(4)長倉哲郎
【曲】Alhambra「Missing You」(『明日への約束――A FAR CRY TO YOU』2005)
すでに長倉さんはAlhambraを脱退されていますが、私がアルハンブラを聴き始めた理由の3分の1くらいは長倉ドラミングのせいである。もとい、おかげであります。
スーパー・ファンタジックなMarge Litchという国産プログレ・バンドの『FANTASIEN』(1998年版)にDisk Heavenで出会って、「うおおおお、こういうのもっと聴きたい!もっとないの?」と思っていたところに入ってきた、世良氏(Vo)・神保氏(Ba)・長倉氏(Dr)らが別のバンドを立ち上げるという話。「!?」と思って待つうちに出てきたのが、Yuhki氏(Key)を核とするAlhambraだったのです。
『ファンタージェン』でプレイしていた方々なら間違いあるまい、ということで手を出して、案の定大正解。デビューアルバム『明日への約束――A FAR CRY TO YOU』――前バンドのNovela風味は抑え目になり、欧州パワーメタル・テイストが増したみたいでしたが、(世良)Junkoさんの歌・ストーリーを聴き手に届けようという姿勢は引き継がれつつパワーアップ、期待を上回ってくれました。
名ヴォーカリストを擁していながら、器楽バトルが楽しめるのも嬉しいところで……この疾走曲「Missing You」では、池田さん(Gt)の超絶速弾きがYuhkiさんの鍵盤と「対決⇒ツインになる」っていう気持ち良すぎる展開が。神保さんのバッキバキのベース(スーパープレイ!)と絡んで変幻自在のTetsuro(長倉)さんドラミングも言うこと無し。
このアルバムは後に、メンバーチェンジ後のラインナップによる「リ・レコーディング」が行われました。(2013年版『A FAR CRY TO YOU』)……が、オリジナル版を持っていた私はずっと未チェック。さきほどティーザー的に聴ける音を聴いてみましたところ、すこしアレンジも変わったようですが(粗削りなところが洗練され、ややゴージャスになったでしょうか?)、楽曲の魅力は変わらず。これから探す方はそちらでも。
うっかりしてて全作品を入手できていないのですが、聴けているセカンド『FADISTA』(2007)・4枚目『SIEGFRIED』(2012)はいずれも好作品。特に前者の「光の海」は器楽バトルの進化版が聴けて楽しいし、タイトル曲「Fadista」はリズムチェンジの妙と劇的な歌詞が素晴らしい名曲ゆえ、セカンドもお勧め……こちらも2016年にリマスター盤が出ているようですから入手もしやすいでしょうか。
こういう聴き方をする人は少ないかもしれませんが……長倉さんドラミングを堪能なさい!