DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳186

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Curved Air「Baby Please Don’t Go」(1976)

youtu.be

 カーヴド・エアといえば、英国プログレッシヴ・ロックの名バンドですよね。とりわけ70年代初頭の、ロックとクラシックを掛け合わせた音楽性は充分に個性的だったわけですが……こんなブルーズ古典中の古典をやっていたのね。

 

 例によって私は入りが邪道。ふつうに名盤から聴けばよいのに、「え、GreensladeにいたTony Reevesがベースなの?」、「え、The Police以前のStuart Copelandがドラムなの?」っていう、バンド本体とは違う点に目を奪われ、「これはきっとバカテクの凄い作品に違いない」と決めつけてアルバム『AIRBORNE』(1976)を買ったのであった。

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 で、プログレ通ならご存じのとおり、本作はむしろポップな歌モノに振ったような音楽性で、複雑音楽ファンからはあまり評判がよくなかったりするのであったね……このパターン、私には多いです。でも、買ったからには聴きこんでよい所を探そう(元を取ろう)といういやしい根性が炸裂!

 

一曲目の「Desiree」だって、歌はうまいし、いいじゃない……と無理しても、やっぱりね。期待値が高すぎたのか、どうしても、ね。若きコープランド氏のドラミングも、個性炸裂とまでは思えなかったもんです。

 

 で、そんななか、ボーナストラックで入っていた「Baby Please Don’t Go」(アルバム発売当時のシングル曲だったようです)の方に寧ろ興味をおぼえました。バンドの意志で出したのか、レーベルか何かの要請で吹き込んだのか知りませんが、2分30秒にきっちり収めてロックンロールして見せた心意気には感じ入りました。

 

 すると、あら不思議。あらためて本編を聴きなおしてみると、長尺の「Moonshine」あたりのプログレ度が光って見える(聴こえる)ようになるじゃありませんか。やはり何でも決めつけてしまわずに受け入れることが大事ですね。まあ、Curved Airといったときに最初に聴くべきアルバムではないのかもしれませんが、敬遠するほどのものでもない、十分に時代を感じられる――ちなみに英国パンク暴風の直前期ですね――作品ではございました。