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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳191

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Billy Joel「A Matter Of Trust」(『LIVE AT YANKEE STADIUM』1990)

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 今年の1月23日にBSでやってるのを観ました。ビリー・ジョエル1990年のライヴ。ビリーのマニアックなファンを(勝手に)自称している小生ですが、この映像作品の重要性を分かっていなかったことを反省。黄金時代のビリー・ジョエル・バンドではなくなった時期の作品ゆえ、甘く見ていたのだった……

 

 現在のビリー・ジョエル・バンドへ移行していく過渡期で、Tommy Byrnes(Gt)・Crystal Taliefero(Sax, Gt, Per, Cho)が加わりたて――でありながらなかなかエネルギッシュなパフォーマンスを見せる――で勢いがあるし、古株はMark Rivera(Sax, Key他)・David Brown(Gt)そしてLiberty DeVitto(Dr)が80年代の味を伝えてる。デヴィッドのギターがあんなにフィーチュアされてた――「We Didn’t Start The Fire」「A Matter Of Trust」などで特に――というのも映像を観ての発見。

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 そう、本作は映像としてすみずみまで観るべき内容に満ちておるのです。

(1)さっき言ったデヴィッドのギターの重要さ。後にトミーがリードギターを引き継いで彼がバンマスになります。90年代以降ビリーもステージでギターを手にする機会が増えた気がしますが、ギター・ロックがやっぱり好きなんだろうね。

 

(2)クリスタル・タリフェロの大活躍。River Of Dreamsツアーでの八面六臂は知ってましたが、その以前から……歌いまくり知りまくり叩きまくり吹きまくりで凄かった。

 

(3)「A Matter Of Trust」でビリーがギター(エレクトリック)を持って歌う間、ピアノを担当するマーク・リヴェラ。プレイヤーとしては「New York State Of Mind」で前任Richie Cannataから引き継いだサックス・ソロが彼の見せ場ですけど、さりげなく“ビリーのピアノ”(物理的に)を任されてるあたり、両者の信頼感が見えて和む。

どんぱす今日の御膳190

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Rick Wakeman「Slaveman」(『THE CAPED COLLECTION』

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 リック・ウェイクマンさんは、それこそ多作な方で、もはや録音作品の全体像が私ごときにはつかみきれません。しょうがないので(?)編集盤頼みになるのですが、そうするとこんどは「いつのどういう作品か」わかんなくなっちゃうの。

Wakeman, Rick - Caped Collection - Amazon.com Music

 

 『THE CAPED COLLECTION』なる、廉価なベスト盤をとりあえず聴いていたら、この歌モノ「Slaveman」が妙に耳に残りました。チープなシンセに打ち込みっぽいドラム……と、これだけだったらわが好みには入らぬのですが、ヴォーカルが(なぜか)印象に残ったのね。リックさんの鍵盤よりも。いわゆるプログレっぽく全然ない、暑苦しい歌唱なのさ。よくいえばソウルフル?

 

 オリジナル作品は『TIME MACHINE』(1988年)、ヴォーカリストはAshley Holt氏でした。調べてみると(これくらいしか当ブログのとり得は無いので)……ああ、Warhorseのリード・ヴォーカリストだった人ですか。Warhorseは、元Deep PurpleのNick Simper(Ba)が結成した、オルガン入りハードロック・バンド。聴きなおしてみると、確かに同じ声ですな。ウォーホースもまた復習しておきませんと。

 

 あ、リック先生すみません。貴方の本領発揮ということでは、『THE CAPED COLLECTION』にも(たぶんヴァージョン違いが)入っていた「Merlin」が気に入りまして、1975年のアルバム『THE MYTHS AND LEGENDS OF KING ARTHUR AND THE KNIGHTS OF THE ROUND TABLEを買いましたから許してください。あ、こっちにもAshley Holtさんは参加してるね。俺、リック・ファンじゃなくてアシュリー・ファンだったのか……

どんぱす今日の御膳189

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Uriah Heep「Seven Stars」『SWEET FREEDOM』1973

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 ユーライア・ヒープもわたくし好きなバンドでして、思わずアルバムを集めたくなっちゃうのですが……それでも、こんな隠れた名曲に出くわせるとは思っていなかった、甘かった。このアルバム『SWEET FREEDOM』からだと、「Stealin’」や「Sweet Freedom」「Sunshine」あたりがベスト盤にピックアップされることが多いような気がしますが(特に最初のは、ラインナップの変わった現在でもセットの中心に入ってる様子)、6曲目にシレっと収まっているこの「Seven Stars」こそ忘れてはいかん名曲ではないでしょうか。

