DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

中国メタル名曲紹介(15)暗月冥楽隊

 2010年代の作品はどうでしょう。まずは……これにしてみるか。暗月冥楽隊(Moonless Acheron)、特集の第十五弾です。

  【検索にそのまま使える簡体字表記は文末に】

youtu.be

 私が持っている1stアルバムは2012年の作品ですが、どうやら結成は2002年らしい。彼らもまた準備期間の長いバンドのようですね。アルバムの音質は少し籠り気味ですが、力感あるスラッシュ・メタルは楽しめます。

 

1.暗月冥「行走」(1stアルバム『暗月冥』2012)

2.暗月冥「酒神的舞会」(1stアルバム『暗月冥』2012)

3.暗月冥「夜」(1stアルバム『暗月冥』2012)

<メンバー>

陳磊(Vo, Gt)

李将(Gt)

陳拯(Ba)

繆偉(Dr)

 

f:id:yes_outsiders:20210503023923p:plain

 1「行走」は、アルバムでも冒頭にある曲。ザクザクのギターリフを8分刻みのドラムが押し上げる。ヴォーカルは中音域を押し出すタイプですかね。3分半過ぎ辺りからギターソロで、後半少しスリリングになってるところ(バックのドラムはブラスト風で圧が上がる)はご愛敬、そこから楽曲のテンポを下げてエンディングまでもっていく、と。

 

 「酒神的舞会」(2)は、ドラムの頭打ちが引っ張るイントロパートがまず美味。歌が入ったメインパートは、エイト→ブラスト→4分……とドラムパターンも変幻自在。音質の問題で各パートが潰れ気味、クリアに聴こえないのはこうなると残念ですね。“♪是谁创造酒神的舞会?是谁开始空虚的舞步?”……歌はしっかり前に出ます。

 

 3「夜」は静かに始まる異色の曲。クリーン・ヴォーカルで歌われるバラード。“♪空的心,轻的身,是你我逃避不了的夜”というくだりの後、すこし激しいパートも挟まれますが。4分過ぎからは疾走パートになだれ込み、5分過ぎでギターソロ……この「長さ」「重さ」は、ブラックアルバム前後のメタリカっぽいのかもね。

 

 なかなか意欲的な作品で、磨けばさらに強力になりそうなところも。でもこのバンドも、これ以降音源は無いんですよね……

<続く>

 【簡体字表記】

暗月冥乐队

ALBUM《暗月冥》

SONG《行走》《酒神的舞会》《夜》

どんぱす今日の御膳152

152

The Knack「(She’s So)Selfish」(『GET THE KNACK1979)

youtu.be

 ザ・ナックのことを‟「一発屋」といって片付ける人”とは仲良く出来そうにありません……が、確かに「My Sharona」のインパクトが強力なことは否定できないや。別に洋楽ファンでない人にまで知られる曲っていうのはそうそうないわな。

 

 アルバムとしてこのファーストアルバムを聴くと、The Kinksのファーストをどうしても想起してしまうのですが、それは突出した異常ソングがあるから。キンクス『KINKS』は、他は60年代的ポップス及びR&Bカヴァーの中に一曲だけ明らかに異質な「You Really Got Me」が収まってるのですが(小生の「You Really Got Me」研究については第36回「You Really Got Me大特集」(1)などを是非ご覧下さい)、『GET THE KNACKでも「My Sharona」はもう明らかに「浮いて」いる。

 

 他の曲は軽快だったりマイルドだったりいわゆるポップロックの王道ソングスで、出来も水準以上なのですが、「My Sharona」はそのどれとも似ていないのです。私の持ってる再発『GET THE KNACKにはボーナスで「My Sharona」のデモ版(針金ギターと歌だけ)も入ってるのですが、それを聴くと「ああ、まあありがちな厚手コーラスの歌モノか」と思うのですが、完成版はドラムのパターンからして(シンプルなんだが、コロンブスの卵的な意味で)個性的なロックソングに生まれ変わってるのです。バンドのセンスか、プロデューサー(名匠Mike Chapman)の手腕か……

                    f:id:yes_outsiders:20210503083532p:plain


 おっと、話が逸れました。アルバム『GET THE KNACKは、他の曲も高水準だと言いたかったのでした。1曲目のの潔く快活な「Let Me Out」、メロディアスな「Oh Tara」、ビートルズ譲り(?)のキャッチーな「Good Girls Don’t」、Buddy Hollyが演りHumple Pieもカヴァーした「Heartbeat」……なかなか多彩ですぞ。

 

 中でもドン・ドンドン・ドンツクのジャングルビートが粋なヘヴィ(彼らにしては)ナンバー「(She’s So)Selfish」が私的嗜好品。Doug FiegerとBerton Averreの楽曲も良いが、私としてはドラムのBruce Garyに敬意を表しておきたいです。音の録り方もいいのかもしれないが、この人の打音はすげえ心地好いの。

 

