DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳007

007

Allan Holdsworth/Alan Pasqua/Jimmy Haslip/Chad Wackerman「Red Alert」(『BLUES FOR TONY』2010)

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 トニー・ウィリアムスTony Williams)って慕われてたんだなあ……。後にJack Bruceもトニーへのトリビュートものを出しますが(『SPECTRUM ROAD』)、ダブル・アランもこんなライヴをやってました。

 ラス曲がこれ、『BELIEVE IT』(1975)収録の「Red Alert」。トニーのバンドでロニー・モントローズが弾いてたヴァージョンはロックっぽかったけど、こちらはリズムセクションを中心にハネ方が随分違う。Allanの心を込めたギタープレイが素晴らしい。

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時代の産物を追う?〔続〕(10)

 ようやっと2017年作品へのコメントに片が付きました。遅い。続いて……

 <2018年作品>

(1)Ace of Cups『ACE OF CUPS』(USA)

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CD1

  1. Introduction: There's A Record Being Made
  2. Feel Good
  3. Pretty Boy
  4. Fantasy 1 & 4
  5. Circles
  6. We Can't Go Back Again
  7. The Well
  8. Taste of One
  9. Mama's Love
  10. Simplicity
  11. Feel It in the Air

CD2

  1. Interlude: Transistor
  2. Stones
  3. Interlude: Baby from the Forest of Knolls
  4. Life In Your Hands
  5. Macushla / Thelina
  6. As the Rain
  7. Interlude: Daydreamin'
  8. On the Road
  9. Pepper in the Pot
  10. Interlude: Breath
  11. Indian Summer
  12. Grandma's Hands
  13. Medley:The Hermit/The Flame Still Burns/Gold & Green/Living in the Country
  14. Outroduction: It's Always Safe ...
  15. Music

<メンバー>

Denise Kaufman(Ba, Vo, Harmonica)

Mary Ellen Simpson(Gt)

Diane Vitalich(Dr, Perc, Vo)

Mary Gannon(Claps)

 +サポート&ゲスト

 

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 1960年代に活躍したという伝説の女性バンド、まさかの「初アルバム」。当時はアルバムを残さなかったそうなのですが、結成50周年(!)を機に再集結し、往年の楽曲や新曲を集めた「ファースト・アルバム」をお出しになられたのでした。

 

 ちなみに私はこのバンド全然知りませんでした。ある専門店で特価品になっていたので「へえ?」と思って手に取ったといういい加減さ。60年代で女性オンリーのバンドというのは珍しいなと思ったくらい。聴いてみると……

 

 イントロに続く1-2「Feel Good」は適度にハード程よくキャッチーなロックソングで素敵。手作り感ありというか、私好みの人力音楽じゃございませんの。リードを取るデニス・カウフマンさん、バックアップするメアリ・シンプソンさんともなかなかに溌剌とした歌い振り。サポートのJack Casadyさんによる躍動的ベースもグレイト。1-3は一転、中後期ビートルズ風の「Pretty Boy」でメアリさんとダイアンさんがリードヴォーカルを分け合います。

 

 バンドのメイン・ソングライターはDenise Kaufmanさんのようですが、彼女が歌う次の「Fantasy 1&4」は程よい疾走感が心地好い。シンプルなギターソロもいいですし、Dan Sheaさんによるオルガンのバックアップも効いてる。かつてのオリジナルメンバー(Ba)ながら本作ではClapsのみ演奏となっているMary Gannonさんが加わった「Circles」は、Barry Melton氏がギターでサポート、デニスのハーモニカソロとギターでバトルを繰り広げます。テンポチェンジも巧妙なこの曲は、ベースもデニスさんがプレイ。リードヴォーカルはダイアン・ヴィタリチさん。

 

 1-6「We Can’t Go Back Again」はデニスさんがメインで歌うアコースティック・ソング。Pete Sears氏のオルガンも雅な雰囲気を醸し出す。Grateful DeadのBob Weirさんを(ヴォーカルとギターで)フィーチュアした「The Well」は、バンジョーも入るカントリーフレイヴァ―入りの一曲。一方次の「Taste of One」はオルガンを除いてバンド(Ace of Cups)メンバーのみで録られたミドル・ソング。こちらはメアリ・シンプソンさんのスライド・ギターがいい感じ。

 

 1-9「Mama’s Love」はCharlie Musselwhiteのハーモニカをフィーチュアしたブルーズ・ナンバー。(Mary Gannon作)アコギとドブロでKen Emersonさん、エレクトリックギターでJorma Kaukonenさん(Jefferson Airplane)が参加してますが、チャーリーのプレイがやっぱり耳を引きますかね。引き続いてヨーマさんがギターで加わった「Simplicity」は、物悲しい雰囲気。1分40秒辺りまでスロウで悲し気なんですが、その後疾走を始め曲調が変わって(ツインギターのソロも有り)盛り上がっていき、最後はまた冒頭のテンポに戻って終わる。Led Zeppelinの「Stairway to Heaven」の様式美ですな(?)。そして一枚目ラストはピアノやメロトロンも入るゆったりした「Feel It in the Air」、メアリ・ガノンさんがリードを取ります。この曲も後期ビートルズ(というかABBEY ROAD)っぽい味わい有り。

<続く>

どんぱす今日の御膳006

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高崎晃「Ebony Eyes(野生の瞳)」(『TUSK OF JAGUARジャガーの牙)』1982)

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 泣く子も黙るLoudness高崎晃氏のソロ・アルバム。Loudnessのメンバーもばっちり参加の充実作のなかで、なぜこの曲かというと、高崎さんヴォーカルが聴けるからレアってことで。(ご本人は自分の歌唱を気に入っていないというようなことを、どこかで読んだ気もしますが。)

 “♪~~ワンダーランド!”

 器楽は言うまでもなく強力です。

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第53回「内田勘太郎」(3)

 続き。

 

憂歌団『BLUES 1973~1975』(1978)*[  ]内はカヴァー元

  1. Please Find My Baby [Elmore James]
  2. Key To The Highway [Big Bill Broonzy]
  3. It Hurts Me Too [Elmore James]
  4. Kind Hearted Woman [Muddy Waters/Robert Johnson]
  5. King Fish Blues [Tampa Red]
  6. I Can’t Be Satisfied [Muddy Waters]
  7. Careless Love [Lonnie Johnson]
  8. Please Find My Baby [Elmore James]
  9. Walkin’ Blues [Muddy Waters/Robert Johnson]
  10. Shake Your Money Maker [Elmore James]
  11. Look On Yonder Wall [Elmore James]
  12. Rollin’ & Tumblin’ [Muddy Waters]
  13. Good Morning Little School Girl [Sonny Boy Williamson]
  14. Take A Little Walk With Me [Robert Jr. Lockwood]

  #1~7(1975.5.24)

  #8~11(1974.9.28)

  #8(intro)・12~14(1973.5)

<メンバー(憂歌団)>

 木村充輝(Vo, Gt)

 内田勘太郎(Gt, 12 Strings Gt, Harp)

 花岡献治(Ba)

 島田和夫(Dr)

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 リズムセクションが加わった音源は、8曲目から11曲目ですが、これはライヴのようです。「Please Find My Baby」は、イントロ部分は1973年の録音で始まって、クロスフェードで74年のライヴバージョンが始まるカッコいい演出。ステージだと木村さんの声が一層張りがあるのがナイス。リズムセクションが入ってドライヴ感が増したこともありますが、ボトルネック大炸裂の内田ギターがとにかく凄い。凄いったら凄い。わたしなんざ、エルモアのオリジナルより先にうっかりこっちを聴いちゃったもんだから、ご本家のを聴いたときに「アレ、意外にまったりしてる?」とか思っちゃった。

 

 「Walkin' Blues」は、Eric Clapton『UNPLUGGED』でやったので有名でしょうか。エリックはもちろんロバート・ジョンソン版に基づいていますが。まあ、この曲はクラシック中のクラシックで、カントリー・ブルーズ系の人もたくさんやってますし――個人的にはSon Houseのヴァージョン(in『THE COMPLETE LIBRARY OF CONGRESS SESSIONS, 1941-1942』)が好き――、The Butterfield Blues Bandのヴァージョン(『EAST WEST』所収)も名演ですね。あとは、「Born To Be Wild」で有名なSteppenwolfJohn Kayがソロ・アルバム(『FORGOTTEN SONGS AND UNSUNG HEROES)で弾き語り調カヴァーをしてたり、90年代にJohn Lee Hookerを好サポートしたスライド・ギターの名手Roy Rogersがダンサブルなヴァージョン(『SLIDEWINDER』所収)をやってたりと、探せばいろいろありますよ。憂歌団のはマディ版に基本的に忠実だと思います。

 

 「Shake Your Money Maker」はエルモア・ジェイムズ原作の舞踏用ナンバー。このアップテンポのノリに抗することは出来まい。エルモアのは電気ギターでグイグイ刺激的に迫る楽曲ですが、憂歌団はアコギで弾き倒すのが面白い。ロック・ファンにはたぶん、Peter GreenのFleetwood Macのヴァージョンがアピールするかな。エルモアのをさらに速くエグくしたみたいなのね。ほとんどハードロックです。バターフィールド・ブルース・バンド『THE PAUL BUTTERFIELD BLUES BAND』で演ってて、Mike Bloomfield & Elvin Bishopのギターコンビのプレイもファンキーでカッコいいですけど、フリートウッド・マックのブチ切れ演奏の方がロック小僧には効いたなあ。マイナーなところだと、Musician Union Bandっていうオランダのロックミュージシャンたちによるプロジェクト『MUSICIAN UNION BAND』Spencer Davis GroupIan Gillan Bandでお馴染みRay Fenwickが仕掛人)でもなかなかノリのよいヴァージョンが披露されてますぞ。

 

 すぐ話が脇にそれるな……。「Look On Yonder Wall」もエルモア曲です。エルモアといえば!の3連フレーズが繰り出される軽快なナンバー。これまたナイスカヴァーがありまして、ポール・バターフィールドたちは「Look Over Yonders Wall」というタイトルでタイトなギターブルーズ/ロックを送り出してるし、ピーター・グリーン『PETER GREEN SPLINTER GROUP』(ちなみに、ベースはNeil Murray、ドラムはCozy Powellだから、Whitesnakeファンは聴かないとまずいんじゃないですか?)でクールなピアノ入りヴァージョンを仕上げてます。憂歌団はこれらに比べるとオール・アコースティックだから牧歌的……なんかじゃ全然なくて、木村さんのホットな歌と内田さんの縦横無尽ギターが得難いドライヴ感を出しちゃってます。

※☟こちらはElmore James(憂歌団のヴァージョンが見つけられず)

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<続く>

どんぱす今日の御膳005

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Adrian Belew「Inner Revolution」(『INNER REVOLUTION』1992)

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 80年代からのKing Crimsonを支えた(そして変えた?)男エイドリアンさんのソロ作品。聴く前は“象さんギターの人でしょ?”っていう偏見に固まってるから、どんなアヴァンギャルドが飛び出すかと思ったら……良質のヒネクれポップが弾ハジけてていい意味で裏切られました。ドラムも含めて自分で演奏しちゃう器用っぷりも、この作風だと嫌味も無くて素敵。歌も伸び伸び。

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