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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

温故知新旧稿再録(10)「プログレッシヴ・ロック特集」(5)

 まだまだ続くのでございます。次は「日本のプログレ」。ラインナップにはいろいろ異論も出そうですが、十数年前はこのあたりが大好物で聴きまくっていたので……


(以下旧稿)
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PROGRESSIVE ROCK vol.3 in Japan
   
1.   二重人格*1981(美狂乱美狂乱)
 
2.    都市の情景*2002(美狂乱Anthology Vol.1)
 
3.    *1979(新月新月)
 
4.    Crossfire*1980(Ain Soph『妖精の森』)
 
5.    組曲:妖精の森*1980(Ain Soph『妖精の森』)

日本にもプログレバンドは生まれた。但しこれについては見解が分かれ、今回筆者が挙げたようなバンドは真の革新性からは程遠いとする人々もあり、何を以て日本のプログレッシヴロックとするかは説明しにくい。ここに挙げたのは一般的評価に基づいてというよりも、あくまでも筆者の好みによるものであることをお断りしておく。


その上でいうと、日本でプログレがブームになり力のあるバンドが出たのは、1970年代後半から80年代初頭までであったといえる [1]。所謂プログレ発祥の地たるイギリスからやや遅れている [2]ことが特徴的である。世界的なブームとは離れてプログレ好きが開始したのが日本のムーヴメントだったといえるだろうか。
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今回1.2.を収録した美狂乱は、当初King Crimsonのフォロワーとみなされていた。リーダーでギターの須磨邦雄氏は、Robert Frippのギターを聴いてから「今後一切自分もチョーキングはしない(チョーキングはブルーズギターの技法であり、King Crimsonとは縁遠いから)」と誓ったというし、前身バンドではそのまま中期King Crimsonのコピーをやっていたという。しかし、ここで聴けるオリジナル曲は、確かに曲想的にはKing Crimsonの影響が感じられるものの、やはり独自の世界を展開しようとしており、無視できないものとなっている。
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新月は、イギリスのGenesisと対比して語られることが多いようだ。テクニカルな演奏によりつつも叙情的な楽曲、シアトリカルなステージなど、共通点を指摘する人は少なくない。3.は彼らの出したアルバムに収録された大曲で、この一曲にその魅力が凝縮されている。
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カンタベリー系の影響を強く感じさせるのが、Ain Sophだ。デビューアルバムではA面でジャズロックを展開し、B面で長尺の組曲を披露している。4.は彼ら(とりわけgの山本要三氏)の演奏能力の高さを思い知らされる短い曲。5.組曲で、いくつかのパートからなるが、ギター・ピアノ・シンセサイザーによる幅の広い表現(キーボーディスト服部眞誠氏の活躍が凄い)によって聴き手の想像力を刺激し、架空の「森」の情景を一気に聴かせてしまう。
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 [1] 80年代も半ばになってくるとヘヴィメタルがブームになり、その後はヴィジュアル系がシーンを乗っ取る。
 [2] この時期のイギリスはパンク・ニューウェーヴの嵐で、プログレとハードロックは「オールドウェーヴ」の権化として攻撃されていた。とりわけ、「ヘヴィメタル」という新しい旗印を掲げ得たハードロックと異なり「新しさ」を打ち出せなかったプログレは以降力を盛り返すことなく衰退していく。
<続く>