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"You are the part that you're giving......"<Renaissance>

第25回「Whitesnake」(4)

 そして、ここで入ったJohn Sykesが大きく貢献することになったのが次作WHITESNAKESERPENS ALBUS)』1987)でありました。これは私めもオリジナル・アルバムのフォーマットで持っていますが、確かに名盤でございます。Sykes効果かDavidの戦略か、随分とサウンドが若々しい。今回のように時系列で聴いてくると、 “Whitesnakeらしく”はあんまりない気がしてくるのですが……独立した作品としての完成度は素晴らしく、当時は「800万枚売った」そうです。

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 John Sykesの張り切ったプレイが全編で聴ける一方、Neil Murrayはバックに徹している印象も(ミックスの関係でしょうか、ベースは引っ込み気味?)。冒頭のヘヴィ・シャッフル「Crying In The Rain」(SAINTS& SINNERS収録曲のリメイク)でも、あくまでDavidのソウルフルな歌パートが主役ではあるのですが、ギターソロになると「え!」っていうくらいSykesが弾きまくって、「メタリック」になってしまうという。かつてThin LizzyTHUNDERAND LIGHTNING1983)でも観られた(聴けた)光景ですな。

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後ろで鳴っているドラムもそこではギターを煽るようなフレーズをガンガン入れてまずな。あ、ドラマーはもうCozyじゃないです、Aynsley Dunbarさんに交替済み。Dunbar氏は1946年生まれの超ベテランで、60年代から残してきた名演も数知れず。自らのバンドRetaliationBlue Whaleを率いていたこともありますが、有名どころではFrank Zappaのところでしばらく仕事をしていたり、プログレがかっていた初期Journeyで叩いていたり、Jefferson Starshipに一時在籍していたりといったことがありました。以前、第6回のところでもEric Burdon & The New AnimalsLIVEAT THE COACH HOUSE1998)を御紹介の際に触れましたね。ホントに「鉄人」というのがしっくりくる感じの人です。1987年には40代に入っていたわけですが、良い意味で荒い(「粗い」ではなくて、“ワイルドな”)ドラミングでもって、一回り以上若いSykesを煽り立てているのが凄い。不確定情報になりますが一説によるとかつてJourneyにいた際に、バンド(リーダーのNealSchonDunbarさんの8歳下)がだんだんポップな方向に行こうとしたのに嫌気がさして辞めたとか……筋金入りのハード・ドラマーであらせられます。

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WHITESNAKE2曲目の「Bad Boys」はアタマのグリスやイントロに放り込まれるピッキングハーモニクスからしSykes節、つられて(?)Davidも若々しい歌唱を聴かせてくれますね。次の「Still Of The Night」と共に、ライヴでは必ず演じられる名曲。この辺はもう「ヘヴィ・メタル」の音像ですね。

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次の「Here I Go Again」はSAINTS& SINNERS収録曲のリメイクになるパワー・バラード。軽快な(彼らにしては)シャッフルの「GiveMe All Your Love」、浮遊感あるキーボード入りのバラード「Is This Love」に続いては必殺のSykesグリスから始まる疾走曲「Children Of The Night」。どれも良い……が、やはりNeil Murrayのベースが“前期”に比べるとおとなしく感じられるな。重心が下がってヘヴィメタル的になっているということなのでしょうか。その分、ってことはないけども、John Sykesのギターは活発なこと限りなし。キーボードに導かれて入るアップテンポの「Straight For The Heart」もまた、各メンバーの熱量がうまく噛み合ってナイスナンバーに仕上がっています。ラストの「Don’t Turn Away」はどことなく壮大さ感じさせるミドルテンポのロック・ソング。楽曲終盤の、単純な繰り返しフレーズをしなやかに叩き続けることによって躍動させるAynsley Dunbar先生が偉い。

 

 久し振りに通して聴きましたが、やはり天晴れなものでしたな。ところが、本作が完成した時にはDavid以外の面々はすでに解雇されていたというから、驚きです。Dunbarさんはセッション的参加だったかもしれませんし、Murray氏も(このサウンド、このバンドにしては)若干影は薄くなってしまっていたにしても、楽曲作りと演奏で大貢献していたJohn Sykesまでいなくなるとは。ものの本を読んでみると、やはり「脱退」というより「解雇」だったみたいで、Sykesさんの方には思うところが残ったようですね。彼が1989年に発表したBLUE MURDERには“(解雇されたことへの)復讐の念が逆巻いている”〈池田洋行氏評語〉とも言われたりしています。“復讐”かどうかはわかりませんが、「独力でも名作を作れることを証明してやる!」と意気込んでいたらしいことは確かで、事実BLUE MURDERはたいへんな傑作となっております。

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 バンドWhitesnakeのほうは、Adrian VandenbergVivian CampbellGt)、Rudy SarzoBa)、Tommy AldridgeDr)らをメンバーとしてツアーを行いました。その後Campbellの脱退、Steve Vaiのレコーディング参加を経てのSLIP OFTHE TONGUE1989)発表、となります。ドラマティックな「Now You’re Gone」、ZEPKashmir」風の「Judgment Day」、産業ロック風(又はSammy HagarVan Halen風)バラード「The Deeper The Love」など。歌モノの中で技を見せるSteve Vaiのギターソロも楽しいですが、楽曲が些か類型化してきていたのかもしれません。結局1990年にバンドは解散。

 

【思い出話】

 この時期の作品に関することで印象に残っているのは、何といっても「Guilty OfLove」のPV。地元の公立図書館で借りたハード・ロックの軌跡』というVHS(!)。Deep Purpleの「Black Night」に始まり、Status QuoIn My Chair」、Black SabbathParanoid」、MotorheadAce Of Spades」、HeadgirlPlease Don’t Touch」、FreeAll Right Now」など、コレで映像を観ちゃったためにそのバンドを追いかけまくることになったもの多数。若き日の私にとっては教科書的なものだったのですな。当時はYoutubeなんぞという便利なものは無かったのだ。DVD化してくれい誰か、この名作を。

 

 ……すみません、取り乱して。で、その中にWhitesnakeGuilty Of Love」が入っていたんですよ。演奏場面を中心に作られたクリップなので、メンバーがよく見えるんですが、フロントの面々以上にドラマーが異常にカッコよかったんですよ。当時私はコージー・パウエルなんて知りませんでしたが、なんかこの人の「水平方向にクラッシュ・シンバルをブッ叩く」姿が印象的でねえ。彼らにしては珍しい疾走感ある曲だからということも相まって、比較的シンプル(単純)な構成の楽曲ではありますが「Guilty~」が私のなかでは最も好きな曲なのですね、実は。