DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳146

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Napalm Death「Constitutional Hell」(『PUNISHMENT IN CAPITALS』2003)

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 ナパーム・デスっていうと、「You Suffer」がネタ(トリヴィア)的に有名になってしまったけれども、他にも一般ロックファン(Like me)が楽しむポイントはある。例えばこの「Constitutional Hell」は、個人的にはキャッチーな部類に入ると思っています。

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 あ、いやっまあ、堅気の方が聴いたら「なんだこれ?」かもしれませんが、曲の構造がきっちりあるので、私程度のデス/グラインド初心者でも楽しめるということで。

 

 あと、彼らはユーモアを備えつつ真面目な連中で、楽曲やアルバムにしっかりとメッセージ性があるのがイイ。たんに暴力的なことをやってるのではないと知った時、尊敬し直すことに決めました。ファシズム批判とか。この曲も、(たぶん)ポリティカルな批判精神が込められていると思われます。“♪Constitutional hell !”

どんぱす今日の御膳145

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Kansas「Diamonds and Pearls」(『VINYL CONFESSIONS』1982)

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 名曲目白押しのKansasの中でも異色作とされますコチラ。メイン・ソングライターKerry Livgren(第12回「Kerry Livgren」(1))の作曲であるにもかかわらず、それまでの王道スタイルとは違ったものを出してきました。リードヴォーカリストがSteve WalshからJohn Elefante(どんぱす今日の御膳001)に交替してのアルバム、ということも関係したのか……

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 特徴はいくつかありますが、従来にないジャズっぽいスウィング風味の楽曲という点が一つ。豊富なホーンの導入(終盤にはソロ有り)がさらに一つ。ジョンまたはケリーのプレイになるピアノの独特な入り方(0分50秒辺りほか)がもう一つ。この曲単品で聴いたら、カンサスだとは思えないかもしれないレベル。

 

 私なぞも初めて聴いた時には、「カンサスというよりビリー・ジョエル(77-78年頃の)っぽい!」と思ったものでした。


 いま聴きなおしてもその印象は変わらないかな。いい意味で、彼らの力量の幅広さを表していると思います。ライヴでも当時は演奏されていまして、そっちでPhil Ehart(Dr)のスネア・ワークを味わったりすると、「ああ、やっぱりKansasだ」と思えるのですがな。フィル・イハートさんってあまり「スーパードラマー!」と祀り上げられない方ですけど、カンサスの背骨は間違いなく彼の太鼓ですぞ。

中国メタル名曲紹介(11)戦斧楽隊

 これ以降はあまり継続的にチェックしてるものではなく、単発で手に入れたものが中心になります。

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 第十一弾は、戦斧楽隊(Tomahawk)

  【検索にそのまま使える簡体字表記は文末に】

 

1.戦斧「拒絶繁殖」(1stアルバム『死城』2001)

2.戦斧「死城」(1stアルバム『死城』2001)

3.戦斧「人之初」(1stアルバム『死城』2001)

<メンバー>

張燕青(Vo, Gt)

郭智勇(Gt)

張新偉(Ba)

朱正力(Dr)

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 「デスメタル」って聞いてて、タイトルもそれっぽいから、フロリダ風デスメタルを予想してたら随分雰囲気が違ってビックリ。ハードコアを含む、モダン・ヘヴィネス(久々にこのタームを使ったぞ)といった方がよさそうだ。

 

 1「拒絶繁殖」の圧迫的なギターワークはデスメタル的だし、ドラムの圧力・重みもよいのですがね。

 

 中国初期デスメタルファン(?)からすると、リードギタリストが郭智勇先生だっていうのはポイント高いのよ。初期冥界楽隊にいた御方ですから。

 

 タイトルトラック「死城」(2)は、アコースティックギターの調べから物悲しく始まる。歌の入る本編のリフと歌メロの陰鬱さはデスメタルである。盛り上がるか?と思わせてアコギに戻るあたりも聴き手を憂鬱にさせるね。後半はまた盛り上がりかけるんだが、チェロが哀切の調べを弾き続けるからやはりダウナーに。

 

 短い曲も紹介しようと思って「人之初」(3)を取り上げましたが、これも別にわかりやすい爽快ソングなどでなく、息苦しくなるようなメタル。曲ができたのは本作中もっとも古く1993年夏……ということはバンドがだいぶ「デスメタル」してたころのようだね。途中挟まれる無理やりな加速パートとの対比は確かに面白いし、郭先生のギターワークは流石のレヴェル。うむ、この曲がいちばん(私には)魅力的かな。

 

 でも、こういうヘヴィな(陰鬱な)アルバムが1カ月で5万本売れたというから、世の中わからないですね。

<続く>

 【簡体字表記】

战斧乐队

ALBUM《死城》

SONG《拒绝繁殖》《死城》《人之初》

どんぱす今日の御膳144

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Freak Kitchen「Jerk」(『SPANKING HOUR』1996)

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 “♪I’d rather be a jerk !”って楽しそうに歌うギタリストってなんなの?と思ったのは最初だけで、Mattias IA Eklundhの変態的(異様にテクニカル)ギタープレイに開いた口がふさがらなくなる。

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 これも友達が教えてくれたやつで、動画を最初にみせてくれたんだったかな。マティアスはRon Jarzombekみたいに‟気持ち悪いプレイを気持ちよく聴かせる”妙技をお持ちですが、キャッチーな歌も歌っちゃうところがうわて。

 

 ホント、世の中にはいろんな凄腕ギタリストがいるもんですよね。

どんぱす今日の御膳143

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Giles, Giles & Fripp「Suite No.1」(『THE CHEERFUL INSANITY OF GILES, GILES & FRIPP』1968)

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 ご存知King Crimsonの前身。発掘音源も少しずつ追加されてますが、当時の正規リリース品の不朽の価値は失われぬ。ジャケットの「スマイリング・フリップ」(激レア!)も含めてな!(ジャケット右下の眼鏡ジェントルマンがRobert Fripp)

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 真面目な話、ちょっと不思議ではあるのですよ。このアルバムの牧歌的なフォークロックが、多少メンバーの追加があったとはいえあのクリムゾン・キングの宮殿に結びつくということが……。

 

 そんななかで、後のKing Crimsonを(80年代以降まで含めて)予見させる数少ない要素のひとつ、それがフリップ先生のメカニカル・ギターワークなんですな。

 

 「Suite No.1」(特にイントロからの第1のセクション及び楽曲終盤)は、ネオクラシカル・ギターといって差し支えなかろうと。いや、単にクラシカル・ギターでよいのか。ブルーズのイディオムを極力排し――スケールにしても、チョーキングを用いないところにしても――たギタープレイは当時としてはかなり珍しいのではないかと思います。この作法だけ(?)は、「21st Century Schizoid Man」から「Fracture」を経て「Frame by Frame」まで一気通貫。好き嫌いは別にしてロバート・フリップの絶対的個性だと思うのですが如何。