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"But holy men and kings would die in the year Twenty Twenty-five......"<Satan>

Riot特集:時系列全作品紹介(4)『RESTLESS BREED』

Riot『RESTLESS BREED』1982

  1. Hard Lovin' Man
  2. C.I.A.
  3. Restless Breed
  4. When I Was Young
  5. Loanshark
  6. Loved by You
  7. Over to You
  8. Showdown
  9. Dream Away
  10. Violent Crimes

<メンバー>

Mark Reale(Gt)

Rick Ventura(Gt)

Sandy Slavin(Dr)

Kip Leming(Ba)

Rhett Forrester(Vo)

 

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 ヴォーカリストがRhett Forresterに交替しての4thアルバム。歌手がかわったこと以上に、ソングライティングの比重の変化が本アルバムを全カタログ中独特のものにしています。即ち、バンドリーダーMark Realeが作曲に関与した曲が三曲だけになったということ。Guyというソングライティング・パートナーを失ったことが大きかったのかもしれません……。ただし、レットやリックの持ち込んだ曲も決して弱いわけではありません。それに、演奏部隊の一体感は前作以上のものになっていて、聴きどころはちゃんとありますのでご安心を。

 

 1曲目の「Hard Lovin' Man」は、新生Riotのステージ・オープニングナンバーとしても機能した、パンチの効いたヘヴィ・チューン。むかしは、冒頭のリフに対して付随する基本リズムが‟遅い”ように感じたものですが、いま考えるとあれはあれでよい。“♪Come on boy, wow~”っていう冒頭のレット・シャウトも挨拶としては上等。2005年の来日時にはMike Tirelliがリードヴォーカルだったんですが、この曲をやったので意表を突かれました。

 

 疾走感のある曲の少ない本作中、珍しくドライヴ感のあるのが「C.I.A.」。ロックはいろんなものを題材にするものですが、CIAを正面から歌ったのってこれだけじゃないのかね。「俺はCIA」っていう歌詞からするに、社会批評的視点というよりも、アウトロー趣味から作られた(レット単独作)曲かな。「Road Racin’」のリフを裏返したようなフレーズで、ベースもボンボン走ります。

 

 Mark Realeのメロディアスなテイストはないのかい?と思っていると、次がそれでした。タイトルトラック「Restless Breed」は、屈指の哀愁ソングといって差し支えありますまい。レットの歌唱が――こういうマイナーなブルーズテイストは、ガイよりも――見事にはまっております。十八番の泣きのギターソロも健在……前作の「Altar of the King」や『THUNDERSTEEL』の「Bloodstreets」と並べて聴いてみてごらんなさい。まったく変わっていないから。

 

 次はカヴァー、Eric Burdon & The Animals――当ブログ命名の由来となったグループ――の「When I Was Young」。オリジナルは名人エリック・バードンの歌を軸にしたややサイケがかったナンバーでしたが、ここではストレートなハードロックにアレンジ。短いけどツインギターのソロも良い。それにしてもコレを選んだのは誰のセンスだったんですかねえ。

 

 5曲目の「Loanshark」は、叩きまくりのドラムとゴリゴリのベースが導くヘヴィ・シャッフリング。「高利貸し」をローンシャークというそうですが……さっきのCIAと同様、レットの書く歌詞(だよね?)は「俺はローンシャーク」ってな調子でドスが効いてる。割と私が好むソングライター――Billy Joel, Paul McCartneyとか――は、三人称の視点からストーリーテリングする名手が多いんですが、そういうのとはまたちょっと違う味わい。ライヴだとベースソロやドラムソロがフィーチュアされることもありました。

 

 次がまた異色作。リック作になる明るめのブルージー・ロックンロール「Loved by You」。ハーモニカのソロが長く挟み込まれ、それとギターのコール&レスポンス風セクションも設けられているあたりは、従来考えられなかったもの。レットの濁った(濁らせた声質の?)歌唱もワイルドさ・ダーティさを醸し出してて雰囲気あり。Riotっぽくはないけど。

 

 続く「Over to You」もリック作。前作の「No Lies」同様、ちょっとコード進行におもしろいところのある8ビートのナンバーで、歌メロなどはなかなかメロディアスな味わい。Riotの歴史上おそらくもっとも忘れられやすい作品ではないかと思われますが、いま聴くと結構いいね。リックのフィーリング勝負のシンプルなソロも好印象。

 

 Markはどこに行ったの?とおもっていると、もう一つ来た「Showdown」。いきなり泣きのギターソロから始まるあたりが心憎い。ここまではあまり感じなかったけど、レットの歌唱には、Paul RodgersやDavid Coverdaleのような英国風ブルーズロックシンガーの風味も確かにあるね。

 

 お次がもう一つリックのペンによる「Dream Away」。リックの作るリフのセンスも独特ですなあ。別段奇をてらっているものでもテクニカルなものでもないのだが、メジャー調を基本としながらこれだけ印象的なフレーズを生みだすなんてたいしたもの。ゆったりしたテンポなんだが、どこかしら浮遊感もある不思議な曲。終盤にかけてサンディのドラムも熱くなってくるよ。

 

 締めくくりは、レットとキップによる高速ナンバー「Violent Crimes」。「Fire Down Under」の路線ですかね。本作中では低・中音域を活かしてくることが多かったレットも、この曲では高音域でシャウト多用。結末部分の“♪Violent crimes……wa yayaya yah!”っていうところなんか凄い。うむ、前作までとは明らかにテイストは違いますが、82年という時点を考えるとよく出来たハードロック・アルバムではないでしょうか。

<『RESTLESS BREED』完、特集は続く>