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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳222

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Spooky Tooth「Waitin’ For The Wind」(『SPOOKY TWO』1969)

youtu.be

 「ドラム・ソロで幕開け」シリーズになってきましたが、これはどうだ。

 ドラム・オンリーなので「ソロ」ではあるが、叩き出すビートはいわゆるフツウの8ビート。楽曲開始を待っているだけ、といえなくもない。のだが、聴いててちょっと不安になる――「え?まだ始まんないの?」――くらい長いのだ。36秒間ですよ。しかもライヴ・ヴァージョンとかではなくて、スタジオ・アルバムの1曲目だからね。

 

 楽曲本体は、重厚なオルガンとソウルフルな歌唱が楽しめるナイス・ロック。どうしてもMike Harrison(Vo, Key)& Gary Wright(Vo, Key)に注目が集まるよね。我らが主役Mike Kellie(Dr)にスポットライトが当たることはあまりないよね。でもこの人は名手。この、派手さ皆無の「ソロ」で、8ビートマスターの称号はあなたのものだ。ちなみにここでベースを弾いているGreg Ridleyは、この後Humble Pie結成に参画し、アナザー8ビートマスターJerry Shirleyと組むのでありました。

 『SPOOKY TWO』は、持ってて損のない名盤。マイク・ケリーさんも作曲に加わった(Kellie/Wright)やや米国風味の「I've Got Enough Heartaches」、フォーキーなテイストの「That Was Only Yesterday」なども含む一方で、ハードロックを通り越してプレ・メタルな質感もある2大名曲「Evil Woman」「Better By You, Better Than Me」も聳え立っておる。後者はJudas Priestがカヴァーした――構成もいじってるのでちょっと変化した――のでまだ有名かも知れないけど、「Evil Woman」はホントに邪悪な仕上がり。他ではやや控えめなLuther Grosvenor(Gt)がブチ切れたかのように弾きまくる中盤・後半は鬼。1969年にコレだからね。9分あるけど、聴いといたほうがいいですよ。