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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳308

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Arch Rival「Soul Of Your Machine」『THIRD DEGREE BURNS』(1997)

 テクニカルギタリストMichael Harrisの率いるアメリカのバンド。全く予備知識なしでジャケ買いしたんだった気がします。これはサードアルバム冒頭の曲ですが、いいよね。ギターがバカテクっていうだけじゃなくて、Steve Snyderの熱い歌唱も映える疾走ナンバー。

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 Michael Harrisって人は、Shrapnel系じゃなくてDavid T. Chastain(Leviathan)人脈の人のようですが、歌ものもよく作れる人で私は好き。Arch Rivalのファーストやセカンドも良いし、David T. Chastainとの双頭バンドZanisterなんてのもあるし、プログレッシヴメタル寄りのThought ChamberDarkologyも高品質。

 

 インストもののソロ・アルバムもありますけども、テクニカル好きにはDavid T. Chastainとの双頭ライヴChastain-Harris『LIVE! WILD & TRULY DIMINISHED!』(1992)もお勧め。二人の弾きまくりも壮絶だけど、Greg Martinのドラムもスゴイ。あ、GregはArch Rivalのドラマーです。

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 元に戻って『THIRD DEGREE BURNS』。ホントに名盤だと個人的には思ってるんですが……。そうね、感触としてはBurning Rain(Doug Aldrich)みたいな感じが近いのかも。技巧派ギタリストがソウルフルなヴォーカリストとやってるハードなロック。本作ではほかに「Ultra-Violence」(ギターソロの高揚感が素晴らしい)とか、Steveの強靭な歌が魅力的な「Tough Love」とかも聴き所。劇的な疾走インスト「Third Degree Burns」もあるよ。探して聴く価値あり。

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どんぱす今日の御膳307

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Assassin「Baka」(『INTERSTELLER EXPERIENCE』1988)

 こんな曲を嬉々として紹介する私こそ“baka”だと思いますけど……

 ドイツのスラッシュ・メタル・バンドAssassinのセカンドアルバムの最後に入っている名曲(?)です。2分半しかない突進ナンバーで、決めは“♪Baka!”これでフツウは紹介終わりですが、当ブログがこの曲を挙げるのは他にポイントがあるからなのだ。

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 このバンドに関わる人物が、実はこのブログ内ですでに紹介済みなんだな。「あっ!」と判った人は偉い。……↓ココです。

中国メタル名曲紹介(14)Raging Mob

 なんとAssassinのヴォーカルのRobert Gonnella氏は一時期中国でRaging Mobというメタルバンドをやってまして、ちゃんと音源も出しているのでありました(2008年)。本格的なオトを出してましたけど、どうやらロバートの帰国によりバンドは終了したようです。

 

 で、ロバートは戻って何をしてたのか。アサシン再始動とかしてたようだ、っていうのは情報が出てきますが、具体的な音までは追えていなかった小生。そんな私にもとに転がり込んで(いや、ちゃんと買いました)きたのが『CHRONICLES OF RESISTANCE』という作品。彼らのファースト『THE UPCOMING TERROR』とセカンド『INTERSTELLER EXPERIENCE』を2枚組で収録したお得盤……というだけでなく、それぞれにボーナス・トラックが入っているのでした。

                                                                 


 で、そのボートラが大問題。なんと、2010年の“Live in Osaka”2曲なんですけど、一方が「Assassin」という曲、もう一つがこの「Baka」なんです。し・か・も!後者の冒頭部分でロバートが何と言ってるか、ちょっとだけ拾いますね。(ロバートはほぼ日本語でMCしています。スゴイ!)

 “♪だから、その昔の歌はバカっちゅう歌。(→聴衆“ワァー”) でも、オオサカではみなアホという。だから、みな「アホ!」で。な。ちょっと、一緒に、頑張りましょう!”

 

 こんな風に煽って、バンドに決め前だけドコドコ演奏させて、「♪アホ!」って歌う練習をオーディエンスにさせるんだよ!何回か練習した後に、フルヴァージョン(2分半だけど)に突入して、決めの部分を「アホ!」でシャウトさせまくるという……究極の名演でしょコレ。俺のなかじゃKraftwerkの「Dentaku」(Live in Japan Ver.)に匹敵する泣けるライヴテイクですよ。頑張って探してね!……って言おうと思ったら、なんだいなんだい、YouTubeに動画で大阪でのこのライヴが出てるじゃないか。私は苦労したのに……じゃないや、みなさんはそちらからどうぞ!あほ!

