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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第43回「Keep」(3)

 ここからはちょっとだけ関連作を御紹介。
 
3Jun Fukamachi & The New York All StarsLIVE1978*[ ]内は作曲者
1. Rocks [Randy Brecker]
2. Sara Smile [Hall and Oates]
3. Virginia Sunday [Richard Tee]
4. Inside Out [Randy Brecker]
5. I’m Sorry [Mike Mainieri]
6. Dance Of Paranoia Op.2 [Jun Fukamachi]
7. Gypsy Jello [Richard Tee]
8. Jack Knife [Randy Brecker]
9. Love Play [Mike Mainieri]
<メンバー>
Jun FukamachiKey
Richard TeeKey
Mike MainieriPercVibraphone
Randy BreckerTrumpet
David SanbornAlto Sax
Michael BreckerTenor Sax
Steve KhanGt
Anthony JacksonBa
Steve GaddDr
 
イメージ 1

 

 フュージョン・ファンにはよく知られた面々による来日公演の実況盤。メンバーの豪華さだけでクラクラしますが……Cyber Fusionjazzfusion.com)というウェブサイトに掲載されている深町氏の回顧(2002年)によると、78年当時にはあの顔ぶれは「現在の評論家達が言うほどには日本で有名ではな」かったとのことです。同サイトでは78年のライヴを振り返る深町さんのインタビューが読めますので、ファンは必見。(ちなみに、Cyber Fusionには、深町さんのみならず、マイケル・ブレッカーやマイク・マイニエリ、スティーヴ・カーンなどのインタビューもあってたいへんためになりました。ありがとうございます。)
 
 一介のロック・ファンたる私からすると、「Rocks」「Inside Out」といったBrecker Brothersナンバーがノリ易かった。前者はArista All StarsMainieriBrecker兄弟・Khanも参加)のBLUE MONTREUX1979)のホットなヴァージョンも好きだし、Mark Varney Projectft. Frank Gambale & Allan HoldsworthTRUTH IN SHREDDING1990)の超絶ギタリスト対決版も面白いけど……ゴージャスなこのヴァージョンがやはり良いなあ。後者は、Brecker Brothersのライヴ盤HEAVY METAL BE-BOP1978)で聴ける、Terry Bozzioがドラムを叩いたロッキンなヴァージョンもナイス。本盤では、各プレイヤーのソロ回しが楽しめて、個人的には特に冒頭でスティーヴのギター・プレイが聴けるのが嬉しいな。ちなみに、「Jack Knife」もブレッカー・ブラザーズの曲です。ランディ兄貴の作曲センスは、ロック野郎をも迎え入れてくれる寛大なもの。最高!
 
 ……と長いこと思ってたんですが、歳とってから聴くと、他の曲も味わい深いのね。ホール・アンド・オーツの「Sara Smile」なんて、イントロが流れるだけで客席が沸きますが、長尺12分をも超える大熱演になります。個人的にはマイク・マイニエリのヴィブラフォンが味わい深いと思いました。
 
 リチャード・ティーの「Virginia Sunday」は快活な調子で楽しいし、同氏の「Gypsy Jello」はピアノやヴィブラフォンの響きが美しい。後者は後半にカーンのソロも聴けるし。いままでチェックが及んでいませんでしたが、Richard Teeさんはいい曲を書くなあ。
 
 マイニエリ作の「I’m Sorry」「Love Play」はいずれもここでは長尺物に。前者はなんか(リズム的に)落ち着き過ぎちゃってる気がしてむかしはピンと来なかったんですが、歳とると美味しく感じられるようになるね。後者は終盤にスティーヴ・ガッドのドラム・ソロもフィーチュア。
 
 そして、バンマス深町純さんの「Dance Of Paranoia Op.2」。「3」もそうでしたが、インテンスな曲想が特徴かな。ブレッカー・ブラザーズのスピード感とはまた違う感じ?ある意味典型的なソロ回しにもなっているのですが、ニューヨーク・フュージョンらしい音になっています、かね。
 
 ゴージャスで最高!と平凡な聴き手としては思うものですが……当事者Steve Khanのように、‟バンドが大きすぎて(和楽器奏者が多すぎるなど)音楽的に大成功だったとは思わない“という回想(1998年)を語っている人もいるのは興味深いところ。(Cyber Fusionに掲載のインタビューを拝見しました。なお、カーンさんも、仲間とツアーしたこと、一緒に演奏したこと自体は楽しんでいたようです。)ともあれ、このアルバムが、貴重な歴史の記録であることは間違いないでしょう。
<続く>