DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳301

301

Skyclad「The Great Brain Robbery」『FOLKÉMON』(2000)

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 先週がSatanだったから、関連でこれもいっとこう。Satanのギタリストの一人Steve Ramseyが90年代に始めたバンドSkycladの曲よ。アルバムタイトルや曲名で“言葉遊び”を仕掛けるのがこの“元祖フォークメタル”バンドの真骨頂なのですが、どうですかこれは。アルバム名は明らかに『ポケモン』をもじり――ジャケットからも明白(笑)――、この曲は“大列車強盗”(The Great Train Robbery)ならぬ“大頭脳強盗”(?)。これはスティーヴのセンスなのでしょうか、それともヴォーカリストのMartin Walkyierの?

 マーティンのダミ声ヴォーカルははじめ聴き手を選びますが、はまると抜けられない魅力あり。語尾を妙に“~~a!”と上げるクセも個性的ですが、これは以前に在籍してたSabbat時代からのよう。イイ。そうそう、Skycladでの歌に感銘を受けて、私はSabbatにも手を出したのさ。イイ鴨。

 

 他のメンバーは、Satanでのスティーヴの同僚Graeme English(Ba)と、George Biddle(Fiddle)、Kevin Ridley(Gt)、Jay Graham(Dr)。ケヴィンはプロデュースも務め、マーティンがこのバンドを脱退した後はリードヴォーカリストにもなります。彼らによるアルバム『フォーケモン』冒頭のハイパーナンバーがこの「The Great Brain Robbery」なわけですが、スラッシュ的疾走感とふんだんにまぶされるフィドルのフォーク風味、マーティンのクセ強ヴォーカルに粘っこいギター……いいよね。

 

 ちょうどこのバンドを知った時期に私、Korpilkaani『VOICE OF  WILDERNESS』の「Journey Man」とか)とFairport Convention『LIVE CONVENTION』の「Dirty Linen」とか)にもハマりまして、フォークメタル(というかフィドル入りロックか)の進化の過程を見たような気がしてたのね。Skycladは現在のフォークメタルやヴァイキングメタルの連中に先駆けて結構新しいことをやっていたんじゃないかい?してみるとスティーヴおじさん(とグレアムおにいさん)、重要人物じゃないですか。

どんぱす今日の御膳300

300

Satan「Key To Oblivion『INTO THE FUTURE』(1986)

 記念すべき300回目はやはりメタルで!

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 NWOBHMの名バンド中の名バンド、Satanの「Key To Oblivion」です。大仰なイントロから十八番の刻みリフへつなぎ、パワーハウスSean TaylorのドラムとGraeme Englishのドライヴィングベースのもとで疾走する上を、隠れた名シンガーMichael Jacksonのタフヴォイスが舞う。“♪Into the future, back to the past......”、Satan節全開の名曲ですよ。Russ TippinsとSteve Ramseyによる長尺ソロも「らしさ」いっぱい。『COURT IN THE ACT』も名盤ですが、これもイイ!

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 なんて言いながら、私も実はコレにたどり着くまでに時間がかかってます。『COURT IN THE ACT』の味わいには一時期とりつかれたことがありましたが、バンドのその後の作品まではフォローしてなかった。Brian Ross(Vo)はもういない、っていう情報だけがあったからかも。そんな私を導いてしまったのは、伊藤政則先生のPower Rock Todayでしたよ。あるときラジオを何となく流して聴いてたら、割と深い時間帯に「Fuck You~The Ice Man」が掛けられたのです。Satanが再結成するのなんて影も形もない時代のこと、なんであの曲が掛かったのかなあ。とにかくそのカッコよさにしびれまして、「エッ!これがSatanなの!新ヴォーカリスト(*この言い方は変だな?)もいいじゃん!」となって、アルバム探しが始まるのでした。なかなか無かったけど……。念願かなって2in1のCD『INTO THE FUTURE/SUSPENDED SENTENCE』を入手できたときはホクホクでした。思い出の「Fuck You」(インスト)も繰り返し聴けるしねえ。ちなみに、1987年当時の作品ジャケット・クレジットを今調べて見たら、アルバム裏ジャケットには「You」、レコードのラベル面には「・・・・You」とだけ印字されてました。私のCDは先に記した通りでしたから、出た当時は“あの言葉”は憚られたのでしょうね。

 

 『SUSPENDED SENTENCE』の内容もよいですが、「Key To Oblivion」から「The Ice Man」まで含む『INTO THE FUTURE』の4曲は捨て曲も隙もないまさに名作……と思っているのですが、実は本作について個人的にずっと謎だったことがあるのです。購入後さらにSatan情報に触れる中で、『INTO THE FUTURE』の4曲は、同年に作られたという『DIRT DEMO ‘86』なるデモテープ収録曲と完全同一だということが判ります。これは、デモテープがそのまま商品化されたということなのか、デモにもとづいて新規レコーディングが行われてミニアルバムが完成したのか?