 メタル・ファンならご存知Mike Terrana(Yngwie MalmsteenRageAxel Rudi Pellほか色んな連中と仕事してきたドラムモンスター)さんが、「ゲイリーのドラミングは大好きだった、80年代後半L.A.にいた頃に会えてうれしかったね」と言ってるのに最近気づいて、何となく嬉しくなっちゃった。

どんぱす今日の御膳151

151

Buckethead「Carcass Cable」(『NEEDLE IN A SLUNK STACK』2009)

youtu.be

 ヘンテコばかてくギタリストBucketheadの作品。この人はメジャーどころだとGuns N’ Roses居たことがある(2000~2004)というのがありますが、基本的にはアングラ体質なんですかね。

 

 「中の人はポール・ギルバート」っていうガセをどこからともなく聞かされたのが懐かしい。(実際はBrian Patrick Carrollという方です。)

 

f:id:yes_outsiders:20210503083242p:plain


 アルバムはこれしか持ってないけど、選んで買ったわけじゃなくて、お買い得だったからというだけ。当方Ron Jarzombekとかも好きなので、こういう目が回る作風も嫌いじゃないですけど、リズムが打ち込みなのがちょいと惜しいかなあ。

中国メタル名曲紹介(14)Raging Mob

 中国のバンドも国際化してますから、メンバーに外国の人が加わることもある。そういう例を挙げましょう。第十四弾、Raging Mob(国際聯合敲撃軍団)

youtu.be

 ヴォーカリストとギタリストがそれぞれドイツ人とアメリカ人で、あとは中国人という編成。ヴォーカルのRobert Gonellaのことは、実はみんな知ってるでしょ?ドイツのスラッシャーAssassinの初期メンバーですよ。『INTERSTELLAR EXPERIENCE』で「♪Baka」って歌ってた御仁……というわけで、このバンドはなかなか強力なスラッシュ/パワーメタル。

 

1.Raging Mob「Promisebreaker」(1stアルバム『RAGING MOB』2008)

2.Raging Mob「Slave To A Lie」(1stアルバム『RAGING MOB』2008)

3.Raging Mob「Raging Mob」(1stアルバム『RAGING MOB』2008)

<メンバー>

Robert Gonnella(Vo)

David Hemmer(Gt)

王猛(Gt)

賈克(Ba)

Soldier〔趙永建〕(Dr)

f:id:yes_outsiders:20210501115511p:plain

 アルバムで不穏な空気を煽るイントロに続く「Promisebreaker」(1)は、強力なパワーメタル。ヴェテランRobertの歌は貫禄有りだし、リフの畳みかけ方も見事なもの。強いていえば、ドラムのキレがもっとあると突進力が倍増されるでしょうけど、演奏は充分メジャーなクオリティ。当然全編英詩なので、「中国メタル」らしさはほとんどありませんけど、それを言えば日本産メタルだって大抵はそうですからね。

 

 2「Slave To A Lie」も、ゴリ押すリフと暑苦しいヴォーカルがマッチしたナイス・メタル。途中でテンポを落として一旦ストップ……からの爆走!こういう乱暴なやり口、嫌いじゃないね。いろいろこねくり回す割にあっさりと、3分半で幕。

 

 アルバムにはボーナストラックでライヴが2曲入っているのですが、いずれもロバート叔叔の古巣Assassinの楽曲。2005年の『THE CLUB』に入っていた「Raging Mob」と「Bushwhackers」でした。バンド名に引っ張ってきた「Raging Mob」の方を聴くと、本編以上に性急なスラッシュが聴けました。(オリジナル・ヴァージョンを知らないので、どう変わっているかは知りませんが。)2007年のライヴってことですが、これを聴く限り、メンバーの演奏力はホンモノのようですね。

 

 このバンドも、アルバムは一枚しか出てません。いまもバンドはあるようですが、メンバーはみんな入れ替わっているようです。ロバート・ゴネラ氏は(おそらく)ドイツへ帰ってアサシンの続きを作ったり、Raging Robなんていう名前のバンドを作って活動したりしているようですが。

<続く>

どんぱす今日の御膳150

150

Beatallica「Blackened the U.S.S.R.」(『SGT. HETFIELD’S MOTORBREATH PUB BAND』2007)

youtu.be

 パロディやるならこんくらいはやれよ、と言われてるようだ。ビートルズメタリカビータリカ。〔足して2で割らないのがポイント〕

              f:id:yes_outsiders:20210501132759p:plain


 James Hetfieldの歌い方を(かなり)デフォルメして再現しているほか、Larsのへんてこドラミングも頑張ってやってるのだね。(Larsの叩き方、ドラマー諸氏はぜひカヴァーしてみてよ、ちょっと普通じゃないんだから……)

 

 替え歌歌詞のおちょくりも堂に入ってるし。ギターソロのかわりに、Cliffっぽいベースソロを入れてくるあたりもやってくれるぜ。