『IN A METAL MOOD』から派生して(?)の、名鼓手Gregg Bissonetteのソロ作品紹介続編です。
Gregg Bissonette『GREGG BISSONETTE』(1998)*[ ]内はゲストギタリスト
- Common Road [Steve Vai]
- Teenage Immigrant [Scott Henderson]
- Dr. Toulak [Ty Tabor]
- Frankenstein [Doug Bossi, George Bernhardt]
- Wildwood [Andy Summers]
- Vulgar Boatman [Paul Gilbert]
- Tribute To Tony [Mike Miller]
- You Kill Me [Scott Henderson]
- Frybrain [Steve Lukather]
- 1920 Shady Dr. [Michael Thompson]
- No Matter What [Doug Bossi, George Bernhardt]
<メンバー>
Gregg Bissonette(Dr)
Matt Bissonette(Ba)
他
「Wild Wood」はAndy Summers(元The Police他)を迎えた一曲。リムや高音タムを絡めたドラミングと、アンディの空間を活かすギタープレイがマッチしてナイスな感じに。ああ、この曲のドラミングは、ひょっとするとStewart Copeland(元The Police)にオマージュを捧げているのかもね。ハイハット連打の絡め方とか、よく雰囲気を寄せてるし。
ヘヴィな「Vulgar Boatman」のゲストは、Paul Gilbert。Racer X風の弾き倒し……では「ない」感じなのが新鮮。ポールもさすがに名人だね。
「Tribute To Tony」は、ゲストギタリストMike Millerのジャジーなアウトが繰り出される、(たぶん)Tony Williamsへのトリビュート。冒頭や中盤の叩きっぷりはTony WilliamsのLifetime時代を彷彿とさせるし、お得意のライドのレガートはトニーから来てるのかと思うとそれも納得。
二度目の登場Scottをフィーチュアしての物騒な(タイトルがね)「You Kill Me」。ここまで言及する機会がありませんでしたが、弟さんMatt Bisonnetteのプレイも実に巧みです。(ドラムと弦の兄弟は、Van HalenだけでもSpastic Ink(Jarzombek兄弟)だけでもないのだ……)後半にバスドラの連打とかも聴けますが、この人(グレッグ)のプレイは音の粒がきちっと揃って立っているのがいいんだよね。
次のハイパーな「Frybrain」のツーバスもそう。やっぱりJoe Satrianiがやりそうな高速シャッフルで、ここでのゲストはSteve Lukather(TOTO他)。スカッとした爽快感を味わいたけりゃあ、まずこれかな。3分台からのギターソロ裏のドラミングなんかもとんでもないね。Billy Cobhamの「Quadrant 4」あたりの足さばきに影響を受けているのではありますまいか。
Michael Thompsonを迎えては「1920 Shady Dr.」。マイケル・トンプソンさんって知らなかったんですが、いいプレイするなア。ちょいと調べて……あら、Andy Fraser『FINE FINE LINE』(1984)で弾いてた方ですか。
ラストのみ歌が入ってまして、これはグレッグが自分で歌ってるようです。爽やかな8ビートの歌モノ。Badfinger「No Matter What」のカヴァーですな。ボーナストラック的な位置づけだと思いますが、こんなところにもグレッグのビートルズ好きが出てますね。(Badfingerはご存知ビートルズが設立したアップル・レコードに属し、バンド間には人的交流もありました。)
ドラマーのソロアルバムとしてはなかなかにカラフルで面白い作品ですが、探すのはちょっと大変ですかね。Discogの記載によると、日本盤も出ていたようですが……。ロックとジャズと両方イケるドラマーってのはそうそう沢山はいない――Simon PhillipsやVinnie Colaiutaなんかは別ですけど――なかで、数少ない名手Greggさんのプレイをまとめて聴ける作品です。
<完>