 

 長らく確かめようがなかったのですが、つい最近Satanの発掘音源集『EARLY RITUALS』というのを手に入れまして、そこに問題の『DIRT DEMO ‘86』が収録されていたのです。パッと聴いたところ、両者はよく似ているようでした。うーん、どうなんだろう。ということで力業、「同時に再生」して聴き比べてみました。私の結論としては「両者は同じ」です。デモテープがそのままミニアルバム化されたのでしょうねえ。(ただし!『INTO THE FUTURE』版では「The Ice Man」の終演後に変なロックンロール調のインストが“♪てけてん、てんてけ…”って30秒ほど入って締めくくるのですが、『EARLY RITUALS』を聴く限りそれがありません。『EARLY RITUALS』『DIRT DEMO ‘86』を忠実に収録しているのであれば、この「てけてん」“30秒”のみが、新録(当時)だった可能性有り、かと。誰の何の役に立つんだこの情報?)

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 ご存じの通りSatanは2010年代に名ヴォーカリストBrian Rossを含む『COURT IN THE ACT』ラインナップで復活。再結成アルバム各種も佳作揃いですばらしいわけですが、Michael Jackson時代(やや後の変名Pariah時代を含む)も良かったよ!ということですね。いやあ、ヘヴィメタルは楽しいね。

どんぱす今日の御膳298

298

Avenger「Death Race 2000」『BLOOD SPORTS』1984

 前回何の気なしに(というか無根拠に)NWOBHMなるワードを出してしまったので、今回は正真正銘NWOBHMのバンドを出しましょうか。Avenger。といっても、本ファーストアルバムが出たのが84年ですから、ムーヴメントの中では後発組になりますね。(ただし、活動はもっと早くからやっていたようですけど。)

 

 音を聴いたら、というか歌を聴いたら、何かと通じるものを感じることでしょう。そう、このヴォーカル、Brian Ross(SatanBlitzkrieg)っぽくないですか? それもそのはず、このシンガーIan Swiftは初期Satanに居たことがあり(『INTO THE FIRE』デモで歌っている)、そのころAvengerでデモを録ったBrian Rossがその後トレードでSatanに入り名盤『COURT IN THE ACT』を製作する……という不思議な因縁もあるのです。歌い方も心なしか似てるわけよ。

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 Avenverは、Satanに比べればストレートな曲が多く、捻りがないのは物足りない(といえなくもない)ですが、例えばこの「Death Race 2000」など突撃感はなかなか捨てがたい。「Warfare」で歌い上げるIanはなかなか堂々としているし、8曲目「Enforcer」は、確実にあのスウェーデンのNWOTHMバンドEnforcer命名の由来になったんじゃないかと勝手に睨んでいるのですが。❨どっかにバンド名の由来説明がありましたかねえ?)

 録音があまり高クオリティでなく、音がややカルめに聞こえてしまうのだけが残念。

 そして私がこのバンドを「信頼に足る」と認定した根拠は最後に控えているのだ。ラストは何だと思います?「Matriarch」ですよ。Montroseのサードアルバムからのカヴァーっていうところがセンス良い。Sammy Hagar時代じゃなくてBob James時代のロックナンバーを若干の早回し(?)でお届けする心意気よ。

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 そしてさらに素晴らしいのは、Ian Swiftたちが2014年に至って再集結アルバムを出したことですよ。『THE SLAUGHTER NEVER STOPS』なるアルバムが突如出たもんだから、こっちは半信半疑。おじいちゃん、だいじょうぶ?