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 あ、念のため。「Baka」っていう曲そのものはね、“♪Rampant pollution advanced technology turns the day into dark night.”とか“♪Hysteria, we lost our sense of Humor, total chaos rules the street tonight.”とかって歌われる、意外にシリアスな(?)ところもある歌なのよ?

どんぱす今日の御膳305

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Anthem「Holy Fighter」(FALCOM SPECIAL BOX ‘90(Disc2)』1989)

 Anthemの本活動時代(80-90年代)のアルバムは一通り持っていたのですが、これが手に入るとは。日本ファルコムというゲーム会社とアンセムに関わりがあったことは、たしか柴田直人さんの自伝にもちらっと出てたと思いますが、こういう感じだったのですね。いまやレア曲では?

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 FALCOM SPECIAL BOX ‘90』という4枚組CDがありまして、1枚目は「Vocal」、2枚目が「Heavy Metal」、3枚目は「New Age」、4枚目は「Ys Animation Video Soundtrack」となっております。2枚目は4曲入りで、この「Holy Fighter」と「Protectors」がAnthem、「Stranger In The Night」と「Lonely Soldier」がPresence Projectの演奏になっています。(Presence Projectは、プレゼンスのメンバー恩田さん・白田さん+ヴォーカルに岸本友彦さん。岸本さんはファルコムJ.D.K.バンドでもその後活躍します。)あ、アンセムの方は当時のラインナップ(柴田さん+大内さん+福田さん+森川さん)です。

 

 アンセムの方でいうと、作曲は「Holy Fighter」が石川三恵子さん、「Protectors」が古代祐三さんで、いずれもゲーム会社の方が作ったゲームミュージックをメタルにバンドが“編曲”した産物なわけですが、日本のゲームミュージックの懐の深さというかジャパメタ界隈との近さというかも相まって、ふつうに「らしい」楽曲になっていますねえ。

 

 あ、ちなみに(誰も興味ないと思うが)私はファルコムのゲームは相当好きな方なんですけど、面白いと気づいてフォローするようになったのはPC版の空の軌跡(FC)』からなもんで、2000年代半ばより前の作品(ゲーム)はほとんどわかりません。(それこそファルコム学園”で出てきてもネタがよくわからないという……)

 

したがいまして、アンセムのパワーメタルに感銘を受ける「Holy Fighter」でありますが、ゲーム(戦国SORCERIAN)の場面などはべつに思い浮かばないといういい加減ぶり。スイマセン。「Protectors」はYsⅡが初出(?)のインストナンバー。リズムセクションも強靭ですけど、福田さんのプレイを全編満喫出来るのはいいですなあ。

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どんぱす今日の御膳304

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Inquisicion「Dragonslayer」(『LIVE POSTHUMOUS』2001)

 南米チリのヘヴィーメタル・バンド。むかしむかし、まだ西新宿にDisk Heavenがあったころ、その店頭にこのグループの『BLACK LEATHER FROM HELL』(1998)が並んでいたことがあったのさ。お店特製のポップ――その“売り文句”にどれだけ乗せられた(笑)ことか……――に(たしか)“正統派!Riotタイプ!”みたいなことが書いてあったのです。が、当時の私は他のお目当ても多く、購入に至らず。そうこうするうちに新宿のDHもなくなってしまいまして、入手機会は失われてしまったのでありました。

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※ライヴヴァージョンはYouTubeにないみたいなのでスタジオ版で。

 

 それから十年以上が経った昨年、某中古店でこの『LIVE POSTHUMOUS』なるライヴ盤と遭遇したのであります。こんなのが出てたとは知らず、しかもジャケがなんともチープ(というしかなくない?)なので、若干二の足を踏みましたが……「かつての後悔を繰り返してはならん!」ということで、買ってみました。

