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どんぱす今日の御膳233

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Scorpions「The Sails Of Charon」(『TAKEN BY FORCE』1977)

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 おそらく王者イングヴェイ・マルムスティーンが、リッチー・ブラックモアと並んで「足を向けて寝ることのできぬ」ギタリストがこのウリ・ジョン・ロート(Uli Jon Roth)でしょう。ハーモニック・マイナーを大胆に取り入れた滑らかなプレイが持ち味。イングヴェイはかつてインタビューでUliについて「俺と似ていることをやっているなと思った」と発言していますが、実は彼がアマチュア時代に(Uliの在籍した)Scorpionsの曲をカヴァーしていたことが判明しています。

 ウリは自他ともに認めるJimi Hendrixのフォロワーとしても知られ、とりわけ精神的な面ではHendrixのスピリットに傾倒しているようです。プロとしては、ドイツ産ハードロックバンドの祖ともいうべきScorpionsの二代目リード・ギターとしてデビュー(1974年)。1978年に同バンドを脱退後は、自らのバンドElectric Sunを結成、3枚のアルバムを発表。その後はソロ・アルバムを出しています。発表する作品のクオリティは高いのですが、寡作で知られ、予告された新作がなかなか出ないなんてこともありました。

Primary

 「The Sails Of Charon」はスコーピオンズ第5アルバム所収の一風変った雰囲気の曲で、作曲もUli。とにかくイントロのソロを聴いて下さい。これが1977年です。のちにYngwie Malmsteen『INSPIRATIONS』というカヴァーアルバムでとり上げていますし、スラッシュ・メタルの名バンドTestamentがカヴァーしたり、ウリ自身さえ近年のSCORPIONS REVISITED』でも再演しているまさに古典ですが、この“妖しさと美しさの共存”は77年版オリジナルならではのもの。

 

 Electric Sun時代は、自身のヴォーカルにちょっと弱点はあるものの、より独自性の高い音楽を創造。私はハード・ロック支持者なのでトリオ編成の最初の二枚が特に好きです。「Electric Sun」(1979)は名曲と言わざるを得ない。

 あとは、いまや著名になった、彼のメインギターである「スカイ・ギター」(通常よりかなり高い音域を表現できる)を極めた二枚組『TRANSCENDENTAL SKY GUITAR』(2000)、その冒頭曲「Sky Overture」が素晴らしいですね。

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