DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

「Teenage Dream――回想録――」(2)いざ練習

 いま振り返ってみるとあのバンドは真面目な連中が揃っていたと思いますね。本格的にバンドなんてやるのは初めてでしたので、私は勝手もわからずついていくばかりでしたが、ATがうまいこと仕切ってくれました。楽曲選定も民主的でしたし、スタジオ練習する前にみんなかなりしっかり個人練習してきてたし、スタジオ練習が終わった後は必ずミーティングをやって改善点やら次回へ向けての準備やらを話し合ったりしてましたからね。世の中にはまた違ったタイプの(ワイルドだったりルーズだったり)グループもあることでしょうが、私は最初がこれだったんで「カッチリした」やり方が性に合いますね。

 

 さて、私の記憶が確かならば、バンドで最初にやることが決まった曲はhideの「Tell Me」でした。私はその頃は邦楽をほとんど知らなかったので、テープを貸してもらって初めて聴いたんだと思います。それまで、ちゃんと曲を叩いたことなどなかった――The Blue Heartsの曲なんかは中学の仲間と遊びでやったことはありましたが――私には、それなりの難易度でしたが、頑張りました。学校の行き帰りに音を聴きまくり、貰ったバンドスコアにかじりついて憶えたもんです。ドラミングについて振り返ると、イントロやコーラスのところでのフロアタムの使い方がポイントなんですよ。タイコのフレーズは「右手から」「左手から」どちらも出来ないとスムーズに流れない、っていうのを学びました。あと、ギターソロ後のレゲエ風部分の感じを出すのもおもしろむずかしかったなあ。

 

 やっぱりああいうのって、「バンド仲間が頑張ってる」と、「自分だけいい加減じゃあいかん!」となりますね。ATツインギターの完成度を上げるためにかなり練り込んでいましたねえ。学校の帰りにスタジオに入ることになっている日は、楽しみだけどちょっとした緊張感もあった、かなあ。

 
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 この曲が少しさまになってくると、次の曲ってことで確かThe Yellow Monkey「楽園」が取り上げられたんだった筈。この曲は「Tell Me」以上に聴き込みに時間をかけた気がします。いわゆる(直線的な)8ビートではないパターンをどう叩いたらいいのか、最初は悩んだ気がします。だんだんつかめてくると、最高に楽しいんですけどね。「16分のフィールでキックやスネアを入れつつも、ハイアットはスクエアに保つ」のが最初の課題。ハイハットは小節内でオープンとクローズを切り替える場面もあって、左足の上げ下げも勉強になりました。あとは、ギターソロ後“♪ボリュームを上げて……”の後半部分“♪Ah~……”のところ、細々したフィル・インを入れながらもテンポを崩さないようにするのが肝要。(ここで思わず走っちゃうことが多かった。)
 

 The Yellow Monkeyの曲からは後に「Love Love Show」も我らのレパートリーになりました。(当時のバンド少年少女の間でThe Yellow Monkeyはやっぱり人気だったんだと思います。高校の他のバンドが「Jam」とか「Spark」とかをやってたように記憶しますから。)上述の曲に比べるとシンプルな8ビートを基調としているのでやさしい……かと思いきや、そうは問屋がおろさない。

 

 “♪こっち向いて”のあとの「ダダダ」っていうところは全パートときっちり揃えないと様にならないし、ドラムパターンが変わる“♪この世界 時には……”の部分はベースのラインを盛り立てるようにしなきゃいけないしね。“♪雨が続いて……”の前後のところは、「ドラム・ソロ」でこそないけれども、けっこうな叩きまくり状態ですから、焦ってリズムを崩さないようにするのも初心者には課題であった。

 

 まあ、こっちはビギナーだからたいてい何をやっても鍛錬にはなったんでしょうけども、hideThe Yellow Monkeyの割合凝った楽曲を細部まで学んだのは(いま考えれば)たいへんためになりました。

 

 この頃の練習音源(カセットテープに録ってたやつ)が出てきまして、無茶苦茶久し振りに聴いたんですが、意外なほどきっちりしていて驚いた。メンバーの几帳面な性格が出ているような。ドラムも、まあ拙いんですが、楽譜通りにテンポを守って律儀にフィルを入れてるあたりは許せる……。

 

 あああ、思い出しました、あの頃(2年生の文化祭に出るときまで)私はバスドラのペダルを「かかとをつけた状態で」踏んでいたんでした!足ごと持ち上げるってのがわかんなくて(自己流でやるからこういうことになるんですが)、バランス崩すのが怖かったから。いま考えると、それだと速度もパワーも十分に得られない気がしますが(もはや再現も出来ないよ……)、当時はそれで一時間とか二時間とかやってたんだなあ。練習音源を聴くと、ギリギリセーフってとこかな(?)。いや、どうでしょう。

<続く>