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 1曲目は、『BLACK LEATHER FROM HELL』の冒頭に入ってる「Dragonslayer」。これはまあ、Thundersteel風のパワーメタルかもしれないな。わかりやすいのも良いし、ギターも安定感ある。クレジットによればメンバーは『BLACK LEATHER FROM HELL』と同一ですね。2000年のチリ・ツアーの録音だそうです。録音状態は悪くないですが、ちょっとドラムがポコポコ聞こえるかな。いや、でも不安定なわけじゃないのでいいです。ヴォーカルも、「Hibriaなみに凄い」とまではいきませんが、じゅうぶんに歌っています。Riotっぽいというよりは、Crimson Glory系のテイスト――Midnightみたいに突き抜けたヴォイスじゃないが――なんじゃないかな。

 

 全8曲入りですが、最初の6曲がライヴで、2曲はスタジオ版の曲ですから、“ライヴEP”(又はミニアルバム)という感じですが、曲数が少ない分ちゃんと聴いてみるとね、このバンドはギターがやっぱり上手い。他のパートはところどころ危なっかしいところがなくもないんだけど、Manolo Schafler氏はリズムもリードもすごく安定してて、安心して聴けます。ライヴ部分のラスト「Innocent Sinner」のイントロのファストなリフから中間のソロ、終盤のバッキングまで、ライヴでこれだけプレイできるのは凄腕と言ってよいのでは。

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※こちらもライヴではなくMVです

どんぱす今日の御膳302

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Korpiklaani「Journey Man」『VOICE OF WILDERNESS』(2005)

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 じゃあ先週からの流れでさらにKorpiklaaniに進もうか。2000年代前半は割と“同時代の新作”もチェックしてたんだなあ、私……

 

 ご存じKorpiklaaniフィンランドのフォークメタル・バンド。本格的民俗ミュージック理解に基づくその音楽的個性はもちろん、妙に笑えるミュージックヴィデオ、日本のレコード会社が調子に乗って(褒めてます)付けたぶっ飛び邦題の数々……唯一無二の森メタルであります。

 

 おそらく日本で火が付いたのはファーストアルバムの曲「Wooden Pints」の面白MVのためでしょうね。私の乏しい語彙じゃ説明しきれないのですが、山賊か木こりがなぜかロックバンドをやっている…みたいな態の演奏場面で始まるのですが、途中から酒盛りとか乱闘(?)の場面になっていきます。そして秘密兵器Hittavainen(Fiddle)の謎めいたたたずまい。私は『VOICE OF WILDERNESS』を買った後からこれを観たんですが、やっぱり笑えました。

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 『VOICE OF WILDERNESS』については、やはり伊藤政則のRock Cityというテレビ番組で「Hunting Song」のMVを観て知りました。(それにしても、なんだかんだで政則先生には世話になっていますなあ。)これまた傑作で、山賊or木こりのメンバーが「♪アヤーヤヤーヤー」言いながら森の楽団をやるのよ。メンバー以外にもキャストがあって、村人たち(?)がなんか輪になって踊ってたりする。で、妙に目を引くのはやっぱりヒッタヴァイネン氏だったりする。まあ、楽しい曲で、メタル的パワーもあり、気に入った私はアルバムを買いに向かうのでありました。

 あ、問題の邦題ですが、アルバム『VOICE OF WILDERNESS』は『荒野のコルピクラーニ』。これはまあいいよ。「Hunting Song」」は「「狩り」こそ漢の宿命」と来て、今回の「Journey Man」は「旅行けば」。ここまではぎりぎり原題の痕跡がありますが、「Beer, Beer」が「吐くまで飲もうぜ」、「Cottages And Saunas」が「サウナでひとっ風呂」、になってくるともうあやしい、「Spirit Of The Forest」が「森の中でハッスルハッスル」はいくらなんでもねえだろー(笑)。

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 さて肝心の楽曲「Journey Man」ですが、2分半もなく終わる本作中最短の一曲ですが、そのスピード感は爽快そのもの。“♪Free, free as a journey man……”のコーラスの後のツナギ部分で繰り出される高速フィドルが無茶苦茶気持ちいい。1分50秒あたりからは笛――クレジットによるとtorupillというバグパイプの一種(?)――が入って完全に“村祭りサウンド”に。つまり主役はやっぱりヒッタヴァイネン先生なのでありました。彼はホンモノの民俗楽器を操れる名手だったようで、その後もしばらくの間コルピクラーニに貢献し続けます(2011年まで在籍)。

 

 Korpiklaani自体は今も活躍してますし、CDもずっと日本盤が出続けていますね。近年の作品はチェックできてない私ですが、また聴いてみましょうかね。