 “…………なめるな若造め!”とばかりに、アノ感じで歌いまくるイアン、タイトなドラミングでバンドの推進力を担うゲイリー・ヤング(Gary Young)の両翁が、若いギタリストらを従えて正統派メタルの意地を見せる。Satanの復活に刺激を受けた、のかは定かではありませんが、あの時代のヒーローたちが戻ってくれるのは超嬉しい。

どんぱす今日の御膳296

296

Symphony X「Smoke And Mirrors」『TWILIGHT IN OLYMPUS(1998)

 このバンドのことを、当ブログではこれまで正面から取り上げていなかったのか……。いわゆるプログレッシヴ・メタルの中で私が最も好きなグループです。近年は寡作でなかなか待たされますが、出してくる作品の質の高さには毎回唸らされますね。PARADISE LOSTなんかは気に入りすぎて、出た当初に日本盤を買い、数年後にDVD付き特別版をまた買ってしまったのでした。「Seven」は神々しいまでの名曲。

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 で、最初に買ったのはこっち『TWILIGHT IN OLYMPUSでした。ヘヴィメタルのディスクガイドに載ってた、その(本が出た)当時の最新アルバム。買ってきて再生ボタンを押すでしょ、それでいきなり飛び出すギターのこのフレーズよ。素朴だった当時の私はもうそれだけでやられてしまいました。ヴォーカルも熱く、うまいしね。個人的にはドラムにも感銘を受けた……のですが、ドラマーTom Wallingは本作だけの参加でしたね。オリジナルドラマ―のJason Rulloが次作で復帰するからですが、共にテクニカルなタイプでありながら、Jasonはパワーで、Tomは細かさに秀でているようです。(「Smoke And Mirrors」のライヴヴァージョン(played by Jason)は、キックやスネアのアタック感が凄い分、細かなフィルは端折ってる――ように聴こえます。ええ、ええ、私はどっちも好きですともさ。)トム・ウォーリング先生――実際ドラムを教えていたりするようですけど――のプレイをまたどこかで聴きたいもんです。

 本作、イントロから即効性のある曲は他には「In The Dragon’s Den」くらいですが、長尺のプログレッシヴな曲(「Through The Looking Glass」)やメロディアスなバラード(「Lady Of The Snow」)にも佳曲があり、気を抜けません。人気曲の密度では前作『THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY』(1997)――アタマ三曲「Of Sins And Shadows」「Sea Of Lies」「Out Of The Ashes」はライヴの常連!――にはかないませんが、味わい深いアルバム。

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どんぱす今日の御膳294

294

Praying Mantis「Children Of The Earth」『TIME TELLS NO LIES』(1981)

 よし、メタルに戻ろうか。NWOBHM中メロディアス派の守護神Praying Mantisの中心メンバーは、勿論TinoとChrisのTroy兄弟ですね。彼らのセンスは実に素晴らしい……とか言いながら、当然私(80年代生)はリアルタイムでは全然知りませんでした。それどころか、最初に彼らの音を聴いたのはオリジナルアルバムですらなかった。

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 『LIVE AT LAST』(1990)っていうライヴ・アルバムがあってですね、“NWOBHM十周年を記念したコンサート”を収録したものなんですが、そこにトロイ兄弟+ポール・ディアノ(Vo、元Iron Maiden)+デニス・ストラットン(Gt、元Iron MaidenLionheart)+ブルース・ビスランド(Dr、元Statetrooper他、のちPraying Mantisに入る)という編成のスペシャルバンドが出たということなんです。(曲によってメンバーの出入りがある。)

 

 これを2000年以降に中古で手に入れて、「へー、元メイデンのポールが歌ってんだ?」くらいの気持ちで再生し、はじめはアルバム後半のアイアン・メイデン曲ばかり聴いたわけですが、そのうち前半もちゃんと聴いてみるとそれはそれでメロディアスでなかなかいい。Praying Mantisって、名前しか知らなかったけどちゃんと聴いてみようかな……となってようやくこのファーストアルバムにたどり着くわけね。すでに名盤の誉れ高いので、私が今更追加することはないですが、劇的なこの「Children Of The Earth」(歌はクリス)はもちろん、ティノの塩辛ヴォイスも似合うハードな「Panic In The Streets」や、Steve Caroll(Gt)の歌うオープニングの「Cheated」の爽快さ……やはり良いですな。

                                                               

 そうそう、私がスルーしちゃいけないのは2曲目よ。はいはい、The Kinks「All Day And All Of The Night」のハードなカヴァーです。この曲も「You Really Got Me」あたりと同様、“みんな大好き”でね、のちに(1987年)ロンドン・パンクの長老(?)The Stranglersがカヴァーしてシングルヒットさせてますね。Praying Mantisのヴァージョンは、オリジナルに対し割と忠実な(生真面目な?)カヴァー、かな。パンクからメタルまでみんなに敬われるキンクスがやっぱり偉い!……じゃなくて。Praying Mantisですが、メンバーチェンジを経ながらもトロイ兄弟はロックし続けているわけでして、偉い!

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