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 ヒープ得意のオルガン入りシャッフル・ロック。作曲者でもあるKen Hensleyのオルガンが際立つのもイイですが、なんと言ってもDavid Byronのヴォーカルが好調。私ちょっとバイロン先生の力量を過小評価してた気がします。ケン・ヘンズレー氏もうまく歌うし、デヴィッド・バイロンの後任の例えばジョン・ロートンは屈指の名手だしっていうんで……でも、本作のバイロン卿は本当に素晴らしい。

 

 終盤(3分10秒あたり)に歌詞で“♪ABCDEFGHIJKLM”、“♪NOPQRSTUVWXYZ”とか出てくるのも意味不明で最高。3分50秒ほどでフェイドアウトしますが、この長さは小生が「ハードロック曲としては理想的」と認定した尺でありまして、それもポイント高し。

 

 というわけで、騙されたと思って聴いてみなされ。

どんぱす今日の御膳188

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Hellhound「Metal Psycho」(『METAL FIRE FROM HELL』2008)

 ヘヴィ・メタル好きを公言していながら、わたくしこの頃あまり激しい音楽をきっちりフォローしていなくて……自らのメタルへの忠誠心が薄れてしまったのではないかと恐怖に襲われ(大袈裟)る今日この頃。

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 そういうタイミングで出会ったのがこちらのHellhound。日本のバンドで、雑誌の記事などで名前は拝見したことがありましたが、ちゃんと聴いたのは最近になってから。どうやら私が前に聴いたことのある別バンドの方(M……のN……さん?)が関与しているようだということはわかりましたが、深く調べるのは無粋なのでやめました。だって……

 

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 このジャケですよ?そいで、Vo/GtがCrossfire、Gt/ChoがLucifer’s Heritage、Ba/ChoがSwordmaster、DrがDragonblasterの諸氏ですと……すばらしいとしか言えない。で、素晴らしいのは出してる音もで、正統派のパワー/スピード・メタルという、小生は好物だけど、いまそれって受けるの(?)っていうスタイルを、全力でぶちかましてくれます。

 

 疾走曲が多いのでワンパターンになりそうなもんですが、そこは(どうやら)百戦錬磨の戦士らしく、あの手この手でメタル野郎を愉しませてくれます。「Metal Fire From Hell」「Heavy Metal Highway」「Heavy Metal Education」などなど、「メタル」をやたら連呼するタイトル群も暑苦しい。中でも今回ピックアップの「Metal Psycho」は、バスドラ踏みまくり、シャウトしまくり、ザクリフ刻みまくりのトゥーマッチ感満載のナイスナンバー。

 

キメで“♪Metal psycho!”と叫ばれる――エンディングに至ってはさらに“♪Psycho, psycho, psycho, psycho,psycho~~~!”と来るのですが、もはや「メタル最高!最高!」としか聴こえない……たぶん狙ってやってるんでしょうけど。つまりこの一曲で、私のメタルへの忠誠心が試されてしまうのですな。ときどきコレを掛けて、「うおおお、キタ」と思えれば、私はまだ大丈夫だっていうことですね(え?)。

どんぱす今日の御膳187

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Mandrake Root「Speed Trippin'」(WAVES IN MOTION』1993)

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 バンド名からして、もうね。あるウェブサイトの紹介では“Swedish Rainbow wannabies”(スウェーデンのレインボー・ワナビー)なんていう酷い(身も蓋もない)説明をされていましたが……それは冤罪です!!彼らはレインボーワナビーなどではない!!!

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 こいつらは“ディープ・パープルワナビー”です!……名誉回復……になってない、か。オルガンの入れ方、ドラムの手数の趣味、楽曲のストラクチャーなどから察するに、やっぱりこれはDeep Purple風味でしょうよ。1993年ですからね。これが干支一回り早ければWhite Spiritとかと同格でしたでしょうけど。

White Spiritについては⇒第55回「White Spirit」(1)

 

 あ、だからといって内容がヒドイというわけではありません。独創性はまあありませんが、演奏力はまずますですし、ヴォーカルはイアン・ギランやブルース・ディッキンソンをちょっと思わせるし(とはいえやはりちょっと甘いが……)ね。

 この「Speed Trippin’」はアップ・テンポの8ビート・ナンバーで、White Spiritバリにオルガン・ソロが頑張ってます。引き継いだ「リッチーが、よっぽど、好きなんだね?」ギターソロもグリーグペール・ギュント」のワザとらしい引用も微笑ましいし。

 

 好きなことを詰め込んだという点では心意気は買える。というか、CD買っちまったから無理矢理褒めとかないと……