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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳149

149

The Pack「Got This Thing On The Move」(Grand Funk Railroad『THIRTY YEARS OF FUNK 1969-1999』1999)

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 Grand Funk Railroad初期の名作『GRAND FUNK』(1970)の、どアタマに入っている「Got This Thing On The Move」は無茶苦茶カッコ良かった。太く歪んだメル・サッチャーのベース、それとユニゾンでリフまたリフを決めるマーク・ファーナーのギター、そしてドン・ブリュワーのライヴ感満載の突撃ドラム。トリオでバンドやるならこういう音が出したいもんだ。

 

 ところで、ライナーノーツやディスクガイドを読むと、この曲はGFRの前身バンドThe Packの曲であった、とある。再録というのも決して珍しいことではなかろうが、と思いつつ、原ヴァージョンが気になる私。一時期はTerry Knight & The Packの音源も探すが、行き当たらず。

 

 そうこうするうちに、GFRのボックスセットにボーナス的に入ってるという情報を得まして、苦難の末に音源に接してみれば、「The Packの未発表音源である」ときた。じゃあ、通常リリース品探してもダメだよなあ……

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 このThe PackGFRに移行するほんの少し前の時期ですが、メンバーはMark Farner(Gt, Vo)+Don Brewer(Dr)+Craig Frost(Key)+Rod Lester(Ba)。前2人はそのままGFRへ、クレイグも後に参加ということで、ロッド以外はGFRといっても過言ではない。

 

 こちらの「Got This Thing On The Move」は、ドンの短いドラム・ソロから始まること、ベースがGFR版に比べると引っ込んでいること、その分オルガンが全面展開していることなどが特徴。オルガンが活躍してるので、Vanilla Fudgeっぽいというか初期Deep Purpleっぽいというか、そういうアートロック味になりまして、後の“暴走特急ハードロック感”は少ない。マーク・ファーナーは歌がうまいんだなあとは再認識できますけど。

中国メタル名曲紹介(13)幻世狂想楽隊

 わかりやすくメタルな奴らはなかったかなと。第十三弾は、幻世狂想楽隊(Illusion)

  【検索にそのまま使える簡体字表記は文末に】

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 一時期中国でもやたらと流行った、メロディック・パワーメタル。このバンドはブームがくるより少し早くからやっていたようですが。この手のグループのサガとして、ドラムが打ち込みなのは個人的には遺憾。ですが、ヴォーカルはまあしっかりしているし、ギターや鍵盤も美味しいツボは心得てる(キーボードはほんと、悪くない)。

 

1.幻世狂想「乱世無双」(1stアルバム『乱世無双』2006)

2.幻世狂想「翔」(1stアルバム『乱世無双』2006)

3.幻世狂想「幻世狂想」(1stアルバム『乱世無双』2006)

<メンバー>

侯珺碩(Ba, Key, Programming)

顧頴(Gt)

梁志鵬(Gt)

李天驥・柳雲龍・劉嘉・曾黎(Vo)

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 まあ、「イタリアの○○っぽい、スペインの××っぽい」と思われてしまうのは仕方ないですが、「乱世無双」(1)はお約束をしっかり守った(盛り込んだ)メロパワ・シンフォパワー。初期のDragonforceDark Moorをちょっと足して……とかそういう野暮な詮索はするなよ。。。いろいろ詰め込み過ぎて長くなってはいますが、同系の標準はクリアしているなかなかの演奏。

 

 2「翔」は、アメリカのアニメ映画にでも使われそうな、ファンタジー風味の大仰なインスト(?)。歌がないので、個性も少なめですが、こういうのもあるということで。

 

 3「幻世狂想」は、シンフォニックなプログ・メタルといった趣。男声・女声のツインヴォーカル。やはり、中盤の鍵盤パートはなかなかグッと来る。メタル的カタルシスよりも、構成力で勝負した心意気には好感が持てます。

 

 その後の音沙汰がないので、どうもプロジェクト的なものだったみたいですねえ。クレジットからわかるように、大部分を仕切った(作曲も)侯珺碩に負うところが大きかったようす。氏の鍵盤センス、結構好きなんだけどなあ。

<続く>

 【簡体字表記】

幻世狂想乐队

ALBUM《乱世无双》

SONG《乱世无双》《翔》《幻世狂想》

どんぱす今日の御膳148

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Talas「High Speed On Ice」(『THE TALAS YEARS』1989)

