今回もハード・ロックから少し離れたところで。Mark O’Connorさんというヴァイオリニスト(とお仲間)の作品を御紹介します。ジャンルはカントリー・ブルーグラスっていうんでしょうか……この辺も勉強不足が露呈しますが。私の好みの「人力音楽」のある極致であることは確か。メタルとかプログレはそれなりに嗜んでいますが、全編アコースティック楽器での(しかもジャズ系とは別の)超絶技巧を楽しむのも時にはよい。
主役のMarkさんは1961年8月生まれ。若くして才覚を顕した方だそうで、これまでに残している作品もあまた。ディスコグラフィによると、最初の録音作品は『4 TIME NATIONAL JUNIOR FIDDLE CHAMPION』(1974)とのこと……13歳ですか?ジャケット写真に写ってるの確かに子供だ。Youtubeで聴ける音もあるので聴いてみるか……ほうほう、「Dusty Miller」ね…………
……!なんなのこの堂々たる演奏!
しかもこの人は単なる「天才フィドル少年」で終わらなかった。他流試合(ジャズ・ロック・クラシック……)にも乗り出していて――途中には私の大好きなThe Dregs(Dixie Dregs)への参加などもありました――現在も旺盛に活動しておられる様子。そんな氏の、2000-2004年のライヴ演奏をコンパイルしたのが今回の作品『JAM SESSION』。捻りの無いタイトルがいいですね、逆に。オフィシャルサイトにある記述によりますと、本作は「ブルーグラスとジプシー・ジャズを組み合わせた、‟目もくらむような”ライヴ・アコースティック録音」と評されているそうです。
Mark O’Connor『JAM SESSION』(2010) *[ ]内は収録時期
1. Granny White Special [2002.7]
2. Gypsy Fantastic [2004.9]
3. Macedonia [2002.7]
4. Swingin’ On The ‘Ville [2002.7]
5. Soft Gyrations [2002.7]
6. Pickles On The Elbow [2000.2]
7. Don’t Let The Deal Go Down [2002.7]
8. In The Cluster Blues [2004.7]
9. Minor Swing [2004.7]
<メンバー>
Mark O’Connor(Vln):全曲
Chris Thile(Mandolin):1,3,4,5,7,8,9
Bryan Sutton(Gt):,1,3,4,5,7,8,9
Byron House(Ba):,1,3,4,5,7
Frank Vignola(Gt):2,6,8,9
Jon Burr(Ba):2,6,8,9
2000年から2004年までのヴァリアス・ロケーションでのライヴ。一番古いのは「Pickles On The Elbow」で、2001年リリースの『HOT SWING!』(フレンチ・ジャズの巨匠Stephane Grappelliに捧げた作品だそうです)にも収録されています。(同一音源なら、そちらが先。)Frank Vignolaさんのパーカッシヴなギター、Jon Burrさんのジャジーなベースの上で、Marc O’Connorさんの妙技が炸裂する軽快な作品。ギターの見せ場もあり。
<続く>