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Phoenix「Drowning in Tears」『PHOENIX』(1976)
前回と関連のあるところを今のうちに。元ArgentのJohn Verity(Vo, Gt)+Jim Rodford(Ba)+Bob Henrit(Dr)によるハードロックトリオ、Phoenixです。単に「アージェントから鍵盤を取り去ったサウンド」というのではなくて、ロックトリオならではのテンションととテクニックが味わえるのが良いところ。前回も申したと思いますが、私はThe Kinksでのジムとボブから先に聴いていたので、彼らの手数足数の多いテクニカルプレイは新鮮!でありました。

このデビューアルバムは、3人の新バンドへの気迫が強く感じられる意欲作。トリオのハードロックではあるのですが、ストレートなナンバー(Try A Little Rock‘N’ RollだとかI’ll Be Goneだとか)だけでなく、怪しげなファンキービートのMississippi Neckbone(ちょっとHerbie HancockのChameleonを思い出しました……)だとかメロウな長尺バラードA Woman Like Youだとか、一筋縄でいかない楽曲を同居させているのがなんというかさすがだなと。
中でも今回取り上げますDrowning in Tearsは面白い。鍵盤(クレジットによるとジムが弾いている?)入りの、浮遊感と躍動感の交錯するプログレ・ナンバーなのです。最初期のJourneyっぽいような、それでいてもっとウェットなような……エレクトリックピアノ(ですか?)のサウンドの雰囲気や手数の多いドラムなんかは、同時期に活動してたAutomatic Man(バイエテとマイケル・シュリーヴの)とも相通じるようでもあります。 続くFrom The Ashesがメロトロン入りの静謐なナンバーであることと併せても、さすが歴戦の巧者たちによる作品だなと唸らされます。うん、やはり「プログレ」ですねこれは(いい意味で)。……と、ここまで書いて作曲クレジットを見ましたら、Drowning in TearsとMississippi Neckboneの二曲はJim Rodford作となってました。From The AshesはJohn Verity作ですが、本アルバムにおける“プログレ度を上げている”のはジムだったことが判明。ちょっと意外(?)でした。キンクスのイメージだけで語ってはいけない、ということなんでしょうね。
何の気なしに「フェニックス バンド」で検索してみたら、ジョン・ヴェリティとボブ・ヘンリットを正式メンバーとするPhoenixのオフィシャルサイトが見つかりました。そこの記載からすると、フェニックスは2000年代に「甦った」ようなのですが、今も羽搏いているのでしょうか。ちなみに、故Jim Rodfordのほか同サイトで「ゲスト・アーティスト」として紹介されているのは、ベーシストのMark Grifiths、Bob Skeat、そしてキーボーディストのIan Gibbons。うおお、イアンもキンクス人脈じゃないですか。
というわけで、楽曲の面白さとクオリティ、在籍メンバーのかかわりからしても、キンクス・ファンはゼッタイにスルー出来ないのがPhoenixだということが確認でき(てしまっ)たのでありました。セカンドアルバムの『IN FULL VIEW』(1979)、発掘音源らしい『OUT OF THE SUN』(2021)などもチェックしないといけませんね……


