DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳228

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Leroy Carr「Christmas In Jail(Ain’t That A Pain)」(『COMPLETE RECORDED WORKS VOL.2』1992)

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 物悲しい曲も入れとこうか。シティ・ブルーズの名工リロイ・カーの作品。1929年8月録音なので「クリスマスに歌われた」わけじゃありませんが。Leroy Carr(Vo, Piano)+Scrapper Blackwell(Gt)による演奏。

 リロイの歌は物悲しくも甘くて上々、スクラッパーの控え目で絶妙なバックアップも素敵な、つまり黄金のリロイ・カー作品。“♪I got to spend my Christmas locked up in jail again……Oh baby, baby, baby ain’t that a pain”、“♪Oh Santa, Santa, Santa come here to me in jail……Bring me a Christmas present, someone to go my bail.”楽曲の方はわりと軽快なだけに物悲しさが引き立つ、さすがの職人技。(ホントにジェイルに入れられてたのかな?)

 

 「クリスマス」が特別なときだからこそ、逆にこういう歌もできるんでしょうか。ブルーズの歌詞の世界はまだまだ探索のし甲斐がありますね。

どんぱす今日の御膳227

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The Beatles「Christmas Time (Is Here Again)」(FREE AS A BIRD1995)

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 大物のクリスマス・ソングもいっとくか。“♪O-U-T spells out !”

 もともとはファンクラブ限定で配布(1967年12月)されたThe Beatlesのクリスマス・レコードだったそうですが、1995年のFREE AS A BIRDシングルのカップリング曲として、私の如き者でも聴けるようになりました。作詞作曲はビートルズの4人となってます。歌も全員+George Martin+Victor Spinetti。

                                                   

 この8ビートはリンゴのドラミング!と、ホクホクしちゃうのは変態的な聴き方かな……じっさい、ジョージのギターやポールのピアノ(ジョンはティンパニらしいけど?)も含め、タイトでなかなか良い演奏。

 

 曲の終わりごろには各メンバーからのクリスマス・メッセージ入り。最後は「Auld Lang Syne(蛍の光)」をバックにジョンがポエムをよみあげておしまい。おまけにしては手の込んだ作品に仕上がっております。さすがビートルズ……

どんぱす今日の御膳226

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Stiff Little Fingers「White Christmas(Live)」(『ALL THE BEST』1983)

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 12月に入りますと、街中はクリスマス・モードに入りますね。ロックの世界でも「クリスマス」はテーマになりまして(欧米など)、Christmasを曲名に含むものも数多くございます。今月は手元のコレクションからちょっと挙げてみましょうか。

 

 最初はこれがよいかな。曲はご存知「White Christmas」ですが、演奏は70年代から現代までロックし続ける偉大なパンク・バンドStiff Little Fingers。ライヴ・ヴァージョンですが、これで1980年2月のシングルB面に収まっていたそうです。最初は呑気に始まりますが、1分20秒からは倍速(?)に。

 オリジナル・アルバムには入っていなかったらしく、アルバムサイズで聴くにはコンピ『ALL THE BEST』を待たねばならなかったようですね。私もこれで聴きました。あるときバンド仲間に聴かせたら「何じゃコレ?」と笑いがとれたことがありましたな(受けを狙ったわけではなかったんですが……どちらかというと粗い音質と演奏に吃驚したらしい)。

 

 Stiff Little Fingersって、前身はHighway Starといったとか、初期の名曲「Suspect Device」にMontrose(「Space Station #5」)のテイストがあるとか、ハードロック好き(=私)をとらえて離さない要素もあるんですよね。元The JamのBruce Foxton(Ba, Vo)が在籍してたこともあるし、常に気になるバンドです。

どんぱす今日の御膳225

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Judas PriestPainkiller」(PAINKILLER1990)

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 そろそろこの辺でひと区切りしますか。さすがにしつこかったかな。「ドラムのイントロが凄い曲シリーズ」。最後はコレ。まあ、「凄い」よね。

 

 これも尺をはかると18秒しかないのか……意外に短かった。Scott Travis(Dr)がJudas Priestに加入して(厳密にはどうだか知らないが)最初に聴衆にくらわせたのがこのタイコの嵐。前任者とは明らかにタイプの違うドラム。オリジナル・メンバーズ(Rob/K.K./Glenn/Ian)が意外に器用なのか、バンドそのものが若返りましたね。

 世界中の(メタル系/メタル好き)ドラマーが真似してるでしょうけど、やっぱり本人のテイクには敵わない、かな。やってみようとして挫折した下手ドラマー(=私)に言わせると、手数に気をとられて足元がおぼつかなくなるとアウト。よく聴いていただくと、スコットのフットワークは超安定してますが、16分の刻みを入れてるときより8分で土台をしっかり作る如く踏み踏みするのが肝要なのではないでしょうかね。優れたドラマーは「足」がしっかりしてます。私ごときが言うまでもないことでした……

 

 そうそう、Judas Priestといえば、初期の名曲「Exciter」もドラム・ソロから始まりましたよね。Les Binks(Dr)さんのドラミングも美しかったと思います(リアルタイムではもちろん知りませんけど)。いつだったか何かの番組内で伊藤政則さんが「いまジューダス・プリーストにさあ、レス・ビンクスが戻ったからって『オッ!やった!』ってやつはいないだろ。ロブ・ハルフォードが戻るってことに、意味があるんだよなあ」というようなことをおっしゃいました(文言は正確でないと思います、すみません)。

 それを聴いた当時私「レス・ビンクスが戻ったっていったら、見てみたい気がするがなあ」なんてふと捻くれて思ったことを思い出しました。(なお、スコット・トラヴィスももちろん好きです。代わってもらいたい、というわけじゃなくて、レス・ビンクス氏に‟伝説”的イメージがあったもので。)

 

 というわけで皆さん、音楽を聴くときはドラマーにも意識を向けてあげて下さいね。

どんぱす今日の御膳224

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Elvis Costello & The Attractions「(I Don’t Want To Go To)Chelsea」(『THIS YEAR’S MODEL』1978)

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 「お前、ハード・ロックしか繰り出してこないじゃないか」って言われそうなので、「わ、儂だってパンクくらい聴くわ」ということで、これをどうぞ。(エルヴィス・コステロをパンクっていうの、無理がある?私が人生で初めて彼の曲を聴いたのって、『THE NO.1 PUNK ALBUM』っていうコンピに入ってた「Oliver’s Army」だったんだよね。)

 

 この曲に至っては、冒頭のドラム・ソロ(?)は5秒くらいしかないけど、私にとってはものすごいインパクトだったのね。よくありそうで実は一度も聴いたことがない、つまりクールなフレーズだったわけよ。バンド練習でスタジオに入ると、(下手の分際で)真似したくなっちゃうような……

 Elvis Costelloと協業したThe Attractionsの面々は誰もが名手ですが、Pete Thomas氏(Dr)はわけても凄い。例えばこの「Chelsea」における緩急のつけ方……焦燥感と鷹揚感(造語)を同時に出せるなんて、信じられない名人芸。コステロのラップ調の歌とコーラスのメロディを両方立てるわけでね。わざわざドラムの注意して聴く人もあまりいないかもしれないけど……

 

この名曲を含む『THIS YEAR’S MODEL』(1978)もとうぜん名盤ゆえ、大推薦。「No Action」から「Radio, Radio」まで、他の作品ではそこまで感じられない“疾走感”が心地好いとおもいます。