Bobby Harrison関連作にはひと区切りつけたところだったんですが……なんとその後もう一品入手しましたので追加しておきます。フリーダムのラスト・アルバム。
Freedom『FREEDOM IS MORE THAN A WORD』(1972)
- Together
- Miss Little Louise
- Sweaty Feet
- Brainbox Jam
- Direction
- Going Down
- Dream
- Ladybird
<メンバー>
Bobby Harrison(Dr, Vo)
Pete Dennis(Ba, Ac-Gt, Vo)
Roger Saunders(Gt, Piano, Vo)
Steve Jolly(Gt)
英国のレーベルVertigoと契約(遂に英国のレーベルと!)したFreedomでしたが、バンドの重心もであったWalt MonaghanはMick Abrahams Bandに移籍。後任にはPete Dennisが入り、さらにギタリストSteve Jollyを加えて4人体制となりました。
なお、Bobby Harrisonのソロアルバム『FUNKIST』(1975)にTony Iommi(Black Sabbath)が参加してたという話をしたかと思いますが、アレはこのころ彼らがレーベルメイトだったということも関係あるのかな。『FUNKIST』の録音は72年、ちょうどFreedom末期を引き継いでの時期でしたので。
Vertigoって、おもしろいバンドをいっぱい送り出しましたよね。Colosseumに始まりBlack Sabbath、Cressida、Uriah Heep、Manfred Mann Chapter Three、Warhorse、Juicy Lucy、Begger’s Opera、Graham Bond、Nucleus、Bob Downes Open Music、Patto、Affinity、May Blitz、Gravy Train、The Sensational Alex Harvey Band、Status Quo……数え切れないぐらいお世話になっております。
それはさておき……ファンキーな刻みギターと滑らかなフィドル(クレジットが無いが誰のプレイ?)が軽妙な「Together」でアルバムはスタート。ツインギターになった意味は充分に有り!
ブルージーなシャッフル「Miss Little Louise」は、ボビー得意の転がりング太鼓が絶妙。歌も渋い味わい。続く「Sweaty Feet」はハイパーなローリン・ブギー、Status Quoとかっていうより、Rory Gallagher……いやWishbone Ashのテイストに近いかね。ウィッシュボーン・アッシュの「Jailbait」が好きな人は聴き比べてください。
キレ味のよいギターのカッティングで幕を開ける「Brainbox Jam」は、本作中最長の8分弱に及ぶインスト。途中から乗り込んでくるコンガのポコポコがいい感じ。ミックスの関係か、ベースは少し奥ゆかしい。
「Direction」はピアノが導いてヘヴィに進行。ヴォーカルはボビーではないようだなあ。作曲もピアノもロジャーだから、歌も彼なのかも。ギターソロになるところからテンポアップして、終盤また元に戻る三部構成(?)。
「Going Down」はご存知、いろんないろんなアーティストが好んでカヴァーしているDon Nix曲。有名なのはJeff Beck Groupのヴァージョンとかですかね。あっちは1971年12月録音・72年4月リリースだから、少し早いのかな。Jeff Beck+Cozy Powell+Max Middleton……みたいなスーパースター連中と比べられたら分が悪そうですが、コッチもなかなか力の入った出来ですよ。ここまでの曲もそうだったけど、ギターが頑張ってる。そう、この体制になって「ギターを主としたハードロック」色が強くなったね、フリーダム。
かと思うと、ストリングスとピアノが全面で活躍の壮大なバラード「Dream」が。クレジットを見るに、こういったロマンティック路線はRoger Saundersの貢献らしい。大仰ながら短く終わるのが潔い。続くラストの「Ladybird」もピアノとホーンが入る、ジャジーなバラード。Billy Joelとか大好きな私には美味しいですが、ハードロックではありませんな。
不思議な作品。クオリティは間違いなく高いし、個性も感じられますが、「バンドとして目指したところ」がよくわからない。とっ散らかった、とまでは思いませんが……この後ソロアルバム制作を挟んでボビーさんはMicky Moodyと組むに至ることを踏まえますと、Harrison趣味とSaunders趣味はこの時点で水と油になっていたのでしょうか。といいつつ、英国の名匠Rodger Bain(Black Sabbath・Budgie・Judas Priestなどを手掛けた)がプロデュースをつとめていることでもありますし、聴いてみて損はありませんぞ。
<今度こそ完>