DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳173

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Stefano Bollani「Frame By Frame」(Various Artists『THE LETTERS:An Unconventional Italian Guide to King Crimson2004)

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 King Crimson「Frame By Frame」は、80年代クリムゾンの代表曲の一つ。私はベスト盤『SLEEPLESS:The Concise King Crimsonで初めて聴きましたが、初出は『DISCIPLINE』(1981)。Robert Fripp(Gt)とAdrian Belew(Gt, Vo)によるメカニカルなリフと空間系エフェクテッド・ギター(?)の組み合わせが青少年の脳を刺激するプログレッシヴ・ナンバー。二人のギタリストによるリフがズレながら進みあるところで揃っていく仕掛けにはゾクゾクさせられました。歌メロは妙にキャッチーだしね。

 

 初めは強烈な破壊力の「21st century Schizoid Man」からキング・クリムゾンに入り、荘厳な「The Court of the Crimson King」にひれ伏しつつ、バンド史に(一度)終止符を打つことになった頃の「Starless」の虚無的美しさに打ちのめされてきた後追いファンーーそういう私からすると、80年代クリムゾンは“いきなり質感が変わった!?”という感じでなかなか楽しみ方がわからなかったのですが、ここ数年ようやく面白さと先進性を味わえるようになってきたのです。

 

 で、今回の作品ですよ。King Crimsonのトリビュートものってのはまあ探せば無くはないんですが、なぜかイタリアのバンドによるカヴァーを集めまくった3枚組CDってのがあるなんて知らなんだ。私イタリアのプログレ・シーンでよく知らないんで(ごく一部の大物を除いて)、参加者がどういう面々なのかもいまだによくわからず。

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 記念すべき1枚目の1曲目、Stefano Bollaniさんってどなた……いま泥縄式に調べて判明、イタリア(ミラノ)生まれのジャズ・ピアニストの方だそうです。Universal Music Japanがアーティスト・サイトを設けているくらいですから、ジャズやクラシックの界隈では著名な方だったのか……大変失礼しました。

 

 同じキング・クリムゾンでも「Cat Food」じゃなくて「Frame By Frame」をやる、それも例のツイン・ギターをピアノに置き直して弾ききるというのが素晴らしいです。中盤にオリジナルなソロを奏でる場面も挟んでありますかね。いやあ、カヴァーするならコレぐらい大胆なのっていいですね。

どんぱす今日の御膳172

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SBB「Z Tomaszem」(『SIKORKI』2004)

 私が学生の頃には考えられなかったことですが、Youtubeってやつにはホントいろんな音源が出てますよね。

 

 Black Sabbathの前身がEarthというバンドだったというのは知られた話ですが、その頃の音が聴けるなんてふつうは思いませんわ。Youtubeには怪しげな「Pre Black Sabbath」みたいな音源が上がっていることもあって、「ふうん」ってなもんだったんですが、その中に「Thomas James」っていうドヨーンとした曲があったんですよ。確かにサバスのファーストにありそうなドゥーミー・グルーミーなインスト。でも、本当かな、1970年以前とはとても思えないんだが……。

 

 世の中には調べ魔みたいな人がちゃんといて、「これはフェイク!ブラック・サバスでもアースでもない!」と指摘してたんですよね、あとでよくみると。

 

 「じゃあ誰なの?」っていうのにはまた別の人が答えを出していて、「あれはSBBというバンドの曲だ」と。ほおーう。プログレというかユーロ・ロックの方面か。ポーランドのバンドだと。

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 これかな?「Z Thomaszem」。1974年の音源なんですと(『SIKORKI』は2004年に出た編集盤ね)。ああ、たしかにあの魔術的リフが出てくるが、時期的にはこっち「が」サバスを踏まえてるよね。ただおもしろい(?)のは、SBBの曲は21分半ある「ど・プログレ」なんだが、フェイク音源「Thomas James」は8分半に“編集”してあって、悔しいことに聴き易くなってんの(困)。エディティングって、怖いね……誰だよ、こんな怪しからんことした奴は!

どんぱす今日の御膳171

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Dr.Feelgood「She Does It Right」(『REPEAT PRESCRIPTION』2006

 ウィルコもいない、リーもいない、オリジナルメンバーは誰一人いないけど、Dr.Feelgoodは在る。もっとも、過去の名曲をリアレンジ・リレコーディングした本作『REPEAT PRESCRIPTION』制作時のラインナップも、ヴォーカルのRobert Kaneが7年選手、他の面々は11年在籍の古株だから、バンドの名前を背負うだけのキャリアは充分。

 

 なんて言ってる私ですが、こんな作品があるってのは知らなくて、例によって中古CD店で偶々出くわしました。それこそ「ウィルコも、ジッピーも、リーも、いないよねえ」と思いながら手に取ったのでしたが、中身は存外楽しめました。

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 元の曲がよいのはいうまでもないことですが……この再録音源集はですね、オリジナルに“寄せて”るものもあれば、大胆にアレンジを加えてるのもあって、さすが正統継承者たち「なかなかやってくれるな」と。

 

 この「She Does It Right」は、オリジナルはWilko Johnsonの鋭いギターが強烈なハイパー・ナンバーでして私も大好きなのですが――ボックスセット『ALL THROUGH THE CITY(with Wilko1974-1977)』に付いてるDVDで観られるオリジナル・メンバーの演奏映像はスゴいですぞ――、それをまさかの気怠いグルーヴのジャジー・ヴォーカルナンバーに仕上げてしまうとはね。前述ロバート・ケインさんのヴォイスも良いですが、Steve Walwynさんのジャズギターがウィルコとまるで違っててこれまた良い。後のメンバーはPhil Mitchellさん(Ba)とKevin Morrisさん(Dr)です。

 

 オリジナルメンバーがみんないなくなって、音楽性がガラッと変わる――例えばSoft Machineとかそうですよね――というのも楽隊のあるべき進化の一つかと思いますが、いっぽうでメンバーによらず伝統を継承し続けるというのも美しいよね。

 

※☟こちらはオリジナル・ヴァージョン

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どんぱす今日の御膳170

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Larry Graham And Graham Central Station「Pow」(『MY RADIO SURE SOUNDS GOOD TO ME』1978)

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 ゼノン石川和尚(聖飢魔Ⅱ)がお好きであるということで、ファンク素人の小生も手を出した次第。Larry Graham先生のスラッピング・ベースが物凄いのは言うまでもないとして――和尚のルーツ此処にありと確かに判る――、歌モノとしても実に楽しく仕上がっていて素敵。

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 “♪Lalalala~”という謎のアカペラ、クラシック音楽(風味)をお道化てとり上げた鍵盤パート、なんちゃってヨーデル……このやりたい放題!そんで、それをを支える人力ビート!Gaylord "Flash" Birch(Dr)さんのハイハット・ワークが人間味があって最高である。(打ち込みでは絶対ああいう味にはなるまいて。)

 

 バーチさんという方はラリー・グラハムとの仕事のほか、The Pointer SistersSantanaの作品にも関わったことがあるそうです。おお、90年代のJohn Lee Hoookerの作品にもクレジットがある……どうやらこれはどちらもサンタナ繋がりのようですな。ジョン・リーサンタナが共演したトラック(『MR. LUCKY』所収の「Stripped Me Naked」と『CHILL OUT』所収の「Chill Out」)でバックをつとめていますのでね。

 

 

 あと、全然関係ないけど、サブラベルズのコレ(『ONE NIGHT MAGIC』1987)↓↓、なんかジャケットが似てません?

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どんぱす今日の御膳169

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Sheryl Crow「Sweet Child O’Mine」(『THE GLOBE SESSIONS』1998)

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 ガンズ・アンド・ローゼズの楽曲でございますが、米国の歌手シェリル・クロウがカヴァーしたもの。サード・アルバムの日本盤ボーナストラック。『ビッグ・ダディ』と云う映画のサウンドトラック用に提供された曲なんだとか。(私はその映画を見てないのですが……)

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 アコースティック・ギターオーケストレーションをおもに活用したアレンジなので、原曲からはだいぶ雰囲気が変わっていますが、いい曲はどう演ってもいいですな。歌詞もちゃんと“♪He’s got a smile……”などとなっています。(he⇔she)

 ヤマ場の“♪Where do we go~”のところからの高揚感もちゃんと。

 

 個人的な話ですが、地元で女性ヴォーカリストのバック・バンドに居たとき、オリジナル曲に混ぜてこれも(カヴァー)やったんですよね。懐かしいのう。