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The Attractions「Camera, Camera」(『MAD ABOUT THE WRONG BOY』1980)
ご存知Elvis Costelloのバックで素晴らしい演奏を繰り広げていたアトラクションズの、The Attractions名義のアルバムから。才人Steve Nieveの鍵盤さばき、名人Pete Thomasの匠のドラミング……が備わっているわけですから、演奏の質は言うまでもない。コステロの詞・曲・声がないとどうなんだろう……?
ある意味こちらの期待通りの感じといえましょうか。個性的なヴォイスやメッセージはさほどないので、アクは弱めで軽妙度微増といったところでしょう。
例えばこの、本編最後の「Camera, Camera」。いかにも80年前後のパブロック/パンク/ニューウェーヴの雰囲気のビート感覚ですが、キーボードが一筋縄でいかない感じを醸し出すのはおもしろい。曲の合間合間に“カメラのシャッター音(あるいはそれを模したサウンド)”がカシャカシャ入るのも微笑ましいし。
他の曲、例えばタイトルトラックの「Mad About The Wrong Boy」や、跳ねるリズムが楽しい「Little Miss Understanding」、初期XTCっぽい(?)「Motorworld」など、楽しめるポイントはそこかしこにあります。エルヴィス・コステロの諸作を一通り聴いた後に深掘りで、っていう扱いになりそうですけど、よかったらどうぞ。