DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳290

290

Hydra「Feel A Pain」『HYDRA』(1974)

 Capricorn所属だったんで“サザン・ロック”扱いされることもあったという米国のバンドHydra。音を聴いてみると、もっと英国的ハードロック風味が強いようにも思うのですが。例えばこの「Feel A Pain」なんか、「歌ってんのGlenn Hughesか?」と思うほど。このヴォーカルは、Wayne Bruceって人ですか。曲の後半で4ビート風のベースパターンに変わるけど、ギターは結構ねちっこいというか、初期Mark Reale(Riot)風――つまり英国HRの影響下にある米人ギター風味――なのよ。

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 アルバムでは次の「Good Time Man」がスライドギターをフィーチュアしたアップテンポなロックンロール。こういうあたりは“サザンロック”っぽいのかな?Wayneの太めのヴォイスは、同時代でいうとBobby Harrison(Freedom/Snafu)あたりとイメージがダブるね。Spencer Kirkpatrickのギターワークもなかなかイイな。Micky Moody(SnafuWhitesnake)みたいにその後ブレイク(?)しなかったのが惜しいくらい。

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 うむ、このファーストアルバム全体が、私好みなのだな。軟弱なところがなく、硬質なリフとブルージーなスライドの上に熱(あつくるし)いヴォーカルが載るスタイル。みんな大好き「Going Down」も元気にやってるしね。

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どんぱす今日の御膳289

289

Stormwind「War Of Troy」『REFLECTIONS』(2001)

 この辺でメタルをいっとかないとね。昔懐かしいStormwindなんて言うと悪いけど、もう20年も前の曲だからねえ。この曲に出くわしたのは、伊藤政則氏のTV番組『ROCK CITY』の新譜紹介CMコーナー“Ship of This Week”でした。(MVですらなかったのだ。)

 ほんの数十秒、流れただけのメロディックパワーメタルに興味をひかれ、名前をメモして後日CD屋へ走る健気な吾輩。買ったらまずライナーノーツをよく読む。なんか、ギタリスト(Thomas Wolf)が空手のチャンピオンだったとかも出てきました。

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 そろそろ再生するかってんで聴くと、第一のポイントはやはりこの強力なヴォーカル。Thomas Vikströmはオペラ歌手でもあるそうで、発声からしてそこら辺の連中とは格が違いました。(もっとも彼の実力は、「War Of Troy」よりも、後年の「Touch The Flames」とかの方が分かり易いですけど。)NHK・BSの『AMAZING VOICE 驚異の歌声』にも出たってんで、有名かな?

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 それから、このバンドのレヴェルを上げてるもう一人の立役者はドラマーのPatrick Johansson。この人もまじで腕利き。突撃系パワーメタルはもちろん、多彩なフレーズを柔軟に叩き分け、それでいて“ヤワ”にはならない硬質さもあるという、理想的メタルドラマー。凄すぎて、この後割と早くにイングヴェイに引き抜かれちゃいました。さらにそのあとインペリテリのトコにも寄り付いたっていうのがイイ。匠は匠を知る!

 

 出会いの作品ゆえ『REFLECTIONS』が大好きな私ですが、世評はなぜかそこまででもない。(この後の作品がより「良くなった」と言われるせいかも。)でもさ、「The Man Behind the Iron Mask」とか「Reflections」のテンポ・チェンジを含む面白さとか、「Queen for Nine Days」とか「Assassin Of Honor」のアグレッシヴな突撃感とか、いいじゃないかあ、ねえ。主宰人の空手トーマスは今何してるのかわかりませんが、またこういうジャンルで作品を出してほしいものよ。

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どんぱす今日の御膳288

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Cyndi Lauper「How Blue Can You Get?」(『MEMPHIS BLUES』2010)

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 シンディ・ローパーというと、私なんぞはWE ARE THE WORLDの“宝石ジャラジャラ”お姐さんのイメージだったんですけど(歌のうまさは尊敬してる)、気が付けばこんな渋いブルーズ・アルバムを作っていたのね。

 「How Blue Can You Get?」は、最初はJohnny Moore’s Three Blazersが録音したということですけども、B.B.Kingがヒットさせライヴでも演じ続けたというのが有名でしょうか。シンディの深みのある歌唱もイイですが、この曲はB.B.バリの粘るギターがないと物足りません。お、このテイクには味のあるプレイがフィーチュアされてますな、いったい誰が……なんとギターはJonny Langでしたか。なるほど。ジョニーは一部ヴォーカルもとっていますね。これは良い組み合わせ。アルバムではもう一曲、Robert Johnson「Crossroads」を二人入りで仕上げていますね。

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 ちなみに、『MEMPHIS BLUES』ではB.B.キングその人をもゲストに迎えています。「Early In The Mornin'」(Louis Jordanの曲)には、ギターとヴォーカルでB.B.、ピアノでAllen Toussaintが入ってるというこれまた豪華版。流して聴くのは勿体無い、よく作りこまれたアルバムでした。