 Billy Sheehanのバンド、っていう認識でまあいいと思いますが、彼らは「Shy Boy」以外にもなかなか良い曲があった。

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 「High Speed On Ice」っていうスピードナンバーは、スタジオ録音もありますが、1983年のライヴ版がなかなか美味しい。というのも、このヴァージョンではMitch Perryっていう名手がギターを弾いてるから。

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 ベースがすげえ動き回るのは当然ですが、ソロパートではミッチが流麗高速なスーパープレイを決めてくれます。

どんぱす今日の御膳147

147

ザ・ハイロウズスーパーソニックジェットボーイ」(ザ・ハイロウズ1995)

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 ザ・ブルーハーツが終わっちゃったあと、甲本氏と真島氏がハイロウズっていうのを始めたと聞いたときは、「どういうことをやるんですか?」と気にはなったものでした。

 といいつつも、アルバムにも手を出さず日和見を決め込んでいたころ、NHKの夜中の音楽番組で流れたのがこれだった。“♪ぶっ飛ばしてぶっ飛ばしてぶっ飛ばす……”

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 お得意のSus4多めのリフ、ビッグなロックビート、フル参加のピアノ、元気なヴォーカル……ありがとうございます。そのいっぽうで、ソングライターはブルーハーツ同じでも、演者とマインドが変わるとこうなるのかな、とも。‟切迫感稍減”&‟ユーモアとジョーク割増”+‟ブルージーなテイストふりかけ付き”ってトコでしょうか。

 

 この後のアルバム『タイガーモービル』も我らの世代ではもてはやされておりまして、高校の文化祭バンドがよくやってましたね。「俺軍、暁の突撃」とか「相談天国」とかね。(NAPESはやりませんでしたけども。)

中国メタル名曲紹介(12)鉄風箏楽隊

 重~いものばかりじゃナンですから、こういうのはどうでしょう。第十二弾、鉄風箏楽隊(Iron Kite)

  【検索にそのまま使える簡体字表記は文末に】

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 先に言っておくと、これを「メタル」とするかどうかは意見が分かれそうです。ヘヴィなドラムやハードなギターはありますが、オルタナティヴ・ロックの一種とした方がわかりやすいかもしれない。ただし、演奏力は高いです。何と言っても、後に唐朝楽隊にも(一時)加入する虞洋さんが率いていたバンドだから。

 

1.鉄風「記住,這是我們的秘密」(1stアルバム『這是我們的秘密』2002)

2.鉄風「欲望統治世界」(1stアルバム『這是我們的秘密』2002)

3.鉄風「鬼」(1stアルバム『這是我們的秘密』2002)

<メンバー>

虞洋(Vo, Gt)

葉琳(Gt)

孫澍(Ba)

田坤(Dr)

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 1「記住,這是我們的秘密」は、グルーヴィなリフレインが肝のロック・ナンバー。古典趣味の私は痩人楽隊の「説説」を思い出しましたね。――こちらは中間からの疾走が軽快。“♪覚えとけ、これが俺らの秘密ヨ!”って繰り返す曲(?)。

 

 2「欲望統治世界」は、ベースがグイグイ引っ張るシンプルなコンボのショートソング。Nirvanaっぽいと言えそうかもしれないな。力強くはない虞洋の歌唱が、逆にパンク・オルタナ的な味わいを増す。

 

 3「鬼」。中国語の「鬼」は日本でいう鬼とは違いますが。ワウを踏みながらカッティングしている(んですよね?)ギターが頑張る、グルーヴィ―なロックナンバー。うむ、やはり「メタル」ではなかったな。ただしこの曲のメロディラインや歌唱法はハードロック風の、明朗且つ張りのあるもの。まずは、この曲をお薦めしますかね。

 

 なかなかセンスのよいアルバムだとは思いますが、彼らのフルアルバムはこの一作のみ(の筈)。メンバーが亡くなったり脱退したりして、虞洋さんはこのバンドを続けられなくなったのだとか。惜しいものです。

<続く>

 【簡体字表記】

铁风筝乐队

ALBUM《这是我们的秘密》

SONG《记住,这是我们的秘密》《欲望统治世界》《鬼》