むかし新宿にあったDisk Heavenで出会った作品を語るシリーズ、その24でございます。
(7)Paul Chapman’s GHOST『Paul Chapman’s GHOST』(2002、UK)
これは店頭で偶然出くわしたのでした。Paul Chapmanという名前は、英国ハードロックUFOのリードギタリスト(Michael Schenkerの後釜)として知っておりましたが、「Ghost」というのは知らなかった。UFO以前にやっていたLone Starはディスクガイドの類でみて知っていたのですが。
いまちょいと調べたらPaulはウェールズのカーディフ出身だそうで、そうするとBudgieと同郷。それどころか、Paulはかの有名なDave Edmundsの従兄弟なんだそうで。全然知らんかった……。
『GHOST』は2002年リリースですが、制作はもっと前でした。本作のブックレットにあるPaul自身の記述によれば、80年代末にはメンバーを集め、録音も始めていたそうです。シンガーを見つけていよいよ本格的レコーディングに進み、ディストリビューションの契約をと売り込んでいったのだが、「他のシンガーを試さないか?」とかなんとかもちかけられたり、レコード会社の選定に悩んだり(本人曰く「そして選択を誤った」り)して、結局このプロジェクトは日の目を見なかったと。なんか時々聞く切ない話ですな。
十年以上経ってお蔵入りから発掘された本作、パーソネルはPaul Chapman(Gt)・Ned Meloni(Ba)・Dale Russell(Dr)・Tony Harrison(Vo)。ミドルテンポの「It’s Time To Rock」からスタート。Paulのギターの妙技は、UFO時代よりも味わいやすいかもしれない。ヴォーカルは少々線が細いですが、決してまずいことはありませんぞ。爽やかなメロディアス・ハード風「Masquerade」、パワー・バラード「Long Goodbye」などもね。
タイトル曲「Ghost」はバスドラ中心にドラムパターンが躍動的で良いのですが、こういうあたりでは録音状況に起因する弱さ(あくまでもデモ・レベル)も感じられてしまう。もっといい音で聴きたいよう。はずむリズムの「Mystery?」なんか、いい曲なんだけどな。
クレジットはないですが、10曲目の「Don’t Walk Away」は“新ヴォーカリスト”に考えられていたCarl Sentenceの歌唱と思われます。(作曲はSentence、となっているので。)アコースティック・ギター+歌なので、これもデモ的に録られたものでしょうか?