7分を超える「King Of The Night」は、重厚(ヘヴィ)な仕上がり。ボビーさんの歌は美味いんですが、ここまで聴いてきて何となく個性が判ってきました。ブリティッシュHR界のファンキストといえばGlenn Hughesが想起されますが、彼よりも太く力強いヴォイス。ブルージーな楽曲を歌いこなすという点ではDavid Coverdaleにも負けてない(Micky Moodyさんは両方と組むことになるわけでして、‟ミッキーが偉い“可能性も有るが……)。
この「King Of The Night」も、Davidが歌えばWhitesnake、Robert Plantが歌えばLed Zeppelinの曲といっても通じるような大作佳曲。尺が長い分、中間の浮遊感ある間奏(ピアノ、キーボード)を楽しんだり、後半・終盤のきわめて印象的なギターソロ(これがTony Iommiだったりするんじゃないのかなあ……?)に浸ったりできるんですけども。英国人が長尺曲をやって「プログレチックにならない」っていうのは珍しくて(そうでもないですか?)、他にはStatus Quoの名人芸があるくらいじゃないのかと。
折り返して「Little Linda Lovejoy」は、シンプルなリフレインが耳に残るウォーキング・ハードロック(造語)。やっぱりスライド・ギターが美味しいところを持っていくね。グッと腰の据わったビートが心地好い。
ラストの「Looking For A Friend」は、ピアノとオルガンの二重鍵盤が美しいバラード。これはひょっとするとMatthew Fisher(こちらもまた元Procol Harum)による仕掛け及びプレイなのではありますまいか。この曲の抒情的歌唱は、さっきの「Spotlight」と並んでボビーさんの意外な一面を知ることができる好サンプル。要所要所だけ熱い歌唱で盛り上げるメリハリも素敵。ハードロック・ファンは、Tommy Bolin「Dreamer」(『TEASER』所収)を想起されるとよいかな、あの感じよ。(あっちでは終盤に「だけ」グレン・ヒューズが登場して盛り上げていくよね。)
Fiona Apple「A Mistake」(『WHEN THE PAWN HITS THE CONFLICTS HE THINKS LIKE A KING WHAT HE KNOWS THROWS THE BLOWS WHEN HE GOES TO THE FIGHT AND HE’LL WIN THE WHOLE THING ‘FORE HE ENTERS THE RING THER’S NO BOSY TO BATTER WHEN YOUR MIND IS YOUR MIGHT SO WHEN YOU GO SOLO, YOU HOLD YOU』1999)
Ted NugentとSteve Farmerが率いた(少なくとも初期はそういう認識でいいよね?)バンドThe Amboy Dukesにこんな曲がありましたわ。セカンドアルバム『JOURNEY TO THE CENTER OF THE MIND』(1968)に入ってる。
同アルバムではテッドとスティーヴ共作のややハードなタイトル曲「Journey to the Center of the Mind」がヒットしたんですが、アルバム全体はサイケがかった作風なんですね。この「Why~?」もゆったりリズムの上で気怠いヴォーカルが乗っかるふわふわした曲。ヴォーカルが多重になるところやオルガンの音色が時代を感じさせます(いい意味で)。
The Amboy Dukesでは前述「Journey~」のほかにも、ファーストアルバムでCreamの「I Feel Free」やBig Joe Williamsの「Baby Please Don’t Go」のカヴァーを披露していたりと、ハードロック好きを惹きつける要素が多々ありますが、一方でやはりサイケ/ガレージロックの(時代の)風雲児でもあったことがわかるのであります。