秋の文化祭がNAPESのラスト舞台ですから、そこへ向けてさらに曲も増やし、練習も積まねばなりません。また、文化祭と体育祭というイヴェントが接近しているうえ、体育祭の「応援団」(エンダン、と一般に称していた)に属しているメンバーも多く(私は文化系・文弱の徒だったので入っていませんでしたけど)、そちらも忙しい。夏休みなんかどうやって時間をやりくりしてたのかな。あと、一応高校3年生なので受験生でもあったはずなんですが。
まず、例によって選曲会議が行われました。どういう順番で追加されたか忘れましたが、Nirvana「Breed」、Van Halen「Jump」、Sex Pistols「Silly Thing」、hide with Spread Beaver「ever free」、X「Celebration」が入ることになりました。いやあ、すごいねえ。同じバンドがやる5曲とは思えない。
Nirvana「Breed」は、まあ「Lounge Act」よりはわかりやすいかな。この曲も、スコアなんか手に入れるんじゃなくてみんなで耳コピした気がするんですが、ギターが細部でどう鳴ってるか、全員でかなり真剣に討議(!)した覚えがあります。Van Halenの「Jump」は個人的にも思い入れのある曲でしたが、バンドで出来るとは嬉しい限りでした。少なくとも強力なギターとキーボードがいないと出来ないですから。歌うことになったAは最初ちょっと戸惑ってたみたい。オリジナルのデヴィッド・リー・ロスの節回しが独特なせいでしょうね。私はというと、これはもうやるのが楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。
Sex Pistolsからよりによって「Silly Thing」っていうのも凄いよね。Nirvanaで「Lounge Act」を選ぶ以上の奇手でしょう。名盤『NEVER MINDTHE BOLLOCKS』収録曲をスルーして――「God SaveThe Queen」でも「Anarchy In The U.K.」でもなく――、変なサントラ『THE GREATROCK’N’ROLL SWINDLE』収録の、Steve & Paul組の曲なんですから。皆さん、「どうせお前がゴリ押ししたんだろ?」とお思いでしょうが、どっこいそうじゃなかった。誰が持ってきたか忘れちゃいましたが、私が提案したのではないのです。「イイねイイね」と尻馬に乗ったことは確かですけど。一体どうなるか、仕上げを御覧じろ。
そして、Aが持ち込んだhide「ever free」とX「Celebration」がまたバンドを鍛える(少なくともドラムの筆者は鍛えられてしまった)楽曲群となりました。前者は、キメの多いロック・ナンバーで、スムースに転がすには曲のグルーヴをしっかり把握しないといけません。後者は、かろうじてツーバスを踏まなくてもできそうなXの曲……なんて消極的な理由で選んだんじゃなくて、やはりHideのセンスが活かされた曲でみんなが気に入ったから。AとTのツインギターが見せ場になりそうでしたしね。
この曲のことで憶えてるのは、「曲の始め方をどうしようか?」みんなであれこれ考えて宿題になってたときに、Aがうち(当時は携帯電話はありません!家電に掛かってくるのです)に電話してきて、「ちょっとこれ聴いて!」って言って電話口でXのライヴ・ヴァージョンを再生して私に聴かせたこと。「こういうふうにするのはどうかな?」というので、「いいね!」ってことになり、次の練習までにそのパターンを憶えていったのでした。当時はYoutubeも無かったんだから、「動画見とくわ」ってわけにもいかなかったんじゃよ。
<続く>