土曜特別企画、お次は「このドラミングがすごい」“mini”版*でございます。各週1ドラマーの名演をご紹介。これまでに当ブログでとり上げてこなかった方々を中心に、幅広くまいります。
(1)Anton Fig
【曲】Ace Frehley「Rock Soldiers」(『FREHLEY’S COMET』1987)
元Kissのエース・フレーリーのソロ作品、名盤『FREHLEY’S COMET』の1曲目です。‟兵士の行進”調のドラムでスタートする、AceとChip Taylorの共作曲。基本的なパターンは♪ドン・タン・ドドタンのシンプルな8ビートですが、よく聴くと巧妙に織り込まれている細やかなスネアワークが最高。
アントン先生は、Billy Joel「To Make You Feel My Love」(1997年のシングル、Bob Dylanの曲)でも粋な“Cakewalk Snare”を披露しておりまして、ロック界隈ではスネア名人の筆頭ですな。
「Rock Soldiers」は、エースのヴォーカルと分厚いコーラスも楽しい。“♪Rock soldiers come, rock soldiers go……”。ヤマ場での“♪He’s gonna play without an Ace in his deck”!もカッコいいね。もちろん、ギターも冴えてます。
編集盤『LOADED DECK』(1997)または『GREATAEST HITS LIVE』(2006)で聴けるライヴ・ヴァージョンも素晴らしい。アントン・ドラムはスタジオ・テイク以上に冴え渡ってて、ロック・ドラミングのお手本のような“硬軟兼備”のスティック捌きでございます。こーいうふうに叩けるようになりたいです……。他のメンバーはTod Howarth(Gt, Vo)+John Regan(Ba, Cho)、エースのバックとしては最強のラインナップでしょう。
Anton Figさんは南アフリカのケープタウン出身だそうですが、活動拠点はニューヨーク周辺が多いのかな。セッション参加作はきわめて多く、Ace諸作のほか本家Kiss、Cyndi Lauper、Bob Dylan、Joe Bonamassaなどなど……氏のオフィシャルHPへ飛べば、いかに多くの作品に貢献しているかわかって、驚嘆すること請け合い。
〔注*〕
当ブログの特集記事「このドラミングがすごい」はこれまで、3氏についてとり上げてまいりました。今回の“mini”とは異なり各人の経歴・名演・関連作を掘り下げる内容のため、一篇一篇少し長いですが、よろしければ御覧下さい。
以下がそれら(旧記事)へのリンクです。
第16回「特集:このドラミングがすごい①Liberty DeVitto」(1)[Billy Joel]
第16回「特集:このドラミングがすごい①Liberty DeVitto」(2)[Billy Joel, Bob James]
第16回「特集:このドラミングがすごい①Liberty DeVitto」(3)[Billy Joel]
第16回「特集:このドラミングがすごい①Liberty DeVitto」(4完)
[Billy Joel, Pat Travers, The White Ravens]
第22回「特集:このドラミングがすごい②Bobby Caldwell」(1)[Johnny Winter And]
第22回「特集:このドラミングがすごい②Bobby Caldwell」(2)[Captain Beyond, Rick Derringer, The Allman Brothers Band]
第22回「特集:このドラミングがすごい②Bobby Caldwell」(3)
第22回「特集:このドラミングがすごい②Bobby Caldwell」(4)[Armageddon, Captain Beyond, Johnny Winter And, Various『THOUSAND DAYS OF YESTERDAYS: A Tirubte to Captain Beyond』]
特集:このドラミングがすごい③Jerry Shirley(1)[Humble Pie]
特集:このドラミングがすごい③Jerry Shirley(2)[Humble Pie]
特集:このドラミングがすごい③Jerry Shirley(3)[Humble Pie]