Mark O’Connor『JAM SESSION』(2010) *[ ]内は収録時期
<メンバー>
Mark O’Connor(Vln):全曲
Chris Thile(Mandolin):1,3,4,5,7,8,9
Bryan Sutton(Gt):,1,3,4,5,7,8,9
Byron House(Ba):,1,3,4,5,7
Frank Vignola(Gt):2,6,8,9
Jon Burr(Ba):2,6,8,9
上述〔前回参照〕『HOT SWING!』収録作品は、2002年や2004年のライヴでも演奏されていたようです。「Swingin’ On The ‘Ville」・「Minor Swing」・「In The Cluster Blues」がそれら。「Swingin’ OnThe ‘Ville」は、タイトルにもあるスウィング感が心地好い。元のヴァージョンにはなかったマンドリンが妙味。「Minor Swing」はVln+Gt×2+Ba+Mandolinの編成、セットの締めくくりのように置かれているのも納得の王道的ナンバー。
2002年録音がもう四つあって、それが「Don’tLet The Deal Go Down」「Granny White Special」・「Soft Gyrations」・「Macedonia」。アルバム『THIRTY-YEARRETROSPECTIVE』(2003)にも入ってます。「Don’t Let The Deal Go Down」は、最初は典型的なリズム・パターンで凄技が披露されていくんですが、2分40秒辺りからウォーキングのテンポ(?)に変わってソロ回し。ここでも、主役は他に譲り、テンポがもどったところでフィドルが引き取って締め。曲が終わった時の拍手と歓声の大きさよ。
「Granny White Special」は、私が初めてCDを掛けた時に流れた曲ですから印象も一番強い。フィドルが主役のトラディショナル(風)・ミュージックなんていうと、Dave Swarbrickさん(あちらは英国)くらいしか聴いたことありませんでしたが、楽しいものですなあ。カントリーの軽快な調子に加え、プレイヤーの技の冴えが味わえる。ギターとフィドルのバランスも良くて、私の如き初心者向け。まずこれを聴いてみて下さい。
「Soft Gyrations」も12分ある大曲。ボサ・ノヴァ風のリズムなのかな、本作中では少し雰囲気が違ってソフトで軽やか。伸びやかなフィドル・サウンドが飛翔感(?)を醸し出すよ。中盤は音の密度が上がって、さらに「旋回(gyration)」が早回しになる感じ。各パートの重なり合いの効果がいちばん楽しめるのはこの曲かも。
「Macedonia」は、あんまりアメリカン・カントリーのタッチじゃありませんね。さっき言及したところだと、Dave Swarbrickさんの雰囲気に近いのかもしれない。やっぱりヨーロッパのマケドニアがモチーフなんでしょうか。
残った「Gypsy Fantastic」は2004年録音。これもアメリカンな雰囲気は薄目かな。高速チューンなんですが、リードを張る艶やかなフィドルの音(特に高音と低音を行き来するメインフレーズ)が聴き手を捉えて離さない、これまた名演。
渋谷のタワーレコードみたいな大きな店舗でようやく見つけた作でしたが、苦労した甲斐はあった。初心者も通して聴いて楽しめるライヴ・コンピレーションになっておりました。<続く>