられなかったり。むずかしいもんですな。
というわけで、通して聴いても、別に演奏がすごいわけでも、曲が突出してるわけでもないんですよ。それでもね、時々引っ張り出して聴きたくなる。ホント、妙な魅力のある人(たち)なんですよ。皆さんも、オーソドックスな音楽に飽きたら是非どうぞ!
<完>