その後もChris Smither、Dion、David Bromberg他多数のオープニングを務めたり、ニューヨークの自宅でギターを教えたりといった仕事を積み重ねたということです。なお、彼自身の自己規定は「ギタリスト兼ソングライター兼シンガー(この順序でよろしくね!)」だそうです。まずは自分はギター弾き、ということでしょうか。
<今回の作品>
Howard Emerson『A TALE TO TELL』(2004)
演者:Howard Emerson(Gt, Vo, etc)
1曲目は開幕を告げる挨拶みたいなもんで、2曲目からが本番。ドラムやヴォーカルも重ねられた「Flirty Skirt」。Howardさん自身によると、ファーストアルバムはほとんどギター・オンリーだったということですから、さっそくの新機軸。ボトルネックもイイ感じで決まるね。3曲目はカントリータッチ(?)のインスト。随分前に紹介したJohn Faheyさんの作風をちょっと思い出しました。4曲目もそういう路線かな。
短い5曲目をはさんで、軽快に跳ねるリズムのタイトル曲(歌入り)へ。息継ぎまでわかるような録音状態ゆえ、間近で聴いてるような感じにも。間奏のアコギ捌きもさすがに達者だ。7曲目も短く済んで、インストの8曲目へ。さきほどまでの踊らせ調とはうってかわって、構築された美しい展開と響き。いい曲だね。
またも短い9曲目を入れて、次が唯一のカヴァー「Maybellene」。言わずと知れたChuck Berryの名曲を、アコギ一本で歌ってカヴァー。原曲のリズムはカントリー調なので、実は違和感なし。これは楽しいね。11曲目がまた短くて、次の「Piping Plover Waltz」がまた、ボトルネックの妙技を味わえるスローナンバー(ワルツ?)。
軽快な13曲目、ドラムに歌も入った14曲目、そして「ノーキー」なる名前が入っている曲でおしまい。やはりボトルネックを大々的に取り入れたプレイで魅了。
ビリー・ジョエル・バンド時代の面影は正直ないんですが、ギターの達人による上質のサウンドとして楽しめました。とにかく音が良かった。アコースティック・ギターやフォーク・ミュージックのファンの方ならご一聴の価値ありでしょう。入手はちょっと大変かもしれませんが。