DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

時代の産物を追う?〔続〕(10)

 ようやっと2017年作品へのコメントに片が付きました。遅い。続いて……

 <2018年作品>

(1)Ace of Cups『ACE OF CUPS』(USA)

youtu.be

CD1

  1. Introduction: There's A Record Being Made
  2. Feel Good
  3. Pretty Boy
  4. Fantasy 1 & 4
  5. Circles
  6. We Can't Go Back Again
  7. The Well
  8. Taste of One
  9. Mama's Love
  10. Simplicity
  11. Feel It in the Air

CD2

  1. Interlude: Transistor
  2. Stones
  3. Interlude: Baby from the Forest of Knolls
  4. Life In Your Hands
  5. Macushla / Thelina
  6. As the Rain
  7. Interlude: Daydreamin'
  8. On the Road
  9. Pepper in the Pot
  10. Interlude: Breath
  11. Indian Summer
  12. Grandma's Hands
  13. Medley:The Hermit/The Flame Still Burns/Gold & Green/Living in the Country
  14. Outroduction: It's Always Safe ...
  15. Music

<メンバー>

Denise Kaufman(Ba, Vo, Harmonica)

Mary Ellen Simpson(Gt)

Diane Vitalich(Dr, Perc, Vo)

Mary Gannon(Claps)

 +サポート&ゲスト

 

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 1960年代に活躍したという伝説の女性バンド、まさかの「初アルバム」。当時はアルバムを残さなかったそうなのですが、結成50周年(!)を機に再集結し、往年の楽曲や新曲を集めた「ファースト・アルバム」をお出しになられたのでした。

 

 ちなみに私はこのバンド全然知りませんでした。ある専門店で特価品になっていたので「へえ?」と思って手に取ったといういい加減さ。60年代で女性オンリーのバンドというのは珍しいなと思ったくらい。聴いてみると……

 

 イントロに続く1-2「Feel Good」は適度にハード程よくキャッチーなロックソングで素敵。手作り感ありというか、私好みの人力音楽じゃございませんの。リードを取るデニス・カウフマンさん、バックアップするメアリ・シンプソンさんともなかなかに溌剌とした歌い振り。サポートのJack Casadyさんによる躍動的ベースもグレイト。1-3は一転、中後期ビートルズ風の「Pretty Boy」でメアリさんとダイアンさんがリードヴォーカルを分け合います。

 

 バンドのメイン・ソングライターはDenise Kaufmanさんのようですが、彼女が歌う次の「Fantasy 1&4」は程よい疾走感が心地好い。シンプルなギターソロもいいですし、Dan Sheaさんによるオルガンのバックアップも効いてる。かつてのオリジナルメンバー(Ba)ながら本作ではClapsのみ演奏となっているMary Gannonさんが加わった「Circles」は、Barry Melton氏がギターでサポート、デニスのハーモニカソロとギターでバトルを繰り広げます。テンポチェンジも巧妙なこの曲は、ベースもデニスさんがプレイ。リードヴォーカルはダイアン・ヴィタリチさん。

 

 1-6「We Can’t Go Back Again」はデニスさんがメインで歌うアコースティック・ソング。Pete Sears氏のオルガンも雅な雰囲気を醸し出す。Grateful DeadのBob Weirさんを(ヴォーカルとギターで)フィーチュアした「The Well」は、バンジョーも入るカントリーフレイヴァ―入りの一曲。一方次の「Taste of One」はオルガンを除いてバンド(Ace of Cups)メンバーのみで録られたミドル・ソング。こちらはメアリ・シンプソンさんのスライド・ギターがいい感じ。

 

 1-9「Mama’s Love」はCharlie Musselwhiteのハーモニカをフィーチュアしたブルーズ・ナンバー。(Mary Gannon作)アコギとドブロでKen Emersonさん、エレクトリックギターでJorma Kaukonenさん(Jefferson Airplane)が参加してますが、チャーリーのプレイがやっぱり耳を引きますかね。引き続いてヨーマさんがギターで加わった「Simplicity」は、物悲しい雰囲気。1分40秒辺りまでスロウで悲し気なんですが、その後疾走を始め曲調が変わって(ツインギターのソロも有り)盛り上がっていき、最後はまた冒頭のテンポに戻って終わる。Led Zeppelinの「Stairway to Heaven」の様式美ですな(?)。そして一枚目ラストはピアノやメロトロンも入るゆったりした「Feel It in the Air」、メアリ・ガノンさんがリードを取ります。この曲も後期ビートルズ(というかABBEY ROAD)っぽい味わい有り。

<続く>