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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳107

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Wings「Medicine Jar」(『WINGS OVER AMERICA』1976)

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 Paul McCartneyはいまだに現役で、凄いとしか言いようがありません。その基盤となっているのは、70年代のWingsの偉業――パートナーと若手を率いて、自作曲を自ら演奏して世界をまわった――でありましょう。

 

 ポールのライヴ・アルバムはいろいろ出ていて、私もライヴ盤好きですからけっこう持っているのですけれども、70年代の『WINGS OVER AMERICA』はベストの一つだと思うのですね。ここにある以外にも名曲はいっぱいあるし、本作品はやや音質が粗いのも確かなんですが、それでもね。Jimmy McCulloch(Gt)とJoe English(Dr)の、若手の頑張りが微笑ましいし。

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 「Rock Show」から「Jet」につながるロック色濃い開幕、ビートルズからは「Lady Madonna」を最初に持ってくるセンス、Simon & Garfunkel「Richard Cory」やThe Moody Blues「Go Now」(Denny Laineが歌います)といったカヴァーズ……と聴き所いっぱいなんですが、私が好きなのはここで聴ける「Medicine Jar」。オリジナルは1975年の『VENUS AND MARS』に入っていました。

 

 ここでもそちらと同様ジミーが歌います。“♪What’s wrong with you?......”ギターリフが主導するハード・シャッフルで、ジミーが頑張ってるのもよいのですが、最大の聴き所は、ポールのベースラインだったりする。口の悪い人には「歌を邪魔する(笑)弾き過ぎベース」といわれることもありますが、これだけメロディアスで詩心豊かなフレーズを紡げるのはやはり大才能だと思ひます。ミックスの関係でベースが音量もデカすぎて、歌やギターさえ埋もれがちなのはトゥー・マッチですが。

 

 ポールさんは、ビートルズ時代から、自分が「歌わない曲」‟だと却って”構築されたベースラインを張り切ってぶち込んでくる傾向があるようです。ロックなアティテュードで好き。