Ice Ageの話に行く前に、この場を借りてWestworldについてまとめちゃおう。私はMark Reale信者なのだ。許してくだされ。
Westworldは『WESTWORLD』(1998)、『SKIN』(2000)とアルバムをリリースし、次いでこのライヴ『LIVE...IN THE FLESH』(2001)を出したわけですが、この後も『CYBERDREAMS』(2002)を発表します。いずれもメロディアス・ハードロックの佳作・良作。ジャケットこそあんまりそれっぽくないけど、内容はいずれもお薦め。
大名曲「Illusions」――"California man, born to walk on sand, out before the tide comes in...."、"New York city son, has to be someone, likes to play his music loud......"等々、トニーやマークの‟自伝”みたいな歌詞もなんだか嬉しい――で始まるファーストアルバムは、ソフトな曲も含め兎に角楽曲が粒揃い。私は、ちょっとだけ重めのリフレインが印象的な「Ivory Towers」「Little Voices」辺りが好みですな。アコースティックバラード(「Heart Song」「Suicide」など)も極上で、マーク・リアリのアコギ捌きも素敵。マーク没後にDon Van Stavern(Riotのベーシスト)が「マークはアコースティック・ギターも上手だったんだぜ」と懐かしそうに語っていたのを読みましたが、納得納得。
(1)Westworld『WESTWORLD』(1998)
1. Illusions
2. I Belong
3. Pigeon Hole
4. Heart Song
5. Little Voices
6. Bring the Water to Me
7. Love You Insane
8. Shame
9. Ivory Towers
10. Suicide
<メンバー>
セカンド『SKIN』はややダークな作風(勿論メロディアスなロックの範疇で、)ですが、バンドとしての力強さは向上。実はリリース当時はあまり好みでなかった「Skin」なんかが、いま聴くといいんですねえ。必殺のアコースティック・バラード「Limbo」も素晴らしい。テンポチェンジ(コーラスで加速する)も巧みな「Get A Life」はライヴでも映えてたし、爽やかな疾走感の「Elastic」は前作の「Illusion」の延長にある佳曲(ボーナストラック扱いなのが不思議だった)。
(2)Westworld『SKIN』(2000)
1. Skin
2. Ice Queen
3. Uneasy
4. Limbo
5. Black Shadow Symphony
6. Tomorrow’s Yesterday
7. Out There
8. Heart Is A Heavy Load
9. Get A Life
10. Uninvited
11. Elastic[bonus]
<メンバー>
で、前二作をを踏まえたライヴ盤(前回紹介)も上々の出来。そして次の『CYBERDREAMS』はタイトルとかジャケットからすると「モダン路線?」とか不安になりますが、心配無用、熟練バンドの集大成的な作品で、陰陽躁鬱の配合具合も絶妙。Bruno Ravelが曲作りに参加するようになっているのも新しい傾向かな。
続く「How Good It Feels」はファーストとセカンドのテイストをミックスしたようなこれまた好楽曲。このアルバムは、前二作に比べ若干疾走感のある曲が多めかもしれない。「A Million Miles」もそうで、ブリッジからコーラスへ抜けるところの爽快感は最高。Tonyのように透明感のある歌唱でないとこれは得られんね。マークのギターソロは(例えばTNTの技巧派Ronni Le Tekrøなんかと比べると)「オーソドックスで地味」だとかいう意見も見たことがありますが、この手の楽曲にはしっかり合っているのだから、これで良いのだ。
そうそう、今回も極上のバラード「Look to See」が入っています。本編最後にはBlack Sabbathの「Neon Knights」のカヴァーもありまして、意外な感じもしたんですが、これもなかなか良い。Tonyもノリノリだしね。そして、念押ししておきますが、ジョシュの鍵盤とコーラスも縁の下の力持ちで、アルバムを間違いなくカラフルにしておりますぞ。
(3)Westworld『CYBERDREAMS』(2002)
1. Cyberdreamer
2. When I Come Home
3. How Good It Feels
4. A Million Miles
5. What If ?
6. Look to See
7. Righteous One
8. Misery Loves Company
9. I Can’t Run
10. Neon Knights
11. Beautiful[bonus]
<メンバー>
やはりそれぞれ別に「自分の城」を持っている面子ゆえ、本務楽隊が忙しくなると残念ながらそちらに注力せざるを得ないのでありまして、このあとバンドは動かなくなります。メンバーが仲違いしたわけではないので、RiotのアルバムにTonyがコーラスで参加したり、BrunoがやはりRiotのアルバムのプロデュースやエンジニアリングに協力したりってことはあったんですが……
残念ながら新曲を書く段までは進まなかった模様。そうこうするうちに、マークが亡くなってしまい、Westworld再開の夢もたたれてしまったわけでございます。いまはただ、彼らの残してくれた名曲を楽しむしかありませんね。
<続く>