あ、今年は閏年でしたね。
特集は、2017年の作品についていろいろ言っておるところです。さて今回は……
(6)田中公平『GRAVITY DAZE 2 重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択 オリジナルサウンドトラック』(Japan)
ゲームのサウンドトラック。当然、ゲームを楽しんだ後で手に入れたわけです。
前にも言いましたっけ?私はアクション・ゲームはあんまり得意じゃないんですよ。ほら、「穴」とかあるとよく落っこちるもんでね。But、このゲームは「穴に落ちて終わり」っていうことが原理的に無いのでございました。主人公は重力を操るので……って、最初はどういう意味かわかんなかったし、3次元で動きまくり落っこちまくりで凄く「酔った」んですが、気が付くとかなりはまってました。たいへんおもしろいゲームでしたが、作品の魅力は音楽にも有り。あんまり気に入ったんでサントラまで探した、っていうのは以前ご紹介した『デュープリズム』と同じパターン。
1-1 Gravity Daze 2 1-2 災禍 1-3 憂心 1-4 帰港 1-5 バンガ 1-6 凶兆 1-7 パラレルフェイタル 1-8 出帆 1-9 採掘場 – 労働歌 1-10 強襲と凱旋 1-11 安息 1-12 魔境の域 1-13 重圧への抗戦 1-14 寂寥 1-15 石火の獅子 1-16 拭えぬ疑念 1-17 好敵手 1-18 拭えぬ疑念 (Additional 1) 1-19 拭えぬ疑念 (Additional 2) 1-20 拭えぬ疑念 (Additional 3) |
2-1 やがて船が見える 2-2 レイ・コルモスナ 2-3 ポートゥラオの朝市 2-4 焦燥 2-5 採掘場 – 静謐 2-6 レイ・エルゴーナ 2-7 黒き疾風 2-8 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Accordion Ver.) 2-9 燭光の域 2-10 レイ・ハビーナ 2-11 作戦指令 2-12 潜入 2-13 フォート・ビスマレア 2-14 亡霊都市 2-15 やがて船が見える (Additional 1) 2-16 やがて船が見える (Additional 2) 2-17 やがて船が見える (Additional 3) |
3-1 オルドノワ (Revisit Ver.) 3-2 プレジューヌ (Revisit Ver.) 3-3 インダストリエ (Abandoned Ver.) 3-4 ヴァン・ダ・センタリアレ (Revisit Ver.) 3-5 追跡 3-6 死者の行進 3-7 レベル4 3-8 採掘場 – 深淵 3-9 侵襲 3-10 アンジェ 3-11 パラレルフェイタル (Failed Ver.) 3-12 幾何の域 3-13 因果の螺旋 3-14 Gravity Daze 2 (Harmonica Ver.) 3-15 Faster And Higher 3-16 Qualify 3-17 Mission Clear 3-18 New Record 3-19 Game Over |
4-1 世界の果て 4-2 エト 4-3 閉ざされし日々 4-4 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Orgel Ver.) 4-5 狭間の記憶 4-6 電磁力の女王 4-7 世界の半分を統べる力 4-8 絶望 4-9 灰燼に帰す 4-10 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Chant Ver.) 4-11 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ 4-12 Gravity Daze/重力的眩暈 (Ending Ver.) 4-13 万有引力の崩壊 4-14 記憶の迷宮 4-15 陰陽 4-16 白紙に戻す怪物 4-17 ア クゥ オーン トゥ ワ/赤いリンゴ (Instrumental Ver.) |
作曲(演奏も)の田中公平さんは、ゲーム音楽の世界では大御所ということですけれども、本作(および前作『GRAVITY DAZE』)の音楽はたしかに素晴らしい。まだ新しい(?)ゲームなので、音楽に関するインタビューなんかもネット上に見つかりますから、田中先生の制作裏話などに興味があるなら探してみられんことをお勧めします。
一枚目、1-1のメインテーマ「Gravity Daze 2」を聴くといやでもテンションが上がってしまいますな。オーケストラで大きく盛り上げていただいて、さあ、始まりだっていう気分になる。あとはもう聴くごとにゲームの場面が浮かんでくるわけですが……
1-5「バンガ」のフォーキーな笛とヴァイオリンの味わいや、採掘に何度も出て聴いた1-9「採掘場 – 労働歌」のリフレイン、巨大植物(?)に目も眩んだダンジョンの1-12「魔境の域」の弦と管の妙あたりが印象に残っております。中でもやはりインパクトがあるのは1-10「強襲と凱旋」、いわゆるバトルの曲ですね。弦楽器も管楽器も入りますが、この曲はコアがロックバンドでして、何といってもドラムが素晴らしい。人力音楽ファンとしてはこういうのを聴きたい!わけでして、ありがとうございますとしか言えない。6分51秒あるのはこの一枚目では最長ですが、戦闘部分とクリア後の‟凱旋”部分が含まれているにしても、やはり入魂の作であり名演だからでしょう。
まだまだ行きますよ。全4枚は概ねストーリーの進展に沿って並んでいるのですが、二枚目はゲームの主要舞台となる「街」の音楽が中心で、それだけゲーム中で聴いた時間も長い。2-2「レイ・コルモスナ」の快活な明るさ(と、細かな楽曲上の工夫)がなければ、長時間の探索・散策はあんなに楽しくなかったでしょうな。物悲しい2-6「レイ・エルゴーナ」は世界観の深みを感じさせますし、ゆったり流れる2-10「レイ・ハビーナ」は空中都市の浮遊感と寛ぎを(そしてその背後にある欺瞞も)演出します。
後はですね、ミッション開始前によく流れて緊張感を煽る2-11「作戦指令」、敵に見つからないように行動しないとッていう気になる2-12「潜入」なんかが刷り込まれてますが、ベストインパクトは2-4「焦燥」。これもロックバンド・ベースのサウンドなんですが、しなやかなドラミングとメタリックなギター、ホーンと弦楽器の不穏なフレージングでホントに「焦燥」感に駆られるんですよ。ゲームとしては、時間制限のあるミッションをこなさなくてはいけないとかそういう場面が多かった気がします。
<続く>