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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

第44回「Linton Kwesi Johnson」(2)

さて、アルバムBASS CULTUREでございます。
 
(1)Linton Kwesi JohnsonBASS CULTURE1980
1. Bass Culture
2. Street 66
3. Reggae fi Peach
4. Di Black Petty Booshwah
5. Inglan Is A Bitch
6. Loraine
7. Reggae Sounds
8. Two Sides Of Silence
<メンバー>
Linton Kwesi JohnsonVo
Dennis BovellKey
Vivian WeathersBa
John KpiayeGt
Jah BunnyDr
 他
 
イメージ 1

 

買ってきて最初に聴いたのはやっぱり「Inglan Is A Bitch」。不思議な反響の強調された器楽(なんか、これが「ダブ」の特徴だそうですけど、合ってます?)、特にスネアドラムが印象的ですが、よく聴くと、ギターのカッティングやオルガンのフレージングもいい味出してる。“♪Inglan is a bitchdere´s no escapin itInglan is a bitchdere´s no runnin´ whey fram it”とか、歌詞も鋭くてかっこいい。
 
因みにこの曲、Youtubeなんかで検索するとLinton Kwesi JohnsonOld Grey Whistle Test(英国の人気音楽番組、数々の旬のアーティストが実演を披露した)でやってるのが出てきます。このヴァージョンも凄くて、なんと「詩の朗読」オンリー。伴奏無しなんですが、これはこれで無茶苦茶カッコいいの。詩も一層クリアにきこえるし、元の作詩がいかに(韻なども含めて)練られた言葉遣いだったのか思い知らされますわ。必見!
 
その他の曲もしっかり聴いてみるとおもしろい。メロウなAパートと跳ねるBパートの対比が印象的なラヴ・ソング(ですよね?)「Loraine」は、全体にまぶされたパーカッションも楽しい。いかにもなサウンドに乗せた「Reggae Sounds」の後は、フリージャズ(?)みたいなバックを従えての詩の朗読「Two Sides Of Silence」。
 
おっと、B面の流れを先に言っちゃいました。
 
アルバム冒頭はタイトル曲「Bass Culture」。遠目に鳴るホーン、こまめに刻むギター、多重キーボードでもって非常に奥行きを感じるサウンド。ロック的なリズムとは別ものですが、陶酔感を生むビートが凄い。「Street 66」も近くの鉦と遠くのハーモニカでもって立体感を出しているとみた(器楽部隊の領導人Dennis Bovell氏の手腕でしょうか)。詩の内容は把握しきれてないんですが、些かグルーミーな雰囲気と、終盤の芝居仕立てのところがインプレッシヴ。
 
次の「Reggae fi Peach」は、Blair Peachという活動家がナショナル・フロント(イギリス国民戦線、極右政党)へのプロテストのさなかに警官と衝突して亡くなったことを悼んだものだということです。あくまでいつもの朗読調で――つまり感情の起伏を敢えて出さずに――“♪Blair Peach he took a simple stand, against the fascists and their wicked plans, so them beat him till him life was done”と歌うところなどにリントン・クウェシ・ジョンソンの怒りが感じられる気がします。あくまでも淡々と歌われる曲ですが、最後に“♪Is England becoming a fascists state? The answer lies at your own gate, and in the answer lies your fate.”と迫るあたり、ある意味“♪No future for you !”のSex Pistolsよりもっと過激ですらありますよね。
 
重い曲が続いた後の「Di Black Petty Booshwah」は、少なくとも曲調は明るい。ホーンセクションが快活さを演出し、ギターソロなんかもあってね。さてさて、詩は……?おわ、これはパトワの濃度が他より圧倒的に濃い。サビは“♪Dem a black petty-booshwah, dem full of flaw”なんだけど、その意は一体?まだ読み解く(聴きとる?)能力がありません。
 
アルバムは、そして、次に「Inglan Is A Bitch」が来ます。(上に戻る)
 <続く>