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どんぱす今日の御膳287

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Jeff Watson「Forest Of Feeling」(『LONE RANGER』1992)

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 ちょっと前にNight Rangerを取り上げましたが、今回はそのメンバー(だった)ジェフ・ワトソンのソロから1曲いきましょう。

 お得意の8フィンガー奏法も含め弾きまくりの一枚なんだけど、ハードなナンバーからアコースティックまでいろいろなうえ、要所要所でうまくゲストを迎え入れていて、飽きさせない。私は結構いいソロ・アルバムだと思うんですがねえ。私の大好きなSteve Morse先生との共演もあるし(「Talking Hands」)。

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 さて、浮遊感あるイントロで始まり、スケール感のあるハードロックに展開するのが「Forest Of Feeling」。前半はジェフの弾きまくりで、それを支えるドラムは……Steve Smith(Journeyなどでプレイした凄腕)。だけど、この曲の主役は彼らではないの。1分48秒から1分以上にわたって壮絶というしかないソロを繰り広げるお方。このスケール、音遣い、唯一無二のAllan Holdsworth先生でございます。3分40秒あたりからは、ジェフ先攻・アラン後攻でギター・バトルに突入(ちなみにバックのドラムも凄いことになってる)。ジェフも気合が入っててなかなか美しいフレーズを繰り出しますが、余裕で応じるホールズワース師。なかなかいい光景ですよこれは。

 と、私は結構好きな曲なんですが、アラン自身は気に入っていなかったらしいのだ。いまはもうなくなっちゃったようですが、かつてアラン・ホールズワースのオフィシャルサイトの一部に「参加しなきゃよかったなあ、と思うレコーディング一覧」というコーナーがあって(笑)、この曲を含む数十に及ぶセッションが列挙されていました。うろ覚えになるのですが、Frank Gambaleとのギター・バトル・アルバムなんかもそこに入れられていたし、Gordon Beckとの協業も含まれていた気が。

 なんというか、相手のアーティストに不満や恨みがあるというよりは、「自分らしさが出せなかった」ことを後悔してるようなのですな。まあ、アーティストならばそういうことはありましょうが、それを公にするというのが彼らしい。かつ、「アラン本人が気に入っていない」イコール「駄作」ではないわけで。少なくともハードロック・ファンがアランのプレイに触れる入口としてはおおいに「アリ」だと思う次第。(ちなみに、プログレがイケる人にはU.K.の「In The Dead Of Night」をおすすめします。)

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どんぱす今日の御膳286

Jake Kaufman「Dance Through The Danger」『SHANTAE: Half-Genie Hero OST(2016)

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 よし、この辺でゲームミュージックをいっとくか。『シャンティ(SHANTAE)』というアクション・ゲーム(シリーズものです)があるのね。私がやってみたのはシリーズ中の『ハーフ・ジーニー ヒーロー』というのだったのですが、2D横スクロール・アクションなんですけど、私のように日ごろアクション慣れしていない者にとってはまあまあ難しかったなあ。だんだんパワーアップするので地道に続ければ何とかクリアはできる(できた)んですが。「敵にやられる」よりも「穴に落ちてアウト」というのが多くてだいぶやり直しました。


 キャラクターは生き生きしてるし、ギミックもなかなか面白いのでなんだかんだ言って楽しめたのですが、私の場合そうなってくるとミュージックも気になってくる。でも、このゲームもともと海外の作品らしいし、サントラなんて出てんのかなあ……

 

 ダメもとでネットで検索すると、あら。作曲者Jake Kaufman氏自身がbandcampで公開・販売してました。買う側が自分でいくらかの価格を決めて支払い、アルバムをダウンロードする形態。CD党(一党独裁)の私はダウンロードで音楽を購入するってほとんどやったことが無かったのですが、こればかりは仕方ない。おっかなびっくりお買い物。

 

 街中の曲とかボスバトルの曲とかもよいんですが、今回挙げたダンサブルな「Dance Through The Danger」(珍しく歌入り)の熱さは捨てがたい。メタル的な盛り上げもあるしねえ。どうです。

 

 ついでに。bandcampってけっこういろいろあるのね?さすがにびっくりしたのは、以前当ブログで「なんだこれ?」扱いしたオランダの一人デスメタルSolarisis(ファーストアルバムは『オランダはトウフでできています』)の、まさかのセカンドアルバム『OF PLAGUE PROPORTIONS』(2007)があってさあ。「うおおお!」と思ってるのは世界中で俺を入れて五人くらいかもしれないけど、聴いてみたら、一応バンド形式になってて、普通の気持ち悪いデスメタル(?)になってた。あの個性的だったチャイナシンバルが消えてしまっていたのだあ……

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 すみません、関係ない話で取り乱しました。えー、『SHANTAE』は音楽もよいなかなか楽しいゲームですので、アクションが好きな人にはお勧めですよ!と明るく締めくくろう。