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どんぱす今日の御膳234

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Mahogany Rush「A New Rock And Roll」(『CHILD OF NOVELTY』1974)

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 前回のウリ・ジョン・ロート同様、強烈なジミヘン・フォロワーですが、やはり個性派のFrank Marino。カナダでのデビュー(1972年)当初はJimi Hendrixカラーが強かったのですが、徐々に個性を発揮。ドライヴ感のある曲やプログレ的な(凝った構造の)曲を書いたり、様々なエフェクターを組み合わせてカラフルなプレイを見せたりと、他では見られない(聴かれない)試みに踏み出していきました。

 セカンド『CHILD OF NOVELTY』には、疾走するこの曲“新しきロックンロール”ほかにも、魔術的なリフレインが活きるアルバム冒頭の「Look Outiside」、後の名作ライヴ『LIVE』でもとり上げられる「Talkin’ ‘bout A Feelin’」などが入っていて楽しめます。そうそう、フランク・マリノはソウルフルなヴォーカルも上々で、珍しい「歌えるギタリスト」です。

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 私はこの人の音楽がどういうわけかかなり好きで(別にリアルタイムで聴いたとかではないのですが)、諸作品をチェックしましたが、まず一枚と言えば上述の『LIVE』Frank Marino & Mahogany Rush名義)がお薦めですかね。のちにXX Japan)にカヴァーされる「The World Anthem」も入ってるとか、Jimi Hendrix「Purple Haze」のなりきりカヴァーもあるとかいった“外的ポイント”だけでなく、アタマの「The Answer」「Dragonfly」のグルーヴ、ロックやブルーズのクラシックを自家薬籠中のものとした「I’m A King Bee」「Johnny B. Goode」などまで聴きどころだらけ。

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 弾きまくりの印象が強い人ですが、ラフなようでいて構築的なソロも美しいという点を味わうには、Frank Marino名義のアルバム『FROM THE HIP』もイイ。20年近く前になりますが、DU新宿プログレ館をうろついていたら(私が)、このアルバムの冒頭4曲(「Babylon Revisited」「I'm Ready」「How Long」「Rise Above」)が流れ、あまりの美しさに――こういうことは滅多に無いのですが――店員氏に「いま掛かってるこれ、誰なんですか?」と尋ねるほどだったしろもの。「こちらです」といって示されたのが『FROM THE HIP』だったのですが、思わず「え、これ、フランク・マリノだったんですか?」と声をあげてしまったくらい、“フランク・マリノといえばジミヘンぽいことをやってるロックンロールの人”という当方の偏狭なイメージを粉々にする作品でしたね。当然、「これも買えますよね!」とか言って売ってもらったのであります。その日本盤(中古品)には大谷レイブンさんのライナーもついていましたね、懐かしい……

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