前回と同じ作品、続きです。
(2)Linton Kwesi Johnson『INDEPENDENT INTAVENSHAN(The Island Anthology)』(1998)〔再掲〕
あと、楽曲単位で印象に残っているのが「Fite Them Back」。デビュー・アルバムに入っている曲なんですが、偶々ある動画で近年Linton Kwesi Johnsonさんがステージで演奏している様子というのを見て衝撃を受けちゃったんです。(動画のタイトルは“Fight Them Back”と表記されてますが。)曲の冒頭でLKJが「次の曲は70年代にファシズムが英国のみならず欧州全体で再び台頭してきたときに書いた曲だが、21世紀になっても状況は変わっていない。“Fite Dem Back”」って語ってるんですよ。「常にポリティカルにつき進む」詩人の鋭く厳しいセンスに脱帽しました。
そこから始まる演奏がまた熱い。演奏は少し粗い感じもありますが勢いがあって、LKJのヴォーカルは例のスタイルで割と淡々と。でも「詩」が凄くて、“♪Fashist an di attack, den wi countah-attack. Fashist an di attack, den wi drive dem back”云々と。闘争の音楽ですよね。Linton Kwesi Johnsonという人は、「ミュージシャン」「詩人」としてだけ括れる人ではないようで、「ジャーナリスト」「活動家」「学者」としての側面も持つことがバイオグラフィをみるとわかります。生半可な気分じゃ追いきれないね。
そういう意味でもこのアンソロジー、私のような初心者には大変ありがたいですね。「FiteDem Back」もオリジナルの気だるいヴァージョン(詩は無茶苦茶鋭利だけど)が聴けるすぐ後ろに、「BrainSmashing Dub」っていう同曲のダブVer(元は『LKJ in DUB』に収録)が入っています。心地よく聴くもよし、メッセージを正面から受け取ろうと頑張るもよし。真面目なリスナーとしてはいずれ後者の姿勢をとりたいと思いますが。
おっと忘れてた、最後に。『FORCES OF VICTORY』は1979年、『BASS CULTURE』・『LKJ in DUB』は1980年、『MAKING HISTORY:INTAVENSHAN』は1984年の作品です。<完>