(8)Vortex『COLOURS OUT FROM THE EMPTINESS』(2001、JP)
『JAPANESE HEAVY METAL TRIBUTE 魂』(2000)というジャパメタ・トリビュートアルバムがありまして、Youthquakeが「Metal Saber」(Sabbrabells)をやってたりGargoyleが「Satori Part1」(Flower Travellin' Band)をやってたりっていうおもしろい作品なんですが、その中でVortexっていうグループが「魔界舞曲」(聖飢魔Ⅱ)をカヴァーしてたんですよ。最近でこそ聖飢魔Ⅱへのトリビュートはいくつか見られる様になりましたが、2000年当時で、しかもデスメタルバンドが「魔界舞曲」をやるってどういうことなの?って思いますよね?
Vortexはテクニカル・デスメタルをやっていたグループで、私の思いつく限りだとCynicとかSpiral Architectとかの数学的アプローチに近いものを感じます(あとは、後期Deathとか)。本作収録の「魔界舞曲」も、元のメロディアスでダンサブルな雰囲気からはがらりと変わっているので、びっくり。歌は日本語をそのまま(むろんデス調ですが)歌っているので、それでやっとわかるかな。面白いやり方だと思いました。
で、彼らがオリジナルアルバムを出しているというので、Watchtowerとか好きな私は探してみることにしたのです。さすがHeaven(Hellの方だったかな?)、ちゃんと置いてありました。アタマの「Stigma」からして、もう全然拍子が取れないような複雑楽曲。でも、ギター間奏部分なんかは意外にメロディアスだったりもするんで不思議ですな。曲が終わるころにはこっちがぐったり。次の「Burnt With Thoughts」は比較的ストレートなリフで始まったかな?……いや、やっぱりすごいことになってるな。ドラム、これどういうパターンなの?
4曲目「My Love」の無茶なバッキングとギターソロの唐突なメロディ感は、あれだ、初期のCryptopsyが得意としたやつっぽいね。「Blind Faith」は3分ほどの短い(!)シンプルな(?)ナンバーだけど、これまたいま述べたような類型で。最後の「Quest For The Nameless Martyrium」だけは(歌い方のせいか)デスというよりプログレ寄りで雰囲気が違います。複雑はえらい複雑ですけどもな。
いやこれは、相当な質の高さではないのか、と思うのですが。グループがこれ以降活動された形跡が見当たらないのですね。