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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

温故知新旧稿再録(17)「お薦め押し付けノート」(4)

VOL.1 HR/HM編(続続続)

(13)Manowar「Metal Daze」(『Battle Hymns』1982)USA

  • 80年代前半は英米メタル全盛期といえるでしょうが、当時米国で受けていたのは「L.A.メタル」とやや遅れて「スラッシュ・メタル」でした。前者はMTV時代に対応したヴィジュアル・ルックス重視の一群(むろん、うまいBandもいますが)、後者は特にスピード感を極端なまでに追求して荒々しさを優先させた一群です。そういうブームの中で、正統的な――きちんとした演奏の上に、ちゃんと節のある歌を朗々と歌う――スタイルのBandはやや居場所が少なかったのですが、このManowarは例外的に自分たちのスタイルを守り続けた名バンドでした。音がでかくてギネスに乗ったとか、いろいろ逸話も多いBandですが、音楽的には至って真面目、です。HM的に真面目ということは、つまり“かなり暑苦しい”ということですが。今回メタルメタルしたのが少ないので敢えて入れてみました。“Heavy metal, loud as it can be!”という歌詞からしてアレですね。これを受け入れられるかどうかでメタラー度もわかってしまいそうな、試金石のような一曲でございます。
  • 〈もう1曲〉Manowar「Kings of Metal」(これもタイトルからして凄いですが、歌詞も“Other bands play, Manowar KILLS!(他のバンドは演るが、マオウォーは殺るのだ)”というのがサビのコーラスという……デスメタルなんかと違って、こういう歌詞を朗々と歌い上げちゃうところを尊敬します)

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 (14)Night Ranger「(You Can Still)Rock in America」(『Midnight Madness』1983)USA

  • LAともスラッシュとも違う個性を発揮できたアメリカンバンドとしては他にこのNight Rangerも。歌えるBa+歌えるDr+ツインリードGt+Keyという5人組。リードGtの一人(Brad Gillis)はこのBand結成直前にOzzy Osbourneバンドのメンバーでしたし、Key(Alan Fitzgerald)はかつてMontroseのBaでした。そういう意味で、最初から演奏巧者揃いでもあったわけですが、特に初期は楽曲も粒揃いでした。この代表曲なぞもそうですが、キャッチーなコーラス+テクニカルな演奏(Gtソロでは個性の違う二人の技が堪能できます)というのはなかなか得難いものでした。
  • 〈もう1曲〉Night Ranger「Don’t Tell Me You Love Me」(82年リリースのデビューアルバム中の一曲。後にバラードがヒットしたことから、世間からHRバンド扱いされなくなるのですが、原点はやはりハードナンバーでしょう)

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(15)Frank Marino「Juggernaut」(『Juggernaut』1982)Canada

  • 英米以外にHR/HMは無いのか?無論そんなことはありませんで、余裕さえあれば“世界一周”ご案内もできるのですが、今回は少しだけ。まず、カナダのFrank Marinoですが、この人はMahogany Rushというバンドを率いて70年代半ばから活動しています。もともとJimi Hendrixの影響を色濃く受けた人なんですが、発表する音楽は充分に個性的であると思います(R&R調だったりプログレ色があったりするところはJimiとの違いでしょうね。歌い方なんかは似てますが)。で、この人歌もまずまずですがGtが凄いんですわ。70年代ギタリストの中では(おそらく例外的に)Van Halen以降のHMギターテクを貪欲に吸収した人で、この曲のギターソロなんかもその応用です。あと、リフは当然としてこの人はオブリも上手いのです。後述するYngwieもこの曲は好きなんだそうですね。
  • 〈もう1曲〉Frank Marino & the Mahogany Rush「The Answer[Live]」(FM&the Mahogany Rush『Live』は名盤で、終盤には日本のXがカヴァーしたので有名な「World Anthem」も収録されていますが、イントロに続くこの曲もよいのでお薦めです)

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(16)TNT「As Far as the Eyes Can See」(『Tell No Tales』1987)Norway

  • 北欧メタルの中心地はスウェーデンなんですが、敢えてノルウェーのバンドをご紹介。といっても、Voはアメリカ人なんですが……そのVoが凄いハイトーンなんですね。しかも、金切り声でなく高い声で歌えているのが稀有。更に、テクニカルなGtが絡むのでメタル的スリルも充分という。メタルというと“歌が聞き苦しかったり暑苦しかったり”と思われるのかな?と思い、そうでもないのですよという例示をば。いいバンドでしたなあ。
  • 〈もう1曲〉TNT「Intuition」(次のアルバムではよりキャッチーになりました。これ以上進むとポップスになっちゃうかなというギリギリのところで踏みとどまった結果、洗練されたHMの提示に成功したのでありました)

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(17)Yngwie Malmsteen「Far Beyond the Sun」(『Rising Force』1984)Sweden

  • 最後はインストです。現代HMの重要な要素の一つに、“クラシック音楽との接触”があるのですが、卓越したギターの力量によってそれを高度な次元で提示して見せたのがYngwie Malmsteenでした。Van Halenに次ぐ、HM界でのギターヒーローといえばこの人なのです。まあ、聴いてもらえばわかるでしょうが、もの凄い速弾きなんですね。で、ただ速いんじゃなくて、きちんとスケールを踏まえているので聴いていて美しい感じがちゃんとするという。この曲は、彼の美学が十二分に反映された名曲中の名曲であると思います(もっというと、彼自身これを超える楽曲やパフォーマンスがなかなか出来ないともいえるのですが)。あと、マニアックに突っ込むと、KeyとDrもかなり細かいいい仕事をしていますのでチェックしてやってください。
  • 〈もう1曲〉Alcatrazz「Jet to Jet」(彼がソロアーティストとなる前に加入していたBandの代表曲です。歌い手は元RainbowのGraham Bonnet。私見では、Yngwieは他人のバンドでギターを弾く時一番いいパフォーマンスをしていると思います。そこしか自己表現の場が無いからかな)

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    <VOL.1完>