DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳119

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Shampoo「Shampoo You」(『WE ARE SHAMPOO』1994)

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 私が中学の頃、彼女らの「Trouble」は無茶苦茶、無茶苦茶流行ってました。友達にも「シャンプー、いいよ?」という面々はいたのだが、流行りものは意地でも聴きたくない頑固爺(?)の吾輩、「そ、そんなのよりビートルズヘルター・スケルターだぜ」みたいなわけのわからん抵抗していた。

 

 だいぶたって、ブームも去り、だあれもかのバンドを聴かなくなってから、「もういいかな」と廉価にファーストアルバムを入手して(BOOKOFFとかで100円なのって、ひでえなあ)掛けてみた。ガーリーなデュオ・ヴォーカルは別にそれだけでは好みでもないのだが、やはり楽曲の出来が良かったですね。

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 フックの多い「Trouble」は別格としても、「Delicious」だの「Glimmer Globe」だのもね。「Shampoo You」は正統的なメロディアス・ポップの系譜で、ちょっと古風ですが良いです。直後にAC/DC風のリフを持つ「Outta Control」が続くのも含めてね。

どんぱす今日の御膳118

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The SearchersSweets for My Sweet」(『MEET THE SEARCHERS』1963)

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 リヴァプール出身のビート・バンド。このファーストアルバム(だよね)だけでも、「Love Portion No.9」、「Money(That’s What I Want)」、「Twist And Shout」ほかの好演が入ってるし、他のアルバムも含めれば「Needles And Pins」やら「When You Walk In The Room」なんかもある、人気者よ。

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 ビートルズと同時期のバンドとしては大ヒットしたグループだそうで、確かにビート・ロックバンドとしての腕前はThe Beatlesより上かもしれない。ただ、時代は自作自演重視になり、またアートロックの方面へ――つまりビートルズが先導したルートへ――進んでいきましたから、The WhoだのThe Kinksだのといった――私が愛聴しまくる――ものどもの陰に入ることになった……のかなと。

 

 自白しますが、はっきり言ってわたくし、この人たちのことを甘く見ていた(‟ポップスでしょ?”)のですが、ちゃんと聴くと良い。サーチャーズのデビューシングル「Sweets for My Sweet」(オリジナルは1961年、The Drifters)のビート感覚、コーラスワーク……味わい深いです。

どんぱす今日の御膳117

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Mike Lepond's Silent Assassins「Master Of The Hall」

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 プログレッシヴ・メタル界の小さな巨人Symphony Xの現ベーシストMike Lepond。そのプロジェクト/バンドSilent Assassinsのセカンドアルバム『PAWN AND PROPHECY』(2018)の冒頭がこちら「Master Of The Hall」。大仰なクワイアで幕を開けるので、本家張りのプログレッシヴでシンフォニックな方向を強調するのかと思いきや……本編の基本は勢い重視の疾走ナンバーで、うれしい驚き。

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 ベースはもちろんMike(Michael)Lepond、この曲のギターはLance Barnewold、ドラムは打ち込みらしいですが“Drum Programming”を手掛けているのはSymphony XのMichael Romeo。ロメオ先生は他作品でオーケストレーションを担当してるのを拝聴したこともありますが、ドラム監修も見事だ。

 

 そして何といっても、Alan Tecchio(Vo)ですよ。そう、Hadesの、Watchtowerの、Seven Witchesの!米国(裏)パワーメタル界の伝説的ハイパー・ヴォーカリストだあ。って私が勝手に盛り上がってるだけですけど、この人の“強烈な器楽に対抗する熱(くるし)い歌唱”すんごいメタル的で好きなんですよね。

 

 本アルバムはそのアラン先生を存分にフィーチュアしたハード・ナンバーから、ベース名人芸を堪能できるプログレッシヴ楽曲、“西部劇の挿入歌?”みたいなカントリー・ロック、21分を超える超大作組曲……と何でも有ります。(その組曲にはギターでMichael Romeoが、キーボードでMichael Pinnellaが参加。なんだかSymphony Xってマイケルが多いな。)

 

 「Master Of The Hall」はMike Lepond’s Silent Assasinsがオフィシャルに上げてる音源がYoutube上にあるようですから、まずはそちらでお試し下さい。

このドラミングがすごい“mini”(9)

(9)Uwe Heepen

【曲】Helicon「Helicon Part.2」(『HELICON』1993)

 誰もドラマーと思っていなさそうなので、私がひっそりと。ジャーマン・メタルのあだ花的な扱いをされた悲運のバンドHeliconのリーダーUwe Heepenは、ソングライター&ヴォーカリストというだけではないのである。……実はドラマーだったのです。ファーストアルバムでは全曲彼がプレイしているというクレジットがある。

 

 ヴォーカリストとしては、確かに当代の一流人士には敵わぬ。バンドもライヴでは実力が発揮できなかったようだ。いろいろな要素が重なって、なんだか半笑いでこのバンドのことが語られるように見受けられるが、このバンドのおもしろさはHelloweenBlind Guardianのような劇的メタルとは少しベクトルの異なる、アメリカンな(爽な?)テイストの振りかかり具合にあるのです。(セカンドアルバムではその具合がさらに甚だしくなる。)

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そうすると、どうなるか?ちょっと展開が強引になったり(木に竹を継いだ、とまでは言いませんが)するわけね。そこを面白いと思うか、舐めてると思うかなんでしょうが……私は好きなのよ。で、その強引さを支えてるのは、作者ウヴェ・ヒーペン自身によるドラミング。(音質的に打ち込み疑惑が無くもないのですが……少なくともUwe兄貴のアイディアによるパターンであることは間違いない。)

 

 ファーストアルバムの2曲目、いわゆる本編の幕開けとなるこの「Helicon Part.2」はまさに聴き手を篩に掛けるような一曲。Rainbowの「Stargezer」のような(って言ったらちゃんとした人に怒られそうだ)“ピックスクラッチの中のロング・ドラム・ソロ”から始まるのですが、これが些か(中途半端に)長い。そこから“♪G-g-g-g-go-go-go-go-go~”のウヴェ・シャウトが切り込んできてギョッとさせられ、メインのギター・リフがいっぽうで妙に開放的で、「?」。

 

 ところが、各所に割り入るギターのオブリガードはなかなか鋭利でメロディアスだったりもする。中間部分では、HelloweenHalloween」の一部分みたいにテンポとムードを「夜」っぽくするかと思うと、重厚なメタルリフで押す中に速弾きギターソロを突っ込んだりとやりたい放題。“♪Crying in the night!”曲の最後にトコロテン(ドラムの・フィルね)で“ドゥルルル”って終わるのもダサかっこ良……ダサい。

 

 これだけヘンなところがある――断っておきますが、演奏技術や歌がそこまでヒドイわけではない――曲って、なかなか探しても聴けないと思うのね。だから、HeliconというかUwe HeepenのことをHelloweenの亜流とか出来損ないとかいう意見には、つよく反対申し上げたいわけ。Uwe Heepenはもっと……‟根本的なところでユニーク”だったのよ。もし彼のヴィジョンを一緒に練り上げる仲間(プロデューサーやエンジニアも含め)がいたら、ジャーマン・メタルの幅を広げる存在になり得たのかもしれないとさえ思うのですが……

 

 世の中厳しいもので、結局ヘリコンは成功を収められず終わってしまいました。ウヴェは一線から退き……スタジオ経営とかをやっていたようなのですが、2001年と2005年にはソロアルバムを作ったという記録があります。無茶苦茶レアなようで、探しても探しても手に入らないんですが。いつかまた気が変わって、有望な若手とHelicon再編!とかしてくれないかなと願っておったのですが……

 

 2013年、Uwe Heepen氏は亡くなってしまったのでありました。Youtubeに「Helicon/Black and White」の演奏映像がありましたが、そこのコメント欄にも、少数ながら彼を悼む声が上がっていましたね。せめて吾らは彼の遺産を「音を聴くことによって」顕彰していくとしましょうよ、ね……

※☟別の曲になりますが……

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どんぱす今日の御膳116

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The Salinger「クラクション・ハニー」(『クラクション・ハニー』2000)

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 学生の頃夜中にケーブルテレビを見ていたら――このパターン無茶苦茶多いね、テレビっ子かよ――、表題曲のPVが流れたんです。サリンジャーっていうグループは全然知りませんでした。パンクの範疇に入るのかなあ、なかなかの突進力だとおもったのと、ヴォーカル(エディさん)の歌詞表現力にいたく感銘を受けました。

 

 邦楽あまり聴かないんですが、日本語詞をこの轟音の中で説得的に響かせるのは凄いと。ザ・ブルーハーツ的な味を(勝手に)ものすごく感じたんですよ。

 “♪かなり確実に 僕等は落ちてゆく……”

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 マキシシングルを手に入れてカップリング曲「Brand New Day」も聴きました。そちらもスリー・コードのパンクロックを基本にした疾走ナンバー。“♪叩きのめされて ここに立つ……”