DON'T PASS MUSIC BY

"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第42回「Jimmy Barnes」(1)

 前回のJJackieChanだったんですよね(第11回「Jackie Chan」(1))。こんどはJohn Wettonのソロ作でも語ろうかと思ってたら、最近THE DIGのウェットン特集(ムック)が出ちゃって……やめとくことにしました。以前にMogul ThrashとかQandoとかで触れてたので、ウェットンさんはまた後日。(それぞれ、第40回「“HEAVEN & HELL”」(23) ・ 第18回「Qango」をご参照下さい。)今回は、企画に乗じて私もお勉強させてもらいますか。LIVING LOUDで感銘を受けてから気になっているシンガー、Jimmy Barnesさんについてね。
 
 オフィシャルサイトの「バイオグラフィー」冒頭には、「ジミー・バーンズはオーストラリアン・ロックンロールのかなめ“the heart and the soul”である」とあります。オーストラリアではスーパー・スターである由。1956年の生まれのジミーさんは、16歳のときCold Chiselというバンドに加入、数々のステージを踏むとともに録音も多数残しています。1984にはソロに転じBODYSWERVEをリリース、続くFOR THE WORKING CLASS MAN1986)もヒットしました。今回取り上げようとするFREIGHT TRAIN HEARTはそれらに続く第三作。
 
 その後もコンスタントに作品を発表……と見えますが、実は激しいロックライフに疲労困憊、1993年には家族でヨーロッパへ移住、96年までオーストラリアを離れています。2000年代に入り、抱えていたというアルコール問題などを克服し、第二の黄金時代に入った……という感じらしいです。なかなかの波瀾万丈。オフィシャル・バイオに記されているジミーの言葉がカッコいい。“My job is to turn every night of the week into Saturday night for people. It’s the best job there is.”パブロック出身者の面目躍如。
 
 で、ここまで言っといてなんですが、オリジナル・アルバムは次の一枚しか入手できていないのであった。いや、でも名盤よ!?
 
1Jimmy BarnesFREIGHT TRAIN HEART1987*日本盤の曲順
1. Driving Wheels
2. Seven Days
3. Too Much Ain’t Enough Love
4. Do Or Die
5. Waiting For The Heartache
6. Last Frontier
7. I Wanna Get Started With You
8. I’m Still On Your Side
9. Lessons In Love
10. Walk On
<メンバー>(曲ごとに異なる)
 Jimmy BarnesVo)+Jonathan CainKey)、Neal SchonGt)、Tony BrockDr)、Randy JacksonBa)、Huey LewisHarmonica)……
 
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 510のみDesmond Childが担当したほかは、Jonathan CainMike Stoneがプロデュース。もう、面子でわかっちゃう高品質ハード・ポップ。Journey組(ジョナサン・ケインニール・ショーン)の参加が話題となったようですが、聴くとやっぱり主役は歌。Brian JohnsonAC/DC)ほと極端じゃないけどけど、聴き手の耳に刺さるごとき熱い歌唱が楽しめる。
 
 最初が、David Lindleyのスライド・ギターで幕を開ける「Driving Wheels」。Jonathanの端正なピアノが重なる前奏から、朗々たるBarnes歌唱の聴ける壮大な本編へ。‟トラック野郎をモチーフにしたのかな?“という歌詞と豪壮な疾走感は、北米風。(例えばBachman-Turner Overdrive辺りと似た雰囲気を感じる。)ニールもリズム・ギターで参加してるとのことですが、この曲はデヴィッド・リンドレーさんのプレイが素晴らしすぎる。
 
 Journey組の加わってない2曲目「Seven Days」(Bob Dylan作。Ron Woodヴァージョンも有名)も、分厚いバッキング+骨太な歌の「ジミー色」。ドラムはINXSJon Farrissで、オーストラリアン・スターの共演に。
 
 ジミー、ジョナサン、ニールに、トニー・ブロック(Dr)とランディ・ジャクソンBa)が加わった、つまりこの曲を演奏している面々のオリジナル共作「Too Much Ain’t Enough Love」はメロウでお洒落な一曲。ソロもとるニールのギターが全編大活躍ですが、ほんのりジャジーなテイストが独特で、Journeyとはまた違った味わい有り。
 
 次も同ラインナップによる、タフなリフ主体のハード・ロックLessons In Love」。6人ものバック・ヴォーカルとのコール&レスポンスとなるサビ“lessons in love…….”がキャッチー。ニールのギターソロもハイ・センス、流石のカッコよさ。
 
 5曲目はデズモンド・チャイルド・プロデュース、バッキング・ミュージシャンも他の曲とはまったく異なる「Waitin’ For The Heartache」……ですけども、メロディアス・ロックとしての仕上がりは見事で、違和感は無し。私にとってはRobert FrippPeter Gabrielといったプログレ大御所との仕事が思い出されるドラムのJerry Marottaも、職人仕事。80年代的な王道歌モノ(バラード)です。
 
 さあ後半。ジョナサンのピアノで静かに始まる「Last Frontier」は、史上の開拓者たちに思いを馳せた曲と見受けられます。ドラマティックに盛り上がっていき、コーラスでは程よい疾走感も味わえます。こちらも、ニール’sギターが堪能できるのですが、ジミーさんの歌がやはり良いなあ。ストロングな歌唱スタイルと思わせながら、この人は詞(ことば)にかんしてかなり繊細な気がします。ハイトーンが出る人でも、あんまり崩したり流したりすると台無しになりますけど、この人は各ラインを歌い出すところの発音(発声)がクリアでキレイなの。どれかまず一曲、というんだったらこの曲をおすすめしますかね。
 
 次もJourney組参加の、ややリラックスした調子の明るい「I’m Still On Your Side」。ピアノの入り具合なんかが、80年代のBruce Springsteenを想起させたりも。ブルースとは歌唱スタイルは全然違うけど、これはこれで良いなあ。
 
 「Do Or Die」は、本作ではこれまでになかったような弾むリズムが面白い……と思ってたら040秒から前のめりで疾走だ!“♪Walk straight in, I always do or die”!こういう疾走曲もJourneyじゃあんまり聴けないね。ニールもジョナサンもノリノリだ。
 
 お次は、イントロからナイスなハーモニカが鳴り響く「I Wanna Get Started With You」。これは、Huey Lewisのプレイですな!ヒューイのブルーズ・ハープは、客演でも映えるねえ(Thin Lizzyの「Baby Drives Me Crazy」、Sammy HagarLittle White Lie」とか、私は好きです)。この曲は、ロックファンにはGrand Funk Railroadのヴァージョンでもお馴染み「Some Kind Of Wonderful」みたいな、バウンディング・ブギーになっております。(「Some Kind Of Wonderful」は後にHuey Lewis & The NewsFOUR CHORDS & SEVERAL YEARS AGOで取り上げていますね。)こういうグルーヴが無性に聴きたくなる時ってあるよね。しかし、Jimmy BarnesJourneyNeal & Jonathan)とHuey Lewisの共演とは、贅沢な。
 
 最後に「Walk On」は5曲目同様デズモンド・チームの作。シンセサイザーがフィーチュアされた、スケールの大きなバラード。“♪Don’t look back, walk on……”というメッセージもポジティヴな、アルバムの締めくくりに相応しい一曲。
 
 いやあ、実はこんなに丁寧に聴いたことなかったんですが、素晴らしいアルバムじゃないですか。
<続く>