(25)Grand Funk Railroad「Black Licorice」
”licorice”というのはカンゾウ(甘草)なんですってね。“black licorice”は人を指すスラングのようで、歌詞の内容からしても植物の話ではありませんけど。ヒット曲「We’re An American Band」を収録したアルバム『WE’RE AN AMERICAN BAND』(1973)に入っているファンキー・ナンバー。
『WE’RE AN AMERICAN BAND』当時のGrand Funk Railroadは厳密にはGrand Funkと名乗っていた。鍵盤奏者Craig Frostが正式にメンバーになった。名匠トッド・ラングレン(Todd Rundgren)がプロデュースしていた。……と、トピックいっぱいのアルバムであります。「Black Licorice」はDon Brewer(Dr, Vo)がタフな喉を披露し、Mel Schacher(Ba)のうねりまくりベースがグイグイ引っ張る中でMark Farner(Gt)の切れ味スルドいカッティングをぶち込む、あつ(くるし)い一曲。クレイグのオルガン・ソロもナイス。
このアルバム版(スタジオテイク)もいいですが、少し後に出たライヴ盤『CAUGHT IN THE ACT』(1975)のライヴ・ヴァージョン――実は私はこっちを先に聴きました――は、はっきり言ってもっと良い。叩きながら歌うドン先生カッコいい……。アルバム通り「The Railroad」(こちらはMarkの熱唱が映えるヘヴィ・ブルーズ)につなぐところも美しいし。
ついでに言うと……GF(R)の演奏場面をみると、Mark FarnerのギタリストとしてのたたずまいがEddie Van Halenに影響与えてんじゃないかと思っちゃいます。それも相当ね。自由自在にギターを弾きまくりながらよく動き、かと思うと必要に応じて鍵盤まで弾いちゃう芸達者ぶりを発揮。そして何といってもあの楽しそうな様子。顰めっ面で職人気質のギターを披露するのも美しいけど、やはりステージ上の人たちがエンジョイ演出してくれるのはいいやね。マーク・ファーナーは紛れもなくスター。
<続く>