DON'T PASS MUSIC BY

"嘘八百 is not a metaphorical expression in our country."

時代の産物を追う?(14)

9Martin TurnerWRITTEN  IN  THE  STARS2015
 元Wishbone Ashのベーシスト/ヴォーカリストのソロ・アルバム。
 オフィシャルHPによりながら伝記をごく簡単に記しますか。1947年生まれのマーティンさん、14歳でギターを弾き始めたそうですが、後にベースに転向。兄弟のGlennと共にバンドThe Torinosを組んだのが1963年、66年にこれがThe Empty Vesselsへと発展し、Steve UptonDr)を迎えます。69年にプロとなってロンドンへ拠点を移しました。
 
 のちグレンの離脱を受けて、マーティンとスティーヴはオーディションを行い、Ted TurnerAndy Powellの二人のギタリストを獲得。ここにツイン・リードを特色とする名バンドWishbone Ashが誕生したのでありました。ブリティッシュ・ロックの雄となったこのバンドで、「メインのヴォーカリスト/傑出したベーシスト/主要ソングライター」として大活躍したのがマーティンさんでした。70年代を通じて数々の名演を残したWishbone Ashですが、80年頃には「音楽性の不一致など」を理由にマーティン脱退。
 
Wishbone Ashについてはまた別のところで……と思っておりますが、「聴いたことがない」という方には、次の楽曲をまずはお薦めしておきます。
 
①ファーストアルバムWISHBONE ASH収録の劇的大作「Phoenix」:1030秒くらいある。私は初めて(予備知識なしで)買ったベスト盤の一曲目がこれだったので思い入れが半端ない。スロウに始まるのですが、450秒あたりからテンポチェンジ(加速)しまして、「え?」と思っていると、サビの歌「♪Phoenix rise, raise your head to the sky」を挟んで猛烈なシャッフリング・インストパートに突入。AndyTedのギターが凄い、だけじゃなくてバックのMartin&Steveのリズムも強靭。730秒からの「でれれーれ、でれれーれ」って執拗に繰り返すところいうところが大好き。二人のリードギタリストが好き放題やって、9分過ぎでピシッと合流、ラスト一分でもう一回「♪Phoenix rise, raise your head to the sky……」と歌って終幕へ。ドラマティックっていうのはこういうのを言うんだよ、と。
 
②セカンドPILGRIMAGE収録のロックンロール「Jail Bait」:一方で、コンパクトなロックンロール/ブギーもあるのね。セカンドアルバムにはインストの「The Pilgrim」っていう超名曲もあるんですが、私はこっちもお勧め。これはぜひ1971年のBBCでの演奏動画をご覧ください。歌はテッドで、そのバックでアンディのキメるオブリが素敵。中間の長いギター・パートでは、テッドとアンディのギター・バトルみたいなのも聴ける。この曲ではマーティンは裏方ですね。
 
③サードARGUSの叙情的な「Warrior」:サードアルバムも名盤の誉れ高くてですね、「もうアルバムごと持っときなよ」っていう代物なんですが、とりあえず一曲。「Warrior」っていう曲名は多いですよね、いま私の手元にある音源を調べただけでも、Axel Rudi PellImpellitteriPublic Image LtdRiotSaxon・大村孝佳・Thin LizzyなんかがそれぞれオリジナルWarriorを作ってますが……。ハードロック古典として確立されてるのはやはりWishbone Ashのコレなんでしょう。叙情性とアグレッションが絶妙にブレンドされてて、唯一無二の境地に。ヴォーカルはマーティン&アンディ。この曲は事実上次の曲と切れ目なくつながっていきますので、次の「Throw Down The Sword」(冒頭のリフレインとドラムロールからしてゾクゾク来ます。あ、柴田直人さんがカヴァーしてたのがこれね。)とセットでお楽しみください。
 
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④彼らとしてはやや珍しい疾走ハードロック「Doctor」(4thWISHBONE FOUR収録):カラッと明るい!というほどでもないですが、①や③とはまた異なるテイストではありますね。聴き所はギター・ソロ・バトル。本作を以てテッド・ターナーはバンドを脱退してしまうわけですが……
 
⑤強力器楽隊が楽しめるインスト「F.U.B.B」(5thTHERE’S THE  RUB収録):テッドの後任にLaurie Wisefield――この人も才人――を迎えたバンドが送り出した大作器楽曲。9分半ありまして、冒頭からしばらくはドラムとベースが同一の基本フレーズを延々と(ミニマルに)繰り返す上にギターが二本乗る。310秒のあたりから展開しますが、陰鬱な感じは継続(なんか、曇り空がずっと続いてるような感じがしてくるんだよね……)。メロディアスなツイン・ギターが美しく決めるパートのあとは、6分ごろからテンポ・アップ。一方のギターがカッティングを延々繰り返す他方を、ソロ・ギターが暴れ回って……。ライヴ・アルバム(LIVE DATES Ⅱ』とか)を聴くと、こんな曲をまさに一糸乱れず演ってたみたいなんで、まったく恐れ入ります。